動労総連合の大前進を JR東日本の品川再開発計画 狙いは労働規制の撤廃

週刊『前進』04頁(2803号02面01)(2016/12/05)


動労総連合の大前進を
 JR東日本の品川再開発計画
 狙いは労働規制の撤廃

(写真 常磐線の小高―原ノ町間の運転再開が強行された7月12日、動労東京は動労総連合統一行動の一環としてJR東日本本社への抗議行動に立った)


 JR東日本は常磐線の浜吉田―相馬間の運転を12月10日に再開しようとしている。2020年3月までに常磐線を全線開通させるというのがJRの計画だ。JRは被曝と帰還の強制の攻撃の最先兵だ。他方でJR東日本は、国家戦略特区の一環としての品川・田町地区の再開発に着手した。安倍政権と小池都政が進める「働き方改革」=総非正規職化攻撃の先頭に立っているのもJRだ。常磐線再開阻止の12・10闘争を突破口に動労総連合をさらに建設・拡大し、日本におけるゼネストを切り開こう。国鉄分割・民営化に決着をつける17年決戦に突入しよう。

国家戦略特区を推進し安倍と小池の最先兵に

 民主労総を先頭とする韓国労働者人民の闘いは、パククネを打倒寸前に追い詰めている。東アジアから世界革命を切り開く巨大な歴史の流動が始まった。アメリカ大統領選挙でのトランプの勝利は、帝国主義間争闘戦を限りなく激化させ、世界戦争の危機を引き寄せている。だが、米帝を基軸とした戦後世界体制を自らぶち壊すトランプの登場は、階級対立を押し隠す一切の幻想をはぎとって、革命情勢をさらに成熟させている。
 この中で、安倍もまた決定的な危機に追い込まれた。TPP(環太平洋経済連携協定)はトランプの離脱表明で完全に破産した。「2%インフレ」を掲げたアベノミクスはすでに全面崩壊している。だからこそ安倍は「働き方改革」を「成長戦略の第4の矢」と強弁し、総非正規職化の攻撃にのめり込むことで、ぼろくずと化したアベノミクスをよみがえらせようと必死なのだ。
 その突破口に位置づけられているのが国家戦略特区だ。国家戦略特区合同会議に小池百合子東京都知事が提出した「国家戦略特区による東京大改革」と題する文書には、「国際金融都市の実現」「世界に開かれた、環境・金融先進都市」などの言葉が散りばめられている。「東京こそアベノミクスの成長戦略を引っ張っていく」とうそぶく小池は、徹底した規制緩和と企業減税で、金融などの外資を特区に呼び込もうとしているのだ。
 JR東日本の品川・田町地区再開発も国家戦略特区の区域計画のひとつに盛り込まれ、官民を挙げた巨大事業として始動しつつある。
 金まみれ・利権まみれの2020年東京オリンピックは、その絶好の機会に位置づけられている。オリンピックを口実に労働規制の撤廃と労組破壊を徹底的に強行しようというのだ。社会を根本から破壊しつつ、資本だけは生き延びるという新自由主義の末期的姿がそこにある。

東京総合車両センターの廃止もたくらむJR

 こうした攻撃の最先頭に立っているのが、日帝の基軸資本として登場したJRだ。JR東海のリニア中央新幹線建設には3兆円もの財政投融資資金が注ぎ込まれる。国家が借金で調達した資金を一企業に注ぎ込むのは、まさに「ヘリコプターマネー」政策そのものだ。
 JR東日本も品川・田町地区再開発に乗り出し始めた。これは、旧田町車両センターの跡地21㌶のうち13㌶を再開発して、JRが巨大な収益を手にするというものだ。
 東海道線や山手線・京浜東北線に囲まれていた用地の再開発に着手するための東海道線移設工事も11月中に終了した。
 JR東日本が10月28日に公表した「経営構想Ⅴ『今後の重点取組み事項』の更新について」と題する文書は、「水平分業の深度化」を叫び、労働者への転籍強要に至る業務の全面外注化の意図をあらわにした。同文書はまた、品川・田町地区に新設される品川新駅(仮称)の開業を2020年春とし、「新たな国際交流拠点となる街づくり」を進めるとぶち上げている。さらにJRは、「JR東日本2020Project」なるものを打ち出して、東京オリンピックを機に首都圏各駅の再整備などを進めるという。浜松町駅海側の竹芝地区を再開発する計画も出されている。
 これらには、国内人口が減少する中で、国外からの旅行客を取り込むことで資本として延命するという意図もある。
 JRや東京都は、再開発される品川・田町地区を「陸・海・空の東京の表玄関」と位置づけている。同地は東京港や羽田空港に近く、2027年開業予定のリニア中央新幹線の始発駅も今ある品川駅の港南口に設けられる。資本は「都心に残された最後の一等地」として、そこに群がろうとしている。
 しかも、再開発の対象は旧田町車両センターの用地だけではない。品川近辺には東京総合車両センター(旧大井工場)があり、その周辺にはすでに廃止されたJR広町社宅の用地もある。東京総合車両センターを廃止すれば、さらに広大な更地が生まれる。
 国鉄分割・民営化に際しては、大井、大宮、大船の3工場を1工場に集約する計画があった。旧大船工場はすでに鎌倉車両センターに改組されている。06年3月には東北本線の東大宮駅付近に大宮総合車両センター東大宮センターが新設された。ここに、大宮総合車両センター本体も含めた工場機能を統合することが、JRのもくろみだ。
 15年3月の上野東京ラインの開通で、東海道線と東北本線は直結され、東海道線で運行される車両を東大宮で検査・修繕することが可能になった。13年に強行された田町車両センターの廃止も、上野東京ラインの開通を前提にしたものだ。
 上野東京ラインの開通に伴い、JRは浦和電車区、下十条運転区、蒲田電車区、東神奈川電車区を廃止するなどの基地再編を強行した。その目的は、JR総連カクマルとの結託体制を破棄するため、カクマルが「拠点」としてきた職場を廃止することにあった。
 だが、こうした攻撃の最深の狙いは、動労千葉・動労総連合を破壊することにある。あらゆる労働組合の絶滅を狙うJRの攻撃は、工場の統廃合という形でさらに激しく進められようとしているのだ。

常磐線の再開を阻止し東京の労働運動再生へ

 小池都知事による東京都丸ごと民営化攻撃の最大のターゲットにされているのが、東京交通労組(東交)だ。小池が特別顧問に登用した上山信一慶応大教授は、都営地下鉄を民営化し東京メトロと統合して私鉄に売りさばくことを唱えている。猪瀬直樹都知事の時に強行され、大破綻した都営交通の24時間化も、オリンピックとそのための羽田空港の発着枠拡大(超低空飛行による深刻な騒音被害を伴う)を振りかざして、再び持ち出されようとしている。地下鉄への新型車両導入に伴う検修部門の大合理化もたくらまれている。これらは鉄道の安全を根本から破壊する。
 東京の労働運動をめぐる大決戦が訪れた。その勝敗を決めるのはJRでの攻防だ。12・10常磐線再開の攻撃と対決し、JR東日本の本社がある東京でこそ被曝労働拒否の闘いを巻き起こそう。東京でも、JRとその関連労働者は、高放射能地帯を通り抜けてくる車両の検修や清掃の作業を担っている。
 被曝と無関係な労働者は一人もいない。特に、都労連傘下の労働者は皆そうだ。清掃、水道の労働者は直接に被曝問題に直面している。自治体職員は避難者への住宅補助打ち切り・帰還強制の攻撃の担い手にされている。築地市場の豊洲移転問題とともに、被曝との闘いは東京で闘う労働運動をよみがえらせる決定的な鍵となる。
 「経営構想Ⅴ」で「地域に生きる」とうそぶいたJR東日本は、福島を圧殺するだけでなくすべての地方を絞め殺そうとしている。「経営構想Ⅴ『今後の重点取組み事項』の更新について」は、東京、渋谷、横浜、千葉、仙台の大規模ターミナル駅の再開発をあらためて強調した。
 「線区の大半は維持困難」と打ち出したJR北海道に示されるように、地方を衰退させてきた張本人はJRだ。そのJRは、駅ナカビジネスで自分だけは生き延びると言っているのだ。その上に強行されようとしているのが品川・田町開発だ。
 動労総連合をさらに拡大し、日本のゼネストを切り開こう。12・10常磐線再開阻止闘争を突破口に、JR体制打倒の17年決戦へ進撃しよう。
(動労東京委員長・吉野元久)

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