安倍の対外戦略が全面破産 階級支配崩壊の危機におびえ軍事大国化と戦争の道に突進

週刊『前進』04頁(2803号02面03)(2016/12/05)


安倍の対外戦略が全面破産
 階級支配崩壊の危機におびえ軍事大国化と戦争の道に突進


 安倍政権が日帝ブルジョアジーの延命のために進めてきた対外戦略が、見るも無残な全面的崩壊に直面している。
 民主労総を中心とする全民衆の怒りが文字通りの革命となって爆発する韓国で、11月29日、ついにパククネが任期途中での大統領辞任を表明せざるをえなくなった。これは追い詰められたパククネと財閥勢力が弾劾訴追案を回避するために行った延命工作でもあるが、安倍政権は「想定外の事態だ」(政府関係者)と大打撃を受けている。日本軍軍隊慰安婦をめぐる昨年末の日韓合意をはじめ、安倍・パククネが強行的に進めてきた一連の日韓軍事同盟政策が、決定的に挫折しかねない状況にあるからだ。
 12月19、20日に東京で日中韓サミットを開催する予定だったが、今やパククネの進退きわまるに至って事実上破綻した。

延命の根幹のTPPは分解

 安倍が日中韓サミット開催を急いだのは、TPP(環太平洋経済連携協定)が大破産する中で、日中韓自由貿易協定の交渉などで打開の道をさぐろうとしたためだ。
 米次期大統領トランプは、安倍と会談した4日後の11月21日、「就任の日にTPPからの離脱を通告する」と公表した。トランプの翻意に一縷(いちる)の望みをかけていた安倍は、その淡い期待を完全に打ち砕かれた。日帝・安倍にとってTPPが消し飛んだことの打撃は計り知れない。
 安倍はこれまでTPPを「成長戦略の要」「アベノミクス再活性化の起爆剤」と位置づけ、大破綻する日帝経済の延命の活路を見いだそうと必死に推進してきた。何よりそれは中国をけん制し排除するための死活的戦略であり、「経済面での日米同盟」(外務省幹部)とされてきた。そのTPPが空中分解したことは「強固な日米同盟をテコに周辺国との関係を動かしてきた安倍外交の根幹も揺るがす」(11月23日付日本経済新聞)。まさに日帝の脱落と国際的孤立化が不可避の状態に追い込まれているのだ。

領土、インフラ輸出でも敗退

 さらに安倍はこの間、12月に予定するロシア・プーチンとの首脳会談に向け、「北方領土」をめぐるロシアとの交渉で「成果」をあげようと必死になってきた。ところが、11月19日にペルーで行ったプーチンとの首脳会談で、安倍はまたしても大破産を突きつけられた。領土交渉を前進させたい安倍の意向に反してプーチンは態度を硬化させ、ロシアの領有権を大前提とした「共同経済活動」を提案してくるなど、安倍の意向をほとんど一方的にはねつけたのだ。会談終了後の安倍の憔悴(しょうすい)しきった様子は、側近が声もかけられないほどだったと報じられている。しかもその3日後、ロシアは国後(くなしり)島と択捉(えとろふ)島に地対艦ミサイルの配備を完了したと発表した。
 さらに22日、日帝が原発輸出で合意していたベトナムが、原発建設計画の撤回案を国会で可決した。2011年福島原発事故を受けて建設予定地住民の反対運動が激化した上、政府が「安全性」を見直した結果、費用が倍増することとなり、ついに撤回となった。日帝・安倍は鉄道や水道と並んで原発をインフラ輸出戦略の柱の一つに位置づけ、特に東南アジア初の原発輸出としてベトナムに力を入れてきただけに、その打撃も深刻だ。
 そもそも安倍政権は発足以来、政府・財界一体のインフラ輸出戦略を大々的に展開してきた。安倍は中国に対抗して必死にトップセールスを展開してきた。だが最も死活的な受注競争では軒並み惨敗している。インドネシアへの高速鉄道輸出で中国に敗れたのに続き、オーストラリアとの潜水艦共同開発でも、中国との協力関係を重視するターンブル政権の意向により、予想に反してフランスが受注することになった。もはや日帝・安倍は八方ふさがりだ。
 韓国における革命情勢と米トランプの登場をもって、今や時代は完全に変わった。トランプ体制下の米帝は、もはや没落を超えて内的崩壊の過程へと突入し、保護主義・排外主義を全世界に拡大させながら、帝国主義間・大国間争闘戦の果てしない激化と侵略戦争・世界戦争の道に突き進もうとしている。他方で、韓国をはじめとする全世界の労働者階級人民の怒りと革命的決起は、一層広く深く拡大していく。
 この世界革命の時代の到来に際して、今や最も危機を深め絶望的敗勢に陥っているのが日帝・安倍にほかならない。安倍打倒の最大のチャンスが到来したのだ。
 安倍は労働者の雇用と生活を破壊しながら、日帝独自の軍事大国化と戦争にますます突き進もうとしている。今こそ国鉄・都労連決戦を先頭に安倍打倒へ総決起しよう。韓国に続くゼネスト情勢を日本で切り開こう。国境を越えた労働者の団結で日本革命―世界革命に勝利しよう!
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