農地奪う強制執行やめよ 市東さんが請求異議の訴え

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週刊『前進』04頁(2805号02面02)(2016/12/12)


農地奪う強制執行やめよ
 市東さんが請求異議の訴え

(写真 記者会見で発言する市東孝雄さん【右】と葉山岳夫弁護士【左】【11月30日 千葉県弁護士会館】)

 農地法裁判が最高裁で上告棄却され判決が確定したことに対し、三里塚芝山連合空港反対同盟の市東孝雄さんは、11月30日、顧問弁護団とともに千葉地裁に「請求異議の訴え」と「強制執行停止申立」を行った。
 請求異議の訴えとは、「農地法裁判での判決に基づく土地取り上げ強制執行を許さない」という新たな裁判を、成田空港会社(NAA)を被告として起こしたということ。「判決が確定して終わりではない。ここからが本当の勝負」という市東さんの闘魂の真骨頂を表す新たな闘いがここに始まったのだ。
 午前10時、市東さんと反対同盟顧問弁護団は千葉地裁を訪れて手続きを行い受理され、民事第5部(鹿子木康裁判長)への係属が決まった。午前10時50分、千葉県弁護士会館で、新聞、通信社、テレビなどの取材記者十数人が参加する中、伊藤信晴さんの司会で記者会見が開かれた。
 最初に市東さんが発言した。「今度の最高裁の上告棄却決定は、たった2行の文言で、100年耕してきたわが家の畑について、明け渡しの強制執行ができるというものです。絶対に認めることはできない。私は天神峰で一日でも長く農業を続けるという気持ちで、請求異議の訴えと執行停止申立を行い、この場に臨んでいます」
 続いて代理人を代表して葉山岳夫弁護士が今回の請求異議の理由を3点にまとめて報告した。
 ①本件の裁判での対象地は市東さんの全耕作面積の約41%、5700平方㍍という広大な土地だ。民事裁判と称して明け渡し請求をしているが、実質は明らかに公用収用である。NAAは1994年に「あらゆる意味において強制的手段を用いない」と公約しており、農地取り上げの強制執行はそれに反する。
 ②東京高裁の小林昭彦裁判長は、裁判官忌避申し立て中にもかかわらず、2015年6月12日に判決言い渡しを強行した。民事訴訟法第312条に反し、控訴審判決は無効である。
 ③千葉県知事が出した賃貸借解約許可の条件は「離作補償料を払う」となっているが、NAAは口頭弁論終結後も一切支払わず供託も行っていない。「金を払わずに人のものを奪う」行為だ。農地収奪を容認する判決は憲法第29条、31条に違反し無効である。
 さらに参加した弁護団全員が発言し、憲法判断を一切行わず下された最高裁の上告棄却を徹底的に弾劾した。
 また、市東さんが自らの言葉で耕作の現況、産直農業と自身の生活、空港の違法への批判をつづった「陳述書」を、併せて千葉地裁に提出したことが報告された。
 記者との熱心な質疑応答が続き、最後に太郎良陽一さんが反対同盟の決意を表した。「市東さんの闘いは、〝農地死守・実力闘争〟の原則を50年貫いてきた反対同盟の姿そのものだ。強制執行の攻撃に対しては全国の人びととともに、一丸となって体を張って闘いぬく」と述べ、12・4現地闘争への結集を訴えた。
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