狭山再審闘争 2・2東京高裁包囲デモへ 「証拠」の万年筆は偽物 下山鑑定で明らかに

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週刊『前進』02頁(2814号02面03)(2017/01/26)


狭山再審闘争
 2・2東京高裁包囲デモへ
 「証拠」の万年筆は偽物
 下山鑑定で明らかに

(写真 31回目となる東京高裁前アピール行動の初日に石川一雄さんが訴え【1月19日】)

(写真 石川さん宅で発見された万年筆。中にインクだめのチューブがあり、下端のレバーでインクを吸引するものだった)

(写真 13年に証拠開示された被害者のインク瓶)


 狭山事件の犯人にデッチあげられた石川一雄さんの再審実現・無罪獲得へ、全国水平同盟と部落解放東日本共闘会議が2月2日の東京高裁包囲デモと高裁要請行動を呼びかけている。ともに立ち上がろう。
 昨年8月、狭山裁判の弁護団は東京高裁に新証拠を提出した。非破壊検査の専門家である下山進博士が、被害者の持ち物とされ石川さん宅への3度目の家宅捜索で鴨居(かもい)から発見された万年筆が偽物であることを科学的に証明した鑑定だ。
 1974年、東京高裁・寺尾正二裁判長は石川さんに無期懲役判決を出した(確定判決となった)。下山鑑定はこれを突き崩し再審を開く決定的な証拠だ。

万年筆のインクもともと色違い

 そもそも、「万年筆を自宅の鴨居に置いた」という石川さんの「自白」は警察の脅迫とたくらみによって強制された。発見された万年筆に入っていたインクはブルーブラック、被害者が事件当日まで使っていたインクはライトブルーで、色の違いは明らかだった。被害者の当日のペン習字や日記などを分析した科学警察研究所の荏原秀介技官が行った鑑定でも、発見された万年筆とは「インクが違う」という結果だった(荏原第一鑑定、第二審で証拠開示)。
 だが、裁判所は「同級生のインク瓶や下校途中に立ち寄った郵便局でインクを入れ替えた可能性がある」としてこれを不問にし、万年筆を有罪確定の最重要証拠のひとつとしてきたのだ。

被害者のインクの成分は不検出

 証拠を開示させる粘り強い闘いで、警察・検察が50年間隠し持っていた被害者のインク瓶が2013年7月に開示された。そして、被害者の使っていたライトブルーのインクが「ジェットブルー」という名の商品であることが特定された。
 下山博士がジェットブルーインクを使って荏原第一鑑定を精査・検証したところ、違うインクに入れ替えた場合でも前に入れてあったインクの成分が検出されることが明らかになった。荏原第一鑑定ではジェットブルーのインク成分がまったく検出されていない。万年筆は被害者が使っていたものではなかったことが完全に証明された。万年筆はねつ造された物だ。
 「犯人しか知り得ない所から発見されたから石川さんが犯人だ」という万年筆発見の筋書きは、下山鑑定によって完全に崩れた。石川さんは無実だ!

星野闘争と共に証拠開示、再審を

 下山鑑定は石川さんの無実を示すと同時に、狭山裁判が労働者階級を分断し団結を破壊する部落差別による国家犯罪であることを突き出した。
 韓国ではパククネ政権の不正に対する怒りが社会を根底から変革する欲求となり、政権打倒・財閥解体を掲げ、差し迫る侵略戦争の危機と対決してプロレタリア革命へと向かっている。50年間、証拠を隠し真実を封じ込めて石川さんを犯人扱いしてきた国家権力への怒りを、下山鑑定を武器に解き放とう。
 70年安保・沖縄闘争で殺人罪をデッチあげられ、42年間獄中で不屈に闘う星野文昭同志とともに権力犯罪を暴き断罪し、全証拠を開示させ再審で無罪判決をもぎとろう。この闘いが日本でゼネストを実現する力になる。また、安倍政権の「新共謀罪」導入を阻止する闘いでもある。全国から2・2闘争へ!

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石川一雄さん
 被差別部落に生まれ育つ。1963年5月、埼玉県狭山市で起きた女子高校生誘拐・殺害事件「狭山事件」の犯人にデッチあげられた。無期懲役刑で31年7カ月間を獄中で闘う。仮釈放後も無実を訴え、部落差別による国家権力の犯罪を糾弾。現在、東京高裁に第3次再審請求書を出し、不屈・非妥協で闘っている。
 狭山差別裁判糾弾! 石川さんは無実だ!
 東京高裁は直ちに再審を行え!


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2・2東京高裁包囲デモ&要請行動
 2月2日(木)
  午前11時30分 日比谷公園霞門集合
  正午     東京高裁包囲デモ
  午後2時   東京高裁前街宣
  午後3時   東京高裁要請行動
 呼びかけ 全国水平同盟、部落解放東日本共闘会議

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