三里塚耕作権裁判 〝農地死守〟訴えデモ NAAの署名偽造を追及

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週刊『前進』04頁(2817号03面04)(2017/02/06)


三里塚耕作権裁判
 〝農地死守〟訴えデモ
 NAAの署名偽造を追及

(写真 報告集会で葉山弁護士が法廷を振り返り、「市東東市さんの字ではない」と解説した【1月30日 千葉市】)


 1月30日、千葉地裁民事第2部(内田博久裁判長)で、市東孝雄さんの耕作権裁判が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・農民・学生・市民100人は、「農地死守・強制執行阻止」の気概に燃えて闘った。
 午前9時、千葉市葭川(よしかわ)公園に結集し、太郎良陽一さんの司会で集会が開かれた。
 最初に反対同盟事務局を代表し、萩原富夫さんがマイクを握った。
 「市東さんが耕作する南台の農地の一部を成田空港会社(NAA)は、不法耕作だとして市東さんを訴えてきた。それが今日の耕作権裁判だ。まったくのデタラメ、市東さんを追い出すための攻撃だ。成田空港は地元では迷惑施設。農地を守り、本当に豊かな生活を取り戻すためにともに立ち上がろう」と千葉市民に訴えた。
 動労千葉の滝口誠さんが連帯発言を行い、意気高くシュプレヒコールを上げ、市内デモに出発。
 「千葉地裁は市東さんの農地を強制収用するな」と鮮烈に書かれた横断幕を最先頭に、デモは千葉市繁華街を進み、地裁正門に迫った。反対同盟宣伝カーからは、宮本麻子さんが力強く闘いへの支持と結集を訴えた。

本人が書けぬ字

 約70の傍聴席を満杯にして午前10時30分開廷。
 NAAは、市東家の耕作地位置特定について、孝雄さんの父・市東東市さん(故人)が旧地主と交わしたとされる「同意書」「境界確認書」を唯一「証拠」としているが、東市さんの署名も含めこれらは偽造文書だった。弁護団は今回、このことを決定的に証明する新たな主張を行った。
 東市さんは1985年7月21日に芝山町菱田で開かれた成田用水反対集会に参加した。
 集会後に東市さんは、「今日は舌がもつれてうまく発言できなかった。言葉が出てこなかった」と周囲に明かした。翌日、千葉県救急医療センターで脳外科医師から「軽い脳梗塞」と診断され、年末までリハビリ治療を行った。
 千葉地裁での成田空港2期工事差止請求裁判第10回弁論(87年12月)での本人尋問で、宣誓書に署名した東市さんの文字は、発症前に比べて筆勢が弱くぎこちない筆跡で、健康状態による影響が明らかである。
 88年4月ごろに作成されたとする「同意書」「確認書」の「市東東市」署名は、筆勢が強く乱暴な運筆であり、本人が書けるものではない。署名は偽造だ!
 さらに弁護団は、市東家の南台賃借地の位置特定問題で、NAAが「予備的主張」として言い出した「面積は特定されていたが、場所は決めていなかった」との珍説を、具体的事実をもって批判し、求釈明を突きつけた。「場所はどこでもよかった」とは、訴訟の根幹にかかるデタラメだ。
 NAA代理人は無表情を装っているが、内心の動揺を隠せない。
 次回期日を4月24日とし、この日は閉廷した。

強制執行阻止を

 近くの会場で伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。
 最初に市東さんが「今まさに正念場。この耕作権裁判で必ず勝つ」とあいさつし、熱い拍手を浴びた。葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団が発言し、文書偽造・筆跡問題、土地の位置問題で徹底的に原告NAAを追い詰め、農地強奪攻撃を粉砕する決意と展望を明らかにした。
 連帯発言でユニオン習志野の菊池晴知委員長が、障害者不当解雇撤回闘争の決意を表した。
 天神峰の現地決戦本部から婦人行動隊の木内敦子さんが、2月4日に市東さん宅離れで「カフェ」を開くことを明らかにし、現地訪問運動を広げようと呼びかけた。
 最後に伊藤さんが、2月14日の強制執行差止の審尋、3月2日の請求異義裁判の弁論への結集を訴え、強制執行を阻止する具体的力を結集することを訴えた。

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2・14強制執行停止申立審尋・デモ
 2月14日(火)午前9時
  葭川(よしかわ)公園集合
  千葉市内デモ
 10時30分開廷 第3誘導路裁判
 11時50分 強制執行停止申立審尋
 千葉地裁

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