東交先頭に小池たおそう 大阪市営交通での攻防の教訓 丸ごと民営化に絶対反対 団結固めスト態勢構築を

週刊『前進』02頁(2830号02面01)(2017/03/23)


東交先頭に小池たおそう
 大阪市営交通での攻防の教訓
 丸ごと民営化に絶対反対 団結固めスト態勢構築を

(写真 3月5日、動労総連合は動労千葉・水戸のストを先頭にJR東日本本社への抗議行動に立った)


 都営地下鉄・バス丸ごと民営化をめぐる決戦が始まっている。3月14日の東交(東京交通労組)大会では、大阪市営交通の分割・民営化=全員解雇攻撃に続く都営交通民営化への危機感が表明され、徹底対決を求める意見が出された。大阪の攻防を見れば、小池百合子都知事の攻撃は「五輪後」ではなく、都議選直後だ。直ちに絶対反対のストで闘う決戦態勢をつくり出そう。

「大阪維新」はダブル選後に民営化に突進

 大阪市営地下鉄・バスの分割・民営化、株式会社化・職員全員解雇攻撃は、3月28日会期末の市議会で3分の2の賛成が必要な地下鉄・バス廃止条例案の審査に入った。自民党から「時期尚早」論が出るなど混沌(こんとん)としている。しかし民営化は労組破壊と一体であり、労働組合の闘いが一切を決める。それは攻防の推移を見れば明らかである。(年表参照)
 2008年2月、就任直後の橋下徹大阪府知事(当時)は道州制と大阪丸ごと民営化・労組絶滅を宣言し、橋下打倒の闘いが巻き起こった。
 11年11月、行き詰まった橋下は辞任し、府知事・市長ダブル選で大阪維新の会の松井一郎知事・橋下市長体制が成立。12月に府市統合本部(松井、橋下、上山信一特別顧問=現東京都政改革本部・特別顧問らで構成)を立ち上げ、規制緩和と労組攻撃を本格化させた。12年1月、中村義男市労連委員長は市長に90度腰を折り、弾劾の声が上がった。橋下はかさにかかって不当労働行為を乱発。組合活動アンケートや事務所撤去、「君が代」や「入れ墨」アンケートの職務命令・処分と職員基本条例、政治活動規制条例の攻撃をかけてきた。
 同時に府市統合本部は12年2月、地下鉄民営化・成長戦略プロジェクトチームとバス改革・持続戦略プロジェクトチームをつくり、6月に提言を発表した。(後述)
 市庁舎前で橋下打倒闘争が繰り広げられる中、大交(大阪交通労組)本部は13年1月、当局と民営化協議を進めることで裏切り合意。2月、廃止条例案が出され、5回の継続審査の上に2回否決されたが、16年3月にバス民営化基本方針、12月に地下鉄民営化基本方針が過半数の賛成で採択され、現局面を迎えた。

公営を攻撃し森友事件同様腐敗まみれに

 プロジェクトの提言は許しがたい内容だ。
 地下鉄はじり貧で「第2の国鉄化」する。運転士の業務は1日30分延長できる。閑散駅も大きな駅並みの要員が配置されており、遠隔システムなどが活用されていない。運転士90人、駅員105人の削減が可能。市バスは他都市の2倍コストがかかり運転手の年収は民間より4割高い。保守は外注化し、赤字路線はバス以外への転換も考える----。
 橋下は「公営ではできない第2段階の前に公営でできる第1段階を進める」と述べ、交通局長に京福電鉄(京都市)の藤本昌信副社長を据えた。地下鉄の人員削減・外注化、地下街事業を広げ、バスは高収益路線への民間参入と赤字路線廃止で139路線を87に減らし、賃金・職員の2割削減で民営化の地ならしとした。破産した国鉄分割・民営化同様、公営の使命を放棄する暴挙だ。
 15年3月、藤本局長は知人社長との不適正な随意契約などで懲戒処分を受け、13年度以降の随意契約の7割、980件の不適正手続きが発覚した。森友学園事件と同じ民営化と不正・腐敗の連鎖である。
 民営化は組合の同意なしに進まない。大交本部は今年2月22日、当局との団交で「民営化に向けて協議していく姿勢は揺るぎない」と忠誠を誓った。国鉄分割・民営化時の動労(現JR総連)カクマルと同じだ。だが現場は全力で闘ってきた。すべての攻撃は不当労働行為であり「一人であっても職務命令や処分との闘いは団結権の行使だ」と闘い、組合活動アンケートに続き「入れ墨」アンケート処分も粉砕した。大阪都構想は15年5月の住民投票で否決、橋下は倒された。絶対反対で闘えば勝てるのだ。

都議選で小池打倒の旋風を巻き起こそう

 すでに小池知事は施政方針で「行政改革」を強調し、都議選後の都業務丸ごと・都営交通民営化=東交破壊と労働大改悪を狙っている。3月9日の都労連中央委員会は「都政改革本部に最大限の警戒を」と確認した。
 北島邦彦候補を推し立て都議選で小池打倒の旋風を巻き起こそう。第2の国鉄分割・民営化と闘う動労千葉・動労東京に続き、ストで闘う東交の決戦態勢をつくり出そう。

------------------------------------------------------------
〈大阪市営交通民営化をめぐる動き〉
2011年
 11月 府知事・市長ダブル選で維新が勝利
 12月 府市統合本部発足
2012年
 2月 地下鉄・バス民営化プロジェクト発足
 4月 交通局長に京福電鉄副社長が就任
 6月 プロジェクト提言
2013年
 1月 大交が当局と民営化に向けて合意
 2月 大阪市議会に廃止条例案提出
2015年
 5月 住民投票で大阪都構想否決
 11月 橋下市長辞任、ダブル選で維新勝利
2016年
 3月 市議会がバス民営化基本方針可決
 12月 地下鉄民営化基本方針可決

このエントリーをはてなブックマークに追加