JRの分社化・転籍・地方破壊の攻撃を打ち砕く大決戦に立とう 30年を経て分割・民営化は破産

週刊『前進』04頁(2833号02面02)(2017/04/03)


JRの分社化・転籍・地方破壊の攻撃を打ち砕く大決戦に立とう
 30年を経て分割・民営化は破産


 国鉄分割・民営化が強行された1987年4月1日から30年、今や分割・民営化は完全に破産した。その象徴が鉄路の大半を維持できなくなったJR北海道だ。だが、JRはこの現実をも逆手にとって、業務の全面的な分社化と転籍強要、ローカル線の廃止による地方破壊を柱とする第2の分割・民営化攻撃を強行しようとしている。これとの攻防は、破産した新自由主義にしがみつき、戦争に突き進む以外に延命できない資本主義を、労働者階級の力で廃絶する闘いそのものだ。

3月ダイヤ改定を機会に地方線の廃止に踏み込む

 JR北海道の現実は、ブルジョア支配を揺るがしている。財務相兼副総理の麻生太郎は「国鉄を7分割して黒字になるのは三つで他のところはならないと鉄道関係者は例外なく思っていた。僕は当時力がなかったが、今だったら止められたかもしれない」と口走った。
 他方、安倍は「国鉄の分割・民営化によって効率的で責任のある経営ができる体制が整えられた」と答弁した上で、ローカル線の廃止は「人口が減る中ではやむを得ない」と言い放った。
 だが、その人口減少は、分割・民営化によって本格的に開始された新自由主義の攻撃がもたらしたものだ。分割・民営化は、社会全体を崩壊させてきた。
 ローカル線廃止は北海道だけの問題ではない。JR東日本は今年3月のダイヤ改定で、ローカル線の切り捨てに本格的に踏み込んだ。他方でJR東日本は、福島原発事故をなかったことにし、避難者に帰還と被曝を強いるため、常磐線の全線再開に躍起になっている。
 鉄路の廃止は地域を衰退させ、病院や学校などの廃止に連動する。安倍政権は今や、「選択と集中」の名で意識的に地方破壊を推し進めている。
 この攻撃に対し、動労千葉は地域住民と結び、内房線切り捨て反対の館山集会を成功させた。分割・民営化との闘いは、労働組合が軸になって地域からの総反乱を組織する新たな段階を迎えた。

戦争・改憲を阻み続けてきた闘い

 国鉄分割・民営化を強行した当時の首相、中曽根康弘は「(国鉄分割・民営化をはじめとする)行政改革でお座敷をきれいにして、立派な憲法を安置する」と言い放った。労働運動を解体し、戦後憲法を破棄して日本を戦争のできる国にすることが、分割・民営化の根本の目的だったのだ。
 今、日米帝国主義による朝鮮侵略戦争が急切迫している。3月15~19日に日本、韓国、中国を緊急訪問した米国務長官ティラーソンは、北朝鮮スターリン主義政権を転覆するための戦争・核戦争に踏み込む意思をあからさまに示した。この戦争は、何よりもパククネを打倒して労働者革命へと進みつつある民主労総を先頭とした韓国労働者階級の闘いを圧殺するためにたくらまれている。
 中曽根以来の戦争・改憲の野望に立ちはだかってきた国鉄闘争は、戦争を止める決戦を迎えた。
 国鉄分割・民営化絶対反対を貫く動労千葉の闘いは、民主労総の信頼をかちとり、日韓労働者の強固な連帯をつくり出してきた。これこそが、帝国主義の侵略戦争をプロレタリア革命に転化する現実的な根拠である。

階級的力関係を規定した1047名解雇撤回闘争

 分割・民営化に際して、支配階級にあらかじめ成算があったわけではない。労働組合が階級的団結を固めて立ち上がれば、これを阻止できる可能性はあったのだ。
 しかし、旧動労カクマル(現JR総連カクマル)は分割・民営化の先兵・首切りの先兵となることで生き残りを図り、国労本部は頭を下げて攻撃をやり過ごすしかないとして屈服した。分割・民営化という理不尽きわまる攻撃に対し、当時、多くの労働者は、仲間を裏切るよりは首になっても反対を貫きたいという思いを持っていた。だが、既成の労組幹部は労働者のこの階級的魂を信頼し、それに依拠して闘おうとはしなかった。
 唯一、動労千葉が1985~86年、2波のストライキで反撃した。90年4月の清算事業団からの1047名の解雇に先立って、同年3月、動労千葉は渾身(こんしん)のストに立った。政治和解を追い求めていた国労本部もスト指令を下ろさざるを得なくなり、1047名解雇撤回闘争が始まった。この闘いは、今日まで階級的力関係を規定し続けてきた。

全国のJR青年労働者を動労総連合に組織しよう

 解雇撤回もないまま国鉄闘争を終結させようとした2010年4・9政治和解に対しても、動労千葉は国鉄闘争全国運動を立ち上げて立ち向かった。その闘いは、動労千葉組合員をJR不採用とした不採用基準の策定そのものを不当労働行為とした判決を最高裁で確定させた。1047名闘争は、解雇の撤回をJRに直接迫る新たな闘いに入った。国鉄解雇撤回闘争は、総非正規職化・解雇自由化と対決する最先端の攻防だ。
 国鉄分割・民営化はブルジョアジーによる公共財産の私物化だった。JRは公共交通の維持ではなく利潤の追求を最優先した。だから分割・民営化は鉄道業務の全面外注化によって最終的に完成するものだった。
 JR東日本は2000年以降、業務の全面的な外注化に着手した。しかし、数年中に外注化を完成させるというJRの思惑は、動労千葉の闘いによって打ち破られた。動労千葉は17年にわたる外注化反対闘争を貫いてきた。12年10月に検修・構内業務の外注化が強行されたが、動労千葉の粘り強い闘いは今も外注化の完成を阻んでいる。
 だが、JRはついに業務の全面的な分社化と転籍に踏み込んできた。
 さらに、大阪市が地下鉄・バスの民営化を強行し、小池都政はこれに続いて都の業務の丸ごと民営化に突き進もうとしている。これらは、安倍政権による「働き方改革」、つまり正社員ゼロ・総非正規職化と解雇自由化の攻撃の先端に位置する。この攻撃との最大の決戦場がJRだ。
 国鉄分割・民営化の破産は、その先兵となったJR総連カクマルの解体状況をつくり出している。JR東日本は東労組カクマルとの結託体制の最終的な清算を決断した。これに対してカクマルは、「会社を持続的に発展させるためには『JR改革』が必要」と叫び、第2の分割・民営化攻撃の手先となることで延命を図る以外にない。
 カクマルに対する青年労働者の反乱は必ず起こる。動労総連合に青年労働者を組織するチャンスが来た。動労総連合の組織拡大こそ、国鉄分割・民営化に労働者の側から決着をつける最大の鍵だ。
 民営化と規制緩和は森友学園事件に示される支配階級のすさまじい腐敗を噴出させている。安倍は極右・日本会議と結託し、国有地をただ同然で森友学園に譲渡した。私的資本による公共財産の大規模な簒奪(さんだつ)は、国鉄分割・民営化から始められた。民営化の正体は暴かれた。
 動労千葉―動労総連合はこの時代だからこそ労働運動をよみがえらせようと全力で呼びかけている。これに応え、第2の分割・民営化攻撃粉砕の決戦に立とう。
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