労働現場から 保育園の民営化反対 小池の「待機児童解消」のねらいは公立つぶし

週刊『前進』02頁(2846号01面05)(2017/05/25)


労働現場から
 保育園の民営化反対
 小池の「待機児童解消」のねらいは公立つぶし

共同して生きる力をはぐくむ場

 朝出勤すると、園舎の2階から「いってらっしゃい!」と声が聞こえ、仕事に向かう親に手をふる園児がいる。まだ2歳児だ。「寂しいけれど、保育園でみんなと過ごすから大丈夫」と親を励ましているようだ。今日もこの子どもたちが安全にそして健やかに過ごすことができるよう、職場の仲間と協力して頑張ろうと仕事につく。
 ここには競争も分断も成果主義も必要ない。保育園は子どもも大人も互いを認め合い、共同して生きる力をはぐくむ場だ。保育労働者と保護者が子育てを親の責任にせず、公的責任で行う保育制度をかちとってきた。
 しかし、国鉄分割・民営化以来の新自由主義は、2015年「子ども子育て支援新制度」を発足させ、子育てを資本のもうけの道具にした。
 小池都知事が進める「待機児童解消・定員7万人増」は、国家戦略特区を使い、公立保育園を一掃する民営化・非正規職化・労働組合つぶしだ。「働き方改革」で8時間労働制を解体し、すべての労働者を非正規職に突き落とす。小池知事は絶対に労働者・住民の味方などではない。

働き方改革反対都議選で勝利を

 保育の規制緩和は公園など公的資産を資本家に差し出すだけではない。全労働者、特に女性労働者を非正規職に突き落とし女性保護規定を奪ってきた歴史をさらに進める攻撃だ。資本の都合良く労働者を働かせる「働き方改革」を進めるために保育園の完全民営化がある。「夜遅く働いている保護者のために長時間預かる保育園が必要」「職場の中に保育園があれば安心」と24時間保育が叫ばれ、民営化園や事業所内保育園の増設のために予算が組まれている。
 昨年10月に都が社会福祉法人・尚徳福祉会に委託して開園した「とちょう保育園」には園庭もない。夜10時まで開園し、派遣された労働者が働いている。これが認可保育園の実態だ。
 「被曝と帰還の強制反対」署名を職場で集めて解雇され、これを許さず立ち上がった非正規職女性労働者が働いていた議事堂レストランの隣に「とちょう保育園」がある。都庁内に膨大な非正規職労働者を生み出しているのが小池知事だ。労働者と子どもの未来を奪う労働法制改悪に反対し、都議選で北島邦彦さんの勝利をかちとろう。

保育署名武器に労組守り拡大へ

 子どもを保育園に預けて働かなければ生きていけない膨大な労働者家族がいる。「働き方改革」は、ますます労働者を低賃金、過重労働、非正規職に追い込む。朝鮮戦争の切迫に対し、労働者の抵抗を根絶する攻撃と一体だ。民営化に反対する保育労働者の団結があり、その団結が戦争を阻んでいる。小池はこれをたたきつぶしたいのだ。
 命より金もうけの保育は許さない! 「保育園の民営化・規制緩和に反対する署名」が始まった。この署名を使い、職場で街頭で地域で議論を巻き起こそう。自治体労働運動つぶしに反対し、民間保育園では労働組合をつくって闘おう。
(区立保育園労働者・山下幸子)
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