『労働運動の変革をめざして』を読んで 真に階級的な団結をつくった動労千葉の軌跡を照らし出す

週刊『前進』04頁(2863号02面05)(2017/07/24)


『労働運動の変革をめざして』を読んで
 真に階級的な団結をつくった動労千葉の軌跡を照らし出す


 国鉄分割・民営化から30年の節目の年に、国鉄闘争全国運動が編集した『労働運動の変革をめざして』が発行された。国鉄分割・民営化との闘いを、その前史を含め、動労千葉を軸とする階級的労働運動の立場から総括し、今後の展望を照らし出した貴重な本だ。
 JR北海道の現実が示すように、国鉄分割・民営化は大破産した。だからこそ支配階級は、地に落ちた「国鉄改革成功」神話を今また絶叫せざるを得ない。その一例が、今年3月にJR東海名誉会長・葛西敬之が出した『飛躍への挑戦』だ。そこで葛西は、彼特有の尊大な口調で、分割・民営化を強行した自分の「手柄」を吹聴している。
 JR総連カクマルも、「国鉄改革30年検証運動」と称して、分割・民営化の手先となった自己の裏切りを「正当化」するファシスト運動を開始した。
 彼らに共通しているのは、分割・民営化にもかかわらず、階級的労働運動は根絶などされなかったという歴史の真実を、絶対に見据えられないことだ。
 国鉄労働運動について書かれた凡百の書物は、その歴史を悪意を込めて次のように描いてきた。「70年代初頭の反マル生闘争での労組の勝利は、組合の増長と職場規律の崩壊をもたらし、75年のスト権ストの敗北で国労・動労指導部は展望を失い、国鉄分割・民営化によって日本の労働運動は幕を下ろした」と。
 だが、動労千葉のたどった歩みは、こんな構図にはまったく当てはまらない。総評労働運動の敗北の対極で、動労千葉の真に階級的な労働運動がどのように形成されてきたのかを、『労働運動の変革をめざして』は説き明かしている。
 反合理化・運転保安闘争をはじめとする諸闘争を、動労千葉は自分の直接の利益を超え、階級全体の利益のために闘ってきた。これが労働者の誇りを培い、それに裏打ちされた団結が、従来の労働運動の「常識」を超えた闘いをつくり出してきた。もとよりそれは苦闘の連続だったが、労働者の階級的団結にのみ依拠するあり方が、困難な闘いに挑む決断を可能にした。
 分割・民営化との30年にわたる闘いの上に、動労千葉は安倍の改憲攻撃、JRの分社化・転籍攻撃と対決する新たな攻防に踏み出した。この決戦を闘いぬいてこそ、労働運動全体を変革できる展望がある。
 本書は、職場で階級的労働運動を実践するすべての仲間たちに、貴重な経験と教訓、知恵を提供している。徹底的に学び、活用して闘おう。
(長沢典久)
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