ヒロシマから訴える 米日帝の朝鮮侵略戦争阻止 すべての核の廃絶まで闘う 被爆二世 中島 健

週刊『前進』04頁(2877号04面01)(2017/09/18)


ヒロシマから訴える
 米日帝の朝鮮侵略戦争阻止
 すべての核の廃絶まで闘う
 被爆二世 中島 健

(写真 8・6ヒロシマ大行動でデモの先頭に立つ中島健さん【右】)


 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が9月3日、「水爆実験が成功した」とする発表を行った。私は、被爆者の子として、また何よりも労働者階級の一員として、21世紀におけるプロレタリア革命を目指す党として、この核実験を断じて容認できない。米トランプ政権であろうと、北朝鮮キムジョンウン政権であろうと、自己の利害を貫くために核兵器による威嚇に走るすべての勢力を徹底的に弾劾する!
 核兵器とは何か。労働者階級皆殺しの兵器以外のなにものでもない。通常兵器がたんに大規模化し、威力が格段に増したものでもない。まさに、放射能の問題であり、人間に死と健康障害を将来世代にわたって強制するものだ。朝鮮人被爆者も含むヒロシマ・ナガサキの被爆者、ビキニの被爆者の60年、70年を超える苦悩と闘いは被爆二世・三世にも及んでいる。さらに2011年3・11福島原発事故が生み出した、おびただしい数の被曝者と甲状腺がんなどの異常な多発とこれと闘う福島の被災者に全面的に敵対している。なによりも北朝鮮の核開発により朝鮮人民自身が被曝させられ、放射能で殺されている。核と人類は絶対に共存できないのだ。

米日帝こそが核戦争の元凶

 北朝鮮の核実験を巡って第一にはっきりさせるべきことは、新自由主義の崩壊と支配の危機を戦争によって打開しようとする米日帝国主義の朝鮮侵略戦争策動こそが、朝鮮半島・東アジアにおける戦争・核戦争の危機をつくりだしている最大の原因だということだ。
 米日帝国主義は、北朝鮮スターリン主義が軍事的対抗という反人民的な路線しか持たないことを知り尽くして、「作戦計画5015」に基づく軍事演習を繰り返してきた。北朝鮮の「脅威」がマスコミであおられているが、国力と軍事力の圧倒的な差をもって朝鮮半島を威圧しているのはアメリカ帝国主義の側だ。
 逆に、米帝は自己にとって最も有利な時を選んで戦争にもっていこうとしている。米国防長官マティスはホワイトハウスでのトランプ大統領、ペンス副大統領、米軍トップのダンフォード統合参謀本部議長との会談後、「北朝鮮の全滅は望んでいないが、そうするだけの多くの選択肢がある」と言い放った。国家丸ごと消滅させる核戦争も辞さないというのだ。
 日帝・安倍もこれに同調し、「最大限の圧力を」と叫んで北朝鮮を徹底的に追い詰めることで戦争の危機を極限まで高め、頓挫しかかった改憲=9条破棄を成し遂げようとしている。このトランプ・安倍ら1%の支配者が、彼らの利益のために、労働者階級人民を動員し犠牲にする戦争を始めようとしているのだ。この戦争の本質はここにある。

核保有は労働者への敵対だ

 その上で第二に、北朝鮮の核実験とICBM(大陸間弾道ミサイル)開発は、とことんまで反労働者的であり、労働者階級の団結と闘争を破壊するものとして断罪されなければならない。そこには、世界革命に敵対するスターリン主義反革命の反人民的本質が如実に示されている。
 「ソウルを火の海にする」「アメリカを水没させる」「日本が放射能雲で覆われる」などの言辞は、韓日米の労働者人民を核の標的にするということだ。パククネを打倒した民主労総、サード阻止闘争を闘う韓国労働者人民を、核で殺しても構わないというのだ。そこには労働者階級の国際連帯や団結の思想はみじんもなく、ただ「一国社会主義」・北朝鮮キムジョンウン体制の延命のために労働者人民(自国も含む)を犠牲にして構わないという腐敗した思想しかない。100年前、革命ロシアは独の占領・干渉、英米仏日帝国主義の反革命的干渉戦争からどうやって防衛されたか。世界革命の砦(とりで)となり、国際プロレタリアートの共鳴、支持、連帯闘争をつくりだすことによってだ。ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ、日本の人民を「威嚇」することでは断じてなかった。
 北朝鮮スターリン主義の核武装の狙いは、ようするに米帝・トランプに自らの支配体制を保障してもらうことだ。だが、核を持てば攻撃されないとか、トランプや安倍のような帝国主義ブルジョアどもと交渉・平和共存できるとかいうのは、まったくの幻想だ。帝国主義ブルジョアジーに「理性」を求めるものだ。帝国主義的権益の再分割のためなら世界戦争にも訴え、戦後革命を恐れてその圧殺のためならヒロシマ・ナガサキに原爆投下まで行う。これが命よりカネの帝国主義だ!
 北朝鮮の核実験とICBM開発は、結局、帝国主義の排外主義と戦争の扇動にさおさし、米日帝国主義の朝鮮侵略戦争・核戦争を促進するのみであり、事実促進している。
 帝国主義の戦争を阻止できるのは、労働者階級の国際連帯、ゼネスト―革命による自国政府打倒の闘いのみである。崩壊する新自由主義・資本主義を打倒する世界革命へ階級的団結を形成し拡大することだ。ヒロシマ・ナガサキの被爆者は労働者階級の最先頭で闘う。その闘いを妨害し、襲いかかるスターリン主義反革命も打倒あるのみだ。

始まる前に戦争を止めよう

 「戦争絶対反対、ヒロシマ・ナガサキを繰り返さない」----この戦後以来の階級的決意と実践を貫きとおすことが今こそ問われている。朝鮮戦争がいったん始まれば、東アジア、全世界を巻き込む核戦争にまで行き着く。始まる前に絶対に止めなければならない。日米、南北朝鮮、全世界の労働者階級人民はだれも戦争など望んでいない。戦争を止めるのは米日など大国の支配者たちの駆け引きではない。労働者階級人民の戦争絶対反対の国際連帯であり、ゼネスト―革命だ。
 日々洪水のように宣伝される「北朝鮮=元凶論」「北朝鮮攻撃やむなし」の改憲と戦争に向けた排外主義扇動(在日朝鮮人への襲撃)を断じて許してはならない。ヒロシマでは連合・被団協・原水禁が慰霊碑前に集まり、始まろうとする朝鮮戦争に反対の一言も叫ばずに、北朝鮮の核実験を非難している。広島県知事・湯崎は「断固たる対応」を政府に要求した。あたかも被爆地から米帝による朝鮮先制攻撃を待ち望む声が上がっているかのような演出が行われている。
 このような朝鮮戦争・核戦争の急切迫情勢に対して、サード阻止を闘う韓国の同志とともに8月6日、原爆ドーム前で「始まる前に戦争を止めよう」と訴えた私は、あらためて朝鮮戦争・核戦争絶対阻止、すべての核の廃絶のために闘うことを誓いたい。
 戦争=核戦争の根源が資本主義の危機、新自由主義の破綻にあることを暴露し、国際連帯と改憲・戦争阻止のゼネスト―革命を闘う階級的労働運動をヒロシマの被爆者・被爆二世こそが切り開いていく。
 連合、日本共産党スターリン主義の戦争翼賛勢力化を許さず、一切の戦争協力を拒否する労働組合の闘いが決定的となった。
 朝鮮戦争絶対阻止へ闘う民主労総と連帯し、11・5全国労働者集会―改憲阻止1万人大行進を大成功させよう!

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