規制委、東電の「適格性」認定 破綻した原発政策たて直し狙う

週刊『前進』04頁(2879号04面02)(2017/09/25)


規制委、東電の「適格性」認定
 破綻した原発政策たて直し狙う



(写真 反原発集会に出店した福島診療所建設委員会【上】と動労水戸支援共闘【下】のブース。動労水戸組合員と家族、動労千葉組合員、福島から椎名千恵子さんなどが駆け付けた【9月18日 代々木公園】)


 原子力規制委員会は9月13日の定例会合で、東京電力には原子力事業者としての「適格性」があると認定した。これは、3・11福島原発事故を引き起こした極悪の犯罪企業・東電の責任を百パーセント免罪することだ。さらに、東電が原発政策を積極的に進めることを認めたのだ。福島をはじめ全国の労働者人民は断じて許さない。
 規制委はこの認定を、東電が再稼働をねらう柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の安全審査に関連して強弁した。同時に、「適格性」の条件として、経済産業大臣が東電を指導・監督するよう求めることも決めた。さらには、柏崎刈羽原発6、7号機が安全審査に事実上合格したことを示す「審査書案」も、近日中に了承する方針だ。

柏崎刈羽原発の再稼働突破口に

 東電の原子力事業者としての「適格性」認定とは、柏崎刈羽原発という、ひとつの原発の再稼働とは次元を異にする攻撃だ。それは日帝・安倍政権が3・11福島第一原発事故を東電とともに開き直り、福島をはじめとした労働者人民の原発への広範な怒りと闘いを圧殺し、破綻した原発政策を立て直す企てだ。規制委はその道を掃き清める役を進んで担っているのだ。
 そもそも「原子力事業者としての適格性」などありえない。原発は、事故が起こらなくてもそこで働く労働者と周辺住民を被曝させ続ける。いったん事故が起これば、取り返しのつかない事態となることは福島第一原発事故やチェルノブイリ原発事故が証明している。核と原発は人類と絶対に相いれないのだ。
 その上で、東電の犯罪性は抜きん出ている。何よりも、東電こそ自民党と並ぶ3・11福島第一原発事故のけっして消すことのできない責任者だ。にもかかわらず、13年9月に柏崎刈羽原発6、7号機の審査を申請した。だがここでも、防潮堤の地盤が液状化する危険が判明したり、事故の際の拠点となる免震重要棟の耐震不足を報告していなかったりと、次々と悪事が発覚しているのだ。

核武装・核戦争に突き進む安倍

 新自由主義の崩壊と日帝の絶望的な危機のもとで、安倍は北朝鮮スターリン主義の核・ミサイル実験をも餌食にし、改憲と朝鮮侵略戦争、原発推進・核武装―核戦争にまでに突き進もうとしている。そのために、核兵器の材料であるプルトニウムを生産する原発の維持をめざし、基軸電力資本・東電の立て直しを図ろうとしているのだ。
 また規制委が経済産業相に東電を指導・監督するよう求めるのは、安倍と一体の経産大臣・経産省を原発政策の司令塔の位置に押し立て、その意思を貫こうということだ。
 安倍は、改憲と労働法制の全面改悪を通して日本社会を一変させようともくろんでいる。今回の攻撃はそれとひとつの改憲攻撃そのものだ。原発の稼働や原発事故で被害をこうむらない権利、労働者人民の基本的人権である「生存権」を抹殺し、労働組合を破壊し、「戦争放棄」を投げ捨てて朝鮮侵略戦争・核戦争に踏み出そうというのだ。
 動労水戸や愛媛県職労、京都府職労舞鶴支部のように被曝労働拒否を貫き、労働組合を中心に地域住民も一体となった団結と闘いをつくり出すことこそ、原発再稼働を阻止し、全原発を廃炉に追い込み、安倍が進める改憲と朝鮮侵略戦争を阻止する道だ。団結を強め拡大し、断固闘おう。

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