原発事故居直る反動判決 千葉地裁 国の責任を全面否定

週刊『前進』04頁(2881号02面03)(2017/10/02)


原発事故居直る反動判決
 千葉地裁 国の責任を全面否定


 東京電力福島第一原子力発電所事故で福島県から千葉県内に避難した18世帯45人が、国と東京電力に計約28億円の損害賠償を求めた集団訴訟の判決が9月22日千葉地裁であった。
 阪本勝裁判長は「国は巨大津波を予測できたが、回避措置を講じても事故を回避できなかった可能性がある」などと述べ、原発事故への国の責任を否定し、国への請求を退ける反動判決を下した。一方、東電に対しては、17世帯計42人に計約3億7600万円を支払うよう命じた。
 同様の集団訴訟は全国約30カ所で計約1万2千人が起こしており、判決は2件目。今年3月に前橋地裁は「国が規制権限を行使していれば原発事故は防げた」として、金額はわずかとはいえ、国と東電の事故責任を明確に認めた。
 ところが千葉地裁は前橋地裁と同様、遅くとも06年までに10㍍を超す巨大津波の発生を予測できたとしながら、「原告らが主張する回避措置をとったとしても事故を回避できなかった可能性がある」として、国の責任を否定したのだ。
 「回避措置をとっても事故を回避できなかった可能性がある」。なんという言いぐさか。こんな暴論を許したら、全国各地の原発の再稼働が一気に強行されてしまう。原発事故が起きてしまったら、もうそこには住めなくなるのだ。
 歴代自民党政府と電力会社が「国策」として、無謀にも日本中に原発をつくってきた。しかも原発推進は核武装が目的だ。その破綻の結果として史上最悪の福島第一原発事故が起こり、多くの人びとが古里を捨てざるをえなかった。この責任は政府と東電にあることは明々白々ではないか。
 この千葉地裁の許しがたい反動判決は、新潟県の東電・柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働攻撃と一体だ。そして安倍の衆議院解散・総選挙と改憲・戦争攻撃、被曝者切り捨て、帰還強制攻撃と重なり合っている。
 動労水戸の被曝労働拒否を掲げて闘われた9・23いわき集会の大成功を引き継ぎ、衆院選決戦の勝利と、11・5全国労働者総決起集会・改憲阻止1万人大行進に向けて進撃しよう。
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