都営バスの民営化許さない 民間譲渡・廃止攻撃が本格化戦争・改憲へ労組の破壊狙う

週刊『前進』04頁(2889号02面02)(2017/10/30)


都営バスの民営化許さない
 民間譲渡・廃止攻撃が本格化戦争・改憲へ労組の破壊狙う


 安倍政権が都営バスをはじめ全国の公営交通、上下水道、公立病院などの全面民営化・民間譲渡、廃止攻撃を本格化させています。民間企業と比較して「赤字」や「無駄」をあげつらうのは、国鉄分割・民営化の時や大阪府知事・市長だった橋下徹と同じ。その最大の狙いも同じく、戦争と改憲のための労働組合破壊であり地方切り捨てです。

「人件費が5割も高い」と悪宣伝

 国を挙げた大攻撃です。マスコミが公営事業、第三セクターや公社への攻撃を始めました。「民間と比べて人件費が高い、無駄が多い、赤字を税金で穴埋めしている」「非効率な運営で不採算となる事業のツケが将来世代に回される」というキャンペーンです。
 9月6日付日経夕刊は「総務省が民間企業と競合する自治体の事業の経営健全度を総点検」「民間譲渡や廃止の決断を後押しする」と報じ、都営バスを名指しして「コストが42%、人件費が5割高い」と問題にしました。都営を狙い撃ちする攻撃です。東交(東京交通労組)の労働者は「ふざけるな! 今でも食えないぞ。この10年、1割も賃金を下げられたのにまだ攻撃するのか」と怒りの声を上げました。
 5月、経済財政諮問会議は「公営企業に毎年3兆円が他から充当されている」「構造改革をチェックすべき」と議論し、6月の骨太方針は「見える化」による行財政改革、「ワイズ・スペンディング(賢い支出)」を打ち出しました。小池百合子都知事もこの言葉を多用しています。
 本来、社会に必要な公営事業の「効率」を問題にすること自体がおかしいのに、それを資本の会計基準で比較して圧力をかけ、地方交付税削減で民営化や廃止を迫ろうというのです。安倍政権は資本救済のために1千兆円を超える債務を激増させながら、金融の異次元緩和を継続してリーマンショック以上の大恐慌に突進しています。資本主義の終わりです。何が「ワイズ・スペンディング」でしょうか。労働者の生活、社会などどうなってもいいという攻撃です。

国鉄分割・民営化型の労組つぶし

 国鉄分割・民営化とは何だったのでしょうか。
 1980年代初頭から国とマスコミが一体となって国鉄赤字キャンペーンを始めました。「労働者がなまけている」「ストライキばかりやっている労働組合のせいだ」などというデマを流し、「民営化すればすべてが解決する」と宣伝しました。この攻撃にストライキで立ち向かった動労千葉以外の労働組合は闘わずして屈し、旧動労本部(現JR総連)カクマルに至っては当局の手先となって労働者を攻撃し、20万人が職場を追われました。
 当時の中曽根首相は「分割・民営化で国労をつぶし総評を解散に追い込んで立派な憲法を安置する」と公言しました。「国鉄赤字」は口実であり、労働組合の破壊と改憲が最大の目的だったのです。
 その結果どうなったでしょうか。労働者の団結が破壊され、多くの企業で外注化が進み、安全が崩壊。ローカル線切り捨てで「地方消滅」が進行しています。非正規職化と貧困が拡大し過労死が多発する状況がつくられたのです。電通やNHKの青年労働者の過労死・過労自殺は、超長時間労働の口実とされた36協定とサービス残業、裁量労働制を認めてきた労働組合の屈服抜きにありません。

東交労働者の力思い知らせよう

 青年・学生、労働者がすさまじい分断と競争にたたき込まれ、生きる誇りを奪われてきました。子どもを産み育てることも困難な現実が強いられています。その結果としての少子化であり、戦争・改憲への突進です。怒りが爆発しようとしています。衆院選での斎藤いくま全学連委員長の「この国に革命を」の訴えは、日本におけるゼネストと革命の始まりです。
 国鉄分割・民営化に対し1047名解雇撤回を求める100万人支援陣形が自治労や日教組を軸に形成され、改憲を阻んできました。外注化・非正規職化と対決して動労総連合が建設され、階級的労働運動を前進させてきました。13日の動労東京八潮支部の24時間ストは資本を追いつめ、3カ月雇用の組合員の正社員化と全社員の賃上げをかちとりました。現場労働者が団結して闘うことで勝利してきた歴史的地平です。
 都営交通をめぐる決戦が始まりました。「東交は民営化に屈した大交(大阪交通労組)とは違う」「地方の切り捨てにつながる都営バスの民営化はないのではないか」と言う人がいます。そうであればこそ民営化絶対反対で闘いに立つ時です。社会を回している労働者の力を思い知らせましょう。東交破壊を許さない! 誇りある東交労働者の闘いをたたきつけよう。11・5日比谷に大結集し都労連秋闘を闘いぬこう。
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