トランプ―安倍戦争会談粉砕へ 朝鮮周辺で米軍が臨戦態勢 国境越えた団結で戦争阻止を

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週刊『前進』04頁(2889号03面01)(2017/10/30)


トランプ―安倍戦争会談粉砕へ
 朝鮮周辺で米軍が臨戦態勢
 国境越えた団結で戦争阻止を


 11月5日の米大統領トランプの訪日と6日の日米首脳会談を前に、朝鮮半島をめぐる軍事的緊張と戦争の危機が激化している。トランプと安倍の会談は、北朝鮮への先制攻撃と全面戦争の開始に向けた意思一致の場になろうとしている。今こそ全世界の労働者と力を合わせ、世界最悪の戦争放火者=トランプと安倍を戦争絶対反対の怒りの声で包囲しよう。11・5集会と大デモをかちとろう!

B52に核爆弾を常時搭載

 米韓両軍は10月16〜20日、朝鮮半島周辺で大規模軍事演習を強行した(本紙2887号で既報)。在韓米軍はこれに続いてステルス戦闘機F22、同F35を投入した「航空・宇宙ショー」をソウル近郊で強行するなど、北朝鮮に対する一方的な戦争挑発を続けている。原子力空母ロナルド・レーガンは演習終了後も黄海などに展開しており、今や米軍のあらゆる攻撃兵器が朝鮮半島周辺に投じられている状態だ(図)。
 加えて24日に空母セオドア・ルーズベルトが、25日には同ニミッツがそれぞれ米海軍第7艦隊の管轄区域に投入され、空母3隻が同時に朝鮮半島周辺に展開する可能性が出てきた。
 政権支持率の低迷、側近の失脚、共和党内からの離反などにあえぐ米トランプ政権は、この危機を戦争によって突破しようと狙い、北朝鮮との軍事的緊張を意図的に激化させながら急ピッチで戦争準備を進めている。20日には退役空軍パイロット1000人の現役復帰を認める命令書に署名。続いて空軍参謀総長ゴールドファインは22日、核爆弾を搭載した戦略爆撃機B52を24時間臨戦態勢に置く計画を発表した。これが実行されれば「冷戦」終結以来26年ぶりに、大統領の命令一つでB52がいつでも核攻撃を実行できる態勢がつくられることになる。
 このトランプ政権の朝鮮戦争策動を全面的に支持する世界で唯一の政府が安倍政権だ。「北朝鮮の脅威から日本を守れ」と絶叫して総選挙を辛くも逃げ切った安倍は、トランプとの11・6日米首脳会談を機に朝鮮戦争への本格的参戦を狙っている。だが、安倍の戦争政治への怒りは地に満ちている。闘いはこれからだ。

金もうけのために大虐殺

 今、私たちの目の前で始まろうとしている戦争は、一握りの巨大資本とそれにつながる政治家・権力者が、自らの利益と延命のために、圧倒的多数の労働者民衆を互いに殺し合わせる犯罪的な侵略戦争だ。それは核兵器による恐るべき大虐殺戦争であり、第3次世界大戦に直結するものだ。
 実際に戦争が始まればどうなるのか。2005年に米国防総省の幹部やOBらが行った試算によると、北朝鮮との開戦初日だけでイラク戦争の5倍に相当する4000回の空爆が行われるという。このシミュレーションに参加した元海軍中将は、開戦直後の戦闘でソウルの一般市民の死者数は「約10万人に抑えられる」(!!)などと発言。「多くの人が死ぬが、それでも勝利する」と事もなげに言い放った。またジョンズ・ホプキンズ大学の試算では、北朝鮮との核戦争で「東京とソウルで計210万人が死亡する」という。しかもこれらの試算は、北朝鮮の民衆の被害を完全に無視している。こんな議論が平然となされていること自体があまりにも異常であり、絶対に許せないことだ。

 その一方で、巨大資本は戦争で大もうけを狙っている。「朝米間の緊張高揚で特需に沸く米国軍需産業」「北朝鮮核危機まで加わり軍需産業は〝喜色満面〟」と見出しを付けた韓国の日刊紙ハンギョレ新聞9月27日付の記事によると、北朝鮮の脅威への対応を口実とした国防予算増額案が9月18日に上院で可決され、直後に軍需産業株が急騰。軍用機製造の最大手ボーイング社の株価はトランプ政権発足時より60%も上昇し、「軍産複合体が北朝鮮情勢の恩恵を享受している」と報じられている。
 こうした中で先日、西アフリカのニジェールで米軍と武装勢力が交戦し、米兵4人が死亡した。この件でトランプは米兵の遺族に直接電話をかけ、「(死亡した米兵は)自分の任務を分かっていたはずだ」と発言した。一兵卒が戦争で死ぬのは当然だと言わんばかりの暴言に米兵の妻は激怒し、その場に泣き崩れた。しかも電話口でトランプは、死亡した兵士の名前さえ記憶していなかった。これに対し、全米で激しい抗議が巻き起こっている。
 これこそ現代の戦争の真実だ。戦争を引き起こす権力者は、自らは絶対に戦場に行かず、安全なところから命令を下し、未来のある若者たちを「名もなき雑兵」とばかりに次々と無残な死に追いやりながら、のうのうと金と利権をむさぼって恥じないのである。
 だが、労働者が闘う労働組合の旗のもとに団結してゼネストに立ち上がり、世界の労働者と固く連帯して自国政府打倒の闘いをやりぬくならば、戦争は必ず止めることができる。11・5労働者集会と改憲阻止1万人大行進の圧倒的な大成功をかちとろう。衆院選決戦の地平を引き継ぎ、韓国・民主労総に続くゼネストと国際連帯の力でトランプ・安倍打倒の労働者大闘争を開始しよう!

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