技能実習生は「現代の徴用工」 日帝資本の墓掘り人である外国人労働者と団結しよう

週刊『前進』04頁(2909号04面01)(2018/01/22)


技能実習生は「現代の徴用工」
 日帝資本の墓掘り人である外国人労働者と団結しよう

技能実習生の失踪が急増

 昨年11月1日、技能実習法(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律。16年11月28日成立・公布)が施行された。しかしそもそも「国際貢献」をうたう外国人技能実習制度の実態は強制労働そのものだ。
 送り出し国のブローカーに多額の保証金で縛られ、日本の受け入れ先でも労働者としての権利が保障されず、雇い主による暴言や暴行。反抗すれば強制帰国となり、多額の借金が家族・親族にまで襲いかかる。これが「現代の奴隷労働」「現代の徴用工」でなくて何なのか!
 法務省発表の技能実習生の失踪は、12年に2005人だったが、16年には5058人となり、17年は6月末までの半年で3250人と急増している。多い順に建設業、農業と続く。
 日本は移民を認めず、単純労働力の導入禁止が建前だが、特別永住者などを除き日本で働く外国人労働者は、16年に初めて100万人を突破し、108万3769人となった。(図1)
 内訳を見ると、増加率の上位から技能実習生が25・4%増の21万1108人(17年6月末現在25万1721人)、週28時間までの「資格外労働」が可能な留学生が25・0%増の20万9657人、専門・技術職で働く人は20・1%増の20万994人となっている。
 すでに建設・造船では、東京五輪の関連施設整備のため、技能実習生と、技能実習を終えて帰国した労働者を呼び戻して「即戦力労働者」として働かせるという時限緊急措置を15年4月から開始している。

3年で22人労災死

 厚生労働省は1月14日、労災死と認定された外国人技能実習生が2014〜16年の3年間で22人に上ったと発表した。10万人あたりで3・7人。国内の雇用者全体の1・7人と比べ2倍以上高い。過労死も1人いる。(図2)
 過労死したフィリピン人男性(27)は岐阜県内の鋳造会社で働いていた。過労死の認定基準を上回る月100時間前後の時間外労働が続き、心疾患で死亡。
 技能実習生をめぐる「労災隠し」が横行している。労災や過労死、心身の疾患、自殺に追い込まれるなど、日本で多くの青年労働者が殺されているのだ。

業者が農家に外国人派遣

 技能実習法は「適正な実施」「実習生の保護」をうたい、実習生の待遇改善や人権侵害には罰則を設け、受け入れ団体への監視機関を新設した。他方、これまでの最長3年だった実習期間を5年に延長、実習対象として初の対人サービスとなる「介護」を新たに加えるなど、資本の要求を満たす「使い勝手のいい低賃金労働力」としての技能実習制度が拡大している。
 16年に「不正行為」を通知された202の実習実施機関のうち、農業・漁業関係が67機関(33・2%)で最も多かった。実習実施機関による賃金不払いや旅券・在留カードの取り上げ、監理団体による割増賃金不払いの指示など組織ぐるみの事例もあった。
 農業での人手不足解消へ、安倍政権は12月15日、国家戦略特区で外国人の農業就労を解禁する新制度の実施指針をまとめた。
 働ける期間は通算3年で、収穫期の半年働き農閑期に帰国すれば6年にわたる労働も可能だ。
 最大の問題は、新制度では、外国人労働者は派遣会社が雇って農家に派遣する派遣労働者となる。複数の現場への派遣も可能だ。すでに別の事業で特区指定を受けている愛知県と沖縄県は今年中の実施を見込んでおり、ほかに茨城県、群馬県など11地域が特区指定を申請中という。
 共謀罪成立の翌6月16日に成立した特区法改定案に基づくが、竹中平蔵や八田達夫などからの圧力で実施が早まったという。竹中は人材派遣会社パソナグループの取締役会長。同じく特区(東京都、神奈川県、大阪市)で17年春に解禁となった家事代行サービスでも、第1陣のフィリピン人女性を迎え入れたのはパソナだった。外国人労働者をえじきとし、私腹を肥やす安倍とその側近どもを絶対に許すわけにはいかない。

「就労目的」と難民を排斥

 強制労働拡大と同時に安倍政権は「就労目的の難民申請者の一掃」を掲げ、これまで正規滞在の難民申請者すべてに認めてきた審査期間中の在留や就労を制限するとし、1月15日に運用を始めた。
 難民申請者を、①難民の可能性が高い者、②難民に該当しない者、③同じ理由の再申請者、④その他に振り分け、②③は在留資格を与えず強制退去手続きへ、④のうち「逃げた実習生」「退学した留学生」は就労不可とする。
 ①は「速やかに就労可能にする」と言うが、昨年9月末までの難民認定申請者1万4043人のうち、難民に認定されたのはたった10人にすぎない。
 この攻撃は、難民申請者への凶暴な排斥攻撃であるが、同時に安倍政権の外国人労働者政策の破産の現れでもある。資本の都合で労働力を調整しようとしても、そうはいかない。外国人労働者は人間だ! まさに在日・滞日外国人労働者こそ、日本帝国主義・資本の墓掘り人として存在している。入管体制を食い破って存在する外国人労働者と労働組合のもとに団結し、安倍政権の戦争と改憲、労組破壊と闘いぬこう!
〔革共同入管闘争組織委員会〕
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