焦点 原発輸出を安倍政権が全面支援 戦争・核武装と大資本救済

週刊『前進』02頁(2910号02面04)(2018/01/25)


焦点
 原発輸出を安倍政権が全面支援
 戦争・核武装と大資本救済


 日立製作所がイギリスで進める原発建設事業を、日本政府が全面的に財政支援しようとしている。対象となるのは日立がイギリス西部アングルシー島で計画する原発2基の建設・運営事業。事業規模3兆円だ。政府系の国際協力銀行や3大銀行が1兆円超を融資するほか、融資の全額を貿易保険制度の対象とし、返済を国が実質的に保証する。つまり事業で損失が出ても政府が税金で穴埋めする。
 日立はこれまで原発を製造して電力会社に納めるだけだったが、今回イギリスの原発企業を買収して発電事業にも参入する。米原発会社ウェスチングハウスを買収して大失敗した東芝と同様のことをやろうとしている。そこで日立単独では非常にリスクが大きいとして、異例の手厚い政府支援が決められた。官民一体の原発輸出である。
●海外輸出に延命かける
 人類の生存を根本から脅かす原発の危険性、反人民性は明らかだ。福島原発事故は7年後の今もまったく収束しておらず、危機的状態が続いている。また、原発は通常運転でも放射能汚染をまき散らしている。こうした中で、原発輸出を強行して他国の労働者人民を被曝させ、しかも原発企業の金もうけに人民の血税を使うことなど、絶対に許せない。
 日帝は、国内で新規建設が阻まれている中で、原発の海外輸出に延命の道をかけている。インドやトルコへも輸出を狙っている。これに対して各国で原発反対運動が起きている。日本が受注を決めていたベトナム初の原発建設計画は2016年11月、地元住民の根強い反対運動で白紙撤回された。インドでも原発のための日印原子力協定に対して反対運動が続いている。
●被爆者の怒りも無視
 日帝が原発再稼働と輸出を進めるのは核武装化のためである。その意図があるからこそ安倍政権は昨年7月に122カ国が賛成した核兵器禁止条約にも反対した。これには被爆者の怒りが爆発し、8・9長崎で被爆者が安倍に「あなたはどこの国の総理ですか」と激しく怒りをたたきつけた。
 安倍政権は、米・EU・中国・ロシアが一斉に軍事力強化に突き進んでいる中で、朝鮮侵略戦争と軍事大国化、核武装化へ突き進んでいる。原発輸出と9条改憲は核武装の道である。
●労働者の貧困化の対極で
 財界と安倍政権はますます一体化している。日立製作所会長・中西宏明が日本経団連の次期会長に内定した。中西は、安倍を支える財界人の会「さくら会」のメンバーである。国鉄労働者20万人の首切りを行った極悪人・葛西敬之(JR東海元会長)らとともに安倍を支えてきた。安倍はJR東海に対しても、リニア新幹線建設のために3兆円の巨額融資を行った。無担保、低利という、通常ならあり得ない好条件だ。
 安倍は、森友・加計学園疑獄どころか、はるかに巨額の税金を投入して、大資本の金もうけを助けているのである。安倍政権と中西経団連はますます一体化し日立や三菱重工業を先頭にして原発と鉄道輸出、さらにミサイル・戦闘機・艦船などの兵器生産・輸出にのめりこもうとしている。
 その対極で労働者人民に対して、労働大改悪、賃下げと過労死地獄、社会保障切り捨て、消費税大増税の攻撃を強めている。本当に許せない。
 ブルジョア国家の本質は「資本家階級が労働者人民を搾取し支配する道具」である。その本質が、帝国主義の危機の中でむき出しになってきた。革命が必要だ。労働者階級が主人公の新しい社会をつくろう。
 国鉄決戦と被曝労働絶対拒否の反原発闘争は日帝と対決し打倒する闘いだ。今春決戦に絶対勝利しよう。

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