利権と放射能まみれの大会、東京オリンピックは返上を 戦争・改憲と一体の攻撃許すな

週刊『前進』04頁(2915号02面01)(2018/02/12)


利権と放射能まみれの大会、東京オリンピックは返上を
 戦争・改憲と一体の攻撃許すな


 2018〜19年、日本の労働者・労働運動にとって20年東京オリンピック攻撃は真正面から闘い、粉砕すべきテーマである。安倍は朝鮮侵略戦争と改憲攻撃の最大の動力にオリンピックを使っている。戦争・改憲のための東京五輪は返上せよ! 労働者を貧困・過労死・非正規職にたたきこんで資本がもうける五輪などいらない! 何よりも東京の労働運動が先頭に立ち、職場から闘いに立とう。

安倍が五輪で戦争外交

 2月9日に開会した韓国・江原道の平昌(ピョンチャン)冬季五輪で、安倍はすさまじい戦争外交を行った。安倍は2日に米帝トランプと電話会談し、「北朝鮮への圧力の最大限強化」を合意。7日に来日したペンス米副大統領との会談で意思一致を行った。
 その後に安倍は9日、平昌にのりこみ開会式に出席し、ムンジェイン(文在寅)大統領と首脳会談を行った。安倍が首脳会談を設定した理由は、ムンジェインに対し、〝3月中旬の平昌パラリンピック閉会の後に速やかに米韓合同軍事演習を実施せよ〟と迫るためだった。さらに〝北朝鮮に対する韓国の人道支援再開は認めない〟〝日本軍軍隊慰安婦をめぐる「日韓合意」を履行せよ〟〝在ソウル日本大使館前の慰安婦像を撤去せよ〟などと居丈高に要求するものとなった。
 安倍は朝鮮半島での核先制攻撃・核戦争を実際に発動することを狙う米帝トランプを賛美し、その最悪の先兵として侵略戦争策動を激化させている。そのために韓国および北朝鮮の労働者人民に対する傲慢(ごうまん)な支配者意識をむきだしに、恫喝と戦争政治を行っているのだ。
 だがその背後にあるのは、民主労総を軸とした社会の根底的変革を求める韓国労働者人民の闘いへの日帝・安倍の恐怖である。

福島圧殺し被曝を強制

 20年東京五輪はこれまで120年間のどのオリンピックと比べても利権まみれ、放射能まみれの史上最も腐敗した大会である。

アスリートからも「返上すべき」の声

 元ラグビー日本代表の平尾剛氏は昨年11月22日付の自身のブログ記事で「スポーツとオリンピックは別離してしまった」「巨大公共事業の口実となり、国民の税金を堂々と私物化するための体のよい名目だ。国民統制、監視強化、ナショナリズムの動員など、資本家や権力者によって蹂躙(じゅうりん)されている」「競技者なきところでオリンピックは開幕から運営までが決められていくのだ」として五輪返上の意見を表明した。ブログは多くの支持と共感を集めた。
 東京オリンピックは放射能被曝を福島・全国・世界の人びとに強制する。安倍は、数十万人の被災者が避難生活を強いられ、政府の放射能隠しで膨大な人びとが被曝を強制されている最中の13年のIOC(国際オリンピック委員会)総会で演説し、「健康被害は今までも、現在も、これからも絶対にないと約束する」と大うそをまくしたてた。
 現在、政府・JRはオリンピックに向かい19年度中に常磐線を全線開通させ高放射能汚染地帯に住民を帰還させる世界史に類例のない核犯罪を強行しようとしている。原発事故を「なかったこと」にするためだ。
 被曝の問題は福島だけの問題ではない。「除染」で出た膨大な放射能汚染廃棄物の量を減らすために、環境省は汚染土の再利用の基準を従来の80倍の1㌔グラムあたり8千ベクレルに緩和し、東京五輪の公共事業で使う方針だ。汚染土の「再利用」は処理、輸送、建設などにかかわる労働者、自治体労働者、周辺住民などに桁違いの被曝を強制する。
 また、カヌー・ボート競技用の「海の森水上競技場」(東京都江東区)は放射性廃棄物埋立地の中央防波堤に造られる。
 東京都知事・小池百合子は、築地市場を更地化しオリンピック用の駐車場にすると発表した。築地の誇り高い仲間たちは「オリンピックのために築地をつぶすというのか!」と激しい怒りを表明している。

労働運動で打ち砕こう

 東京オリンピック攻撃を粉砕する闘いは労働運動にとって歴史を決する課題である。改憲・天皇制(天皇の代替わり)・オリンピックは日帝の存亡をかけた後のない攻撃であり、一体である。
 安倍政権は昨年5月に「20年オリンピックまでに新憲法施行」を打ち出し、3月25日の自民党大会で改憲案を決定、通常国会中にも改憲発議に持ち込み、来年中の国民投票を狙っている。同時にこの過程で天皇代替わり儀式と天皇制強化の大キャンペーンを活用し、「静かな環境で」とうそぶいて治安弾圧を激化させ総翼賛体制をつくろうとしている。それは、安倍政権の「働き方改革」と称する労働法制大改悪とひとつの攻撃である。労働組合を解体し産業報国会化することなしに日帝の全攻撃が大破綻するのだ。

「幻の東京五輪」が戦争突入の転機に

 歴史的にも戦争とオリンピック、天皇制は一体のものだった。かつての幻の「1940年東京オリンピック」は、日本と世界で労働者・農民が巨万の規模で闘いに立ち上がった20〜30年代の革命情勢の中で、「皇紀2600年記念事業」として打ち出され招致された。「皇紀2600年」とは「世界の歴史は神武天皇が即位した時から始まる」とする日本帝国主義の許しがたいでっち上げである。狙いは天皇制を振りかざして階級闘争を圧殺し、治安弾圧と祝賀ムードで戦争突入に対する一切の抵抗をたたきつぶすことであった。その柱として、国威発揚と国力誇示のために夏季東京オリンピックが据えられたのである。
 しかし日帝が37年7月7日盧溝橋事件を突破口に全面的な対中国侵略戦争に突入する中で、オリンピックは返上された。
 ここから今の20年東京オリンピックをめぐる情勢を見たとき、何をなすべきなのか。最大の焦点は、労働組合である。すべての労働者・労働組合は戦争・オリンピック・天皇制強化の攻撃への屈服と総翼賛化を許さず闘おう。階級的労働運動と国際連帯の力で日帝の朝鮮侵略戦争を阻もう。
 1929年に始まった世界大恐慌の最中に、米カリフォルニア州の住民はオリンピックへの抗議デモを闘った。20年に向かって世界経済が大恐慌の底なしの奈落に進むことは不可避だ。
 労働者人民の生活をとことん破壊し犠牲にして資本が金もうけをする東京オリンピック返上! 怒りの声を職場・地域から上げ、あらゆる人びとの怒りと結びつき連帯しよう。東京の労働運動が先頭に立とう。3・11反原発福島行動に集まり、福島の怒りと共にオリンピックを打ち砕こう。
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