焦点 世界同時株安でバブル崩壊へ 世界大恐慌と戦争の危機

週刊『前進』02頁(2916号02面04)(2018/02/15)


焦点
 世界同時株安でバブル崩壊へ
 世界大恐慌と戦争の危機


●緩和マネーが投機資金に
 世界同時株安が進行している。5日のニューヨーク市場では、ダウ工業株30種平均が過去最大の下げ幅を記録し、翌6日の東京市場も日経平均株価が一時、1600円以上も下落した。その後、いったん上昇したものの8日に再び急落しニューヨーク、東京、アジア、欧州市場が軒並み下落した。
 ちょっとした市場の動きや政府の発表、あるいは憶測で相場が大きく動く不安定な状況になっている。黒田日銀総裁や麻生財務相は「実体経済は好調だ」と、市場の動揺を抑えようと躍起になっているが、内心ではバブル崩壊の切迫に震え上がっている。世界大恐慌はさらなる深化・発展の過程にある。
 08年のリーマン・ショック以後、恐慌対策として日米欧と中国の四つの中央銀行が市場に供給した資金量は10兆㌦(1100兆円)に上る。それが貸し出しなどに回って乗数的に膨らむ通貨量は、危機前(06年)の約1・8倍の90兆㌦(14年)に達した。しかし、大量の資金は生産増強のための設備投資などにはあまり回らず、株や土地、金融市場で投機目的で運用され、世界経済を一層バブル化させた。
 その延命策も、もはや限界だ。帝国主義は過剰資本・過剰生産力の問題を解決できない。その巨大な危機を抱え込んだままのバブル経済の崩壊は確実である。08年リーマン・ショックは未曽有の大恐慌の始まり、序曲にすぎない。そして、再び世界的なバブル崩壊・金融恐慌が起きれば、今度は中国なども大破綻し、日帝も「異次元緩和」以上に打つ手はなく、恐慌はどこまでも激化していくだろう。それは労働者階級の怒りを一つに束ねてゼネスト―革命で帝国主義を打倒する情勢の到来である。
●アベノミクスで社会崩壊
 株価頼みのアベノミクスは総破綻の危機にある。安倍政権下の5年間の「異次元緩和」は、企業利益と株価と都市部の土地価格を膨張させ、一部の資本家だけを大もうけさせた。その対極で労働者階級は、非正規職化による賃下げ、社会保障切り捨て、生活苦にあえいでいる。労働力の再生産費にも及ばないほどの低賃金化は、多くの青年労働者を結婚も子育てもできなくさせ、人口減少を加速している。実体経済は停滞・縮小し、産業・地域の経済基盤全体が荒廃を深めている。シャープ・東芝の経営危機、日産・神戸製鋼の不正、JRの事故続発、安全崩壊などは日本資本主義の崩壊の表れである。
 その中での安倍の「成長戦略」「働き方改革」は、資本の延命のために一切の犠牲を労働者に押しつけるものである。労働者階級がかちとった戦後的労働条件を破壊して搾取と収奪を強め、団結を破壊し、まるで奴隷のように働かせることを狙うものである。
 また人工知能(AI)の各産業分野への導入はこれまでの産業構造を大きく破壊し、労働者の大量首切りと低賃金化、労働強化に直結する。労働者が生きることは、ますます資本主義と非和解になる。
●大恐慌は社会革命のとき
 こうした中でトランプの「アメリカ第一主義」の経済・軍事・外交政策は、戦後の国際的な通商・通貨制度を破壊し、帝国主義各国と中・ロをむき出しの争闘戦と戦争に叩き込む。100年前にレーニンが『帝国主義論』で著したような、古典的な帝国主義(大国)強盗どもの世界再分割の争闘戦が、今や世界戦争の危機を生み出している。
 帝国主義の腐敗・腐朽は社会革命の前夜情勢である。今こそ階級的労働運動の前進で帝国主義を打倒し、労働者が主人公の新しい世界をつくろう。

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