国鉄闘争が改憲阻止の最前線に 2・11集会の各発言

週刊『前進』04頁(2917号02面01)(2018/02/19)


国鉄闘争が改憲阻止の最前線に
 2・11集会の各発言

(写真 「戦争阻止へ職場から現実の運動を」という田中動労千葉委員長の訴えに参加者は奮い立った【2月11日 船橋市勤労市民センター】)

 国鉄闘争全国運動の2・11国鉄集会は船橋市勤労市民センターに630人を集めて開催され、戦争と改憲に立ち向かう国鉄闘争の新段階への突入を宣言した。集会の主な発言の要旨を紹介します。(編集局)

主催者あいさつ

運動の力で労働委を動かす闘いを!
 国鉄闘争全国運動呼びかけ人 金元重さん

 動労千葉組合員のJR不採用について、2015年6月の最高裁決定は、国鉄分割・民営化に反対する労働組合の組合員であることを理由にした不当差別だとした一審・二審の判決を維持しました。この意義はけっして小さくありません。
 葉山弁護団長は、裁判闘争を労働運動として闘い、傍聴闘争や10万筆以上の署名を集めて最高裁への9回の提出行動を展開した成果だと評価しています。
 不当労働行為が認定されたのに逃げ回るJR東日本を団体交渉に引っ張り出し、解雇撤回・JR採用を迫る労働委員会闘争を新たに展開します。労働委員会の弱体化が言われて久しい中で、この闘争を労働運動として闘うことが必要です。1047名解雇撤回闘争の意味を徹底的に運動として展開し、労働委員会を動かすしかない。JRに「お前たちは不当労働行為をやったんだ」と鐘と太鼓を打ち鳴らしてでも突きつけることが大事です。
 韓国の鉄道労組が解雇者98人全員の復職をかちとったというニュースが入ってきましたので報告します。

1047名解雇撤回へ

JRは原職復帰に応じる責任がある
 動労千葉顧問弁護団長 葉山岳夫さん

 1047名解雇撤回・原職復帰の重要な闘いとして、団交を拒否するJR東日本に対し労働委員会を闘うことを決定しました。
 1987年2月、JR設立委員長の斎藤英四郎が命じて、組合活動家排除の目的で不採用基準が作成されました。これで動労千葉組合員の高石正博さん、中村仁さんたちを採用候補者名簿から落としたのです。この不採用基準の作成は不当労働行為だったと最高裁決定で確定しました。
 87年2月12日の第3回設立委員会会合で不採用基準を決議しています。設立委員会全体の不当労働行為だったのです。国鉄改革法23条には「採用について設立委員のした行為はJRがした行為とする」とあります。不当労働行為は原状回復が大原則です。JRには解雇撤回・原職復帰に直接応じる責任があります。労働者の団結の力は偉大です。労働委員会闘争を労働運動として闘い、必ず勝利しましょう。

1047名全体をJRに戻す闘いを
 動労千葉争議団 中村仁さん

 労働委員会闘争にこれから向かうわけですが、JRへの不採用はJR設立委員会全体が決議した。だから、これは不当労働行為であり、われわれはJRに戻るしかない。われわれだけじゃなくて、1047名全体がJRに戻る闘いを一緒にやっていきましょう。
 JRの外注会社はひどい職場です。だから、労働者が声を上げることは当たり前なんです。動労千葉がその道筋をつけなければいけない。

地方線廃止反対と結び新署名始める
 動労総連合1047協議会代表 小玉忠憲さん

 国鉄分割・民営化でわれわれを排除したことは間違っていたと資本家に言わせる闘いをやりましょう。
 皆さんもぜひ職場で闘って下さい。私は60、70、80歳になっても、絶対にJRに帰りますので、よろしくお願いします。
 国鉄分割・民営化で十数万人が職場を追われ、200人が自殺に追い込まれ、7628人が不採用にされた。本州JR3社では1万人の定員割れでも、不採用基準を設けて私たちの首を切った。黙って見過ごすことはできません。
 私たちは、JR北海道本社、JR九州本社に対し、ローカル線廃止を許さない、分割・民営化は間違っていた、1047名解雇を撤回しろ----を掲げて新たな署名運動を開始します。
 原発に向かい常磐線を浪江まで走らせている仙台支社への抗議行動と一体で、私の解雇撤回の闘いを秋田支社に対して展開したい。
 国労OBの皆さんに、1047協議会とともに闘う団体の発足を決断していただきました。闘いはこれからです。勝利するまで闘います。

(写真 国鉄解雇撤回闘争の当該が壇上に並んだ。左から動労総連合1047協議会の羽廣憲さん【九州】、小玉忠憲さん【秋田】、動労千葉争議団の中村仁さん、高石正博さん)

動労千葉からの報告

国鉄闘争の旗掲げ改憲と戦争を阻む
 動労千葉委員長 田中康宏さん

 憲法改悪と朝鮮半島での戦争の危機が迫っています。だから国鉄闘争の旗を高く掲げ、国鉄分割・民営化で後退させられた労働運動をもう一回、取り戻したい。職場から労働組合をよみがえらせなければ、力ある戦争反対の運動は絶対に実現できません。一人ひとりの労働者の戦争絶対反対の熱い思いを結集する以外にない。1047名解雇撤回の新しい闘いも、そのために決断しました。
 国鉄分割・民営化の正体は明らかです。北海道から九州まで、全面的な廃線攻撃が吹き荒れています。人がそこで生きているのに、国家の役に立たないからとなぎ倒す。これが戦争を生み出している。
 そして安全の崩壊です。新幹線の台車亀裂事故は、あと3㌢で台車が破断し、大惨事になるところだった。しかしJRは、今度のダイヤ改正で、千葉駅に常駐している4人の検査係を2人に削減しようとしている。列車が壊れても一切出動できなくなる。
 新自由主義で2千万人が非正規職にされたことと真正面から闘わなければ有効な労働組合はできないと思い、18年、外注化粉砕闘争を闘ってきました。その闘いが焦点を迎えます。地方線の切り捨てに房総半島から大反乱を巻き起こそうと思い、全力で地域に打って出ました。地域総ぐるみの闘いになっています。労働組合が先頭に立てばこういうことができると証明したい。労働組合が力を取り戻すために何をしたらいいのかを、ここからつかみとりたい。
 さらに、CTS(千葉鉄道サービス)の仲間たちの闘いを全力でやりたい。ほぼ全員の無期転換をかちとったけれど、許せないことに数人が雇い止めを通告された。無期転換されても最低賃金レベルは変わらない。だから非正規職撤廃の闘いを継続する。さしあたりの目標は最低賃金ギリギリの現実を打破すること。これを通して絶対に組織を拡大する。グループ会社で過半数を握れば分社化・転籍攻撃も粉砕できる。
 最後に、常磐線全線開通絶対反対の闘いを国鉄闘争の一環として貫徹したい。
 これが私たちの労働運動だと言えるものを各産別で現実につくり出せば、私たちの力は数倍になる。その勝負の時です。

外注化・分社化・転籍阻止

安全破壊し労働者の命を奪う外注化
 動労千葉副委員長(幕張支部) 関道利さん

 昨年10月10日に出された外注化反対の裁判の判決は許しがたい反動判決でした。私はこの裁判で証言に立ち、外注化が指揮・命令系統と安全を破壊していることなどを証言しました。
 検修の銚子の派出で組合員が車両の下にもぐって作業をしていたところ、運転士がそれを知らずにブレーキを緩めた。鉄道労働者はブレーキが緩んだらイコール発車するという感覚です。それを裁判所は、音がしただけで動かないから大丈夫だと言いました。
 またJR側がスト破りをしたことも、判決は「スト権侵害に当たるかどうかはともかく」と言いました。本当に許せません。
 控訴審が2月21日から始まります。多くの方の傍聴をお願いします。
 組織拡大を実現し、外注化粉砕へ最後まで闘う決意です。

職場で決定権とるための組織拡大へ
 動労千葉幕張支部(CTS) 北村武さん

 1月下旬に無期転換の面接の結果が出て、動労千葉組合員は全員無期転換をかちとりましたが、職場の複数の仲間に3月末雇い止めが通告されました。CTS(千葉鉄道サービス)はJRから天下りしてきた管理者の不祥事は隠し、ふざけるなと抗議した人間の首を切る。本当に許せない。
 無期転換しても労働条件は変わりません。だから、ここでつくった団結で、労働条件一個一個に風穴を開ける闘いを継続していくことが重要だと思います。安倍の「働き方改革」の先頭に立っているのがJR資本です。職場で決定権を持てる過半数をめざして、組織拡大をかちとりたい。

就業規則を万能化した反動判決覆す
 出向無効確認訴訟主任弁護士 森川文人さん

 10・10判決は、判決ならざる超反動政治宣言でした。JR資本は雇用も安全も一切の責任を投げ出し、東京地裁もそう宣言しました。あくまで資本の私法である就業規則を万能と認め、明らかな偽装請負も「甘受できないほどの不利益ではない」「看過できないほどの違法ではない」と判決しました。
 私たち弁護士も先日の日弁連会長選挙で、「ストライキも辞さない闘いをする」と宣言しました。
 21日から東京高裁で控訴審が始まります。皆さんとともにがんばりたい。

3月ダイヤ改定阻止

外房線の列車5本削減を許さず闘う 動労千葉千葉運転区支部長 高澤成夫さん

 昨年3月のダイヤ改正で、JRは君津から先の特急を廃止し、昼間帯の千葉―館山間の直通列車を廃止、久留里線をはじめ一部の区間の列車の廃止・削減を提案してきました。われわれは2日にわたる本線乗務員のストライキに決起し、館山駅で街宣行動、JR東日本本社前での抗議集会、また「内房線と地域を守る会」のみなさんと連携し署名活動を行い、JR千葉支社に提出しました。
 しかしJRは今回のダイヤ改正で、外房線の各駅停車5本の削減を提案してきました。地方ローカル線切り捨てに断固反対します。これからも地域のみなさんとともに闘っていきます。

労組と住民が団結房総で運動広がる
 動労千葉を支援する会・木更津

 内房線切り捨てに反対する2月4日の館山集会には地元の人たちをはじめ続々と集まっていただきました。集会では、「分割・民営化をやると必ずこういう問題が起こるんじゃないかと思っていた」と普通の人が発言していました。労働組合と地域のみなさんが結びついた時、大きな力を発揮できると確認しました。
 この1年間、ダイヤ改正に対して声を上げる集会から始まり、「内房線と地域を守る会」が結成され、5467筆の署名を集めて国土交通省とJRに提出しました。アンケートに高校生のみなさんの協力をいただき、1100人が通学で内房線を利用していることが明らかになりました。
 外房でも同じ運動ができたのは、ものすごく大きなことだと思います。

被曝労働拒否 3・11へ

常磐線開通反対の署名に取り組もう
 動労水戸委員長 石井真一さん

 一方でローカル線を切り捨てながら、誰も住んでいない福島第一原発の横に20年東京オリンピックまでに常磐線を通す攻撃が来ています。それに反対し署名運動を開始しました。
 動労水戸支援共闘の仲間が町職員労組にオルグに入ったところ、「福島県復興計画の一番の基軸が常磐線開通だから、労使が完全に対立することになるので署名はできない」という話になったそうです。その一方で「断固やる」という労組も出てきています。福島切り捨てとの一番の激突点が常磐線の全線開通です。全国でも署名に取り組み、討論していただきたい。
 常磐線は仙台から品川まで走っています。放射性物質をまき散らしながら電車が走ることになるので、ここの地域でも集会などを開いて闘っていきます。

「復興」の虚偽宣伝に屈服はできない
 動労福島委員長 橋本光一さん

 原発事故、改憲・戦争、5年雇い止め問題の真実を訴え、あらゆる労働者との結びつきを求めて地域の労組のオルグに入っています。いわゆるオール福島陣形が3月17日、原発近くの楢葉町で集会を開こうとしています。政府の「復興」イデオロギーと「安全」キャンペーンに労組が屈服することは許されません。被曝をあいまいにすることは核と戦争への絶対反対を投げ捨てることです。国鉄闘争を貫いてきた私たちの歴史的使命は重大です。
 郡山総合車両センターでの外注化阻止をかけ、組織拡大春闘としてストライキを闘います。常磐線全線開通阻止、被曝労働絶対反対を闘います。3・11反原発福島行動への結集をお願いします。

闘争報告と決意

私の訴え却下した反動判決許せない
 動労連帯高崎委員長 漆原芳郎さん

 出向無効確認訴訟の判決は、私は定年退職で雇用関係は終了しているから訴えは却下するという内容です。怒りに堪えません。
 一昨年、碍子(がいし)の破断で籠原駅が炎上しましたが、昨年10月にも宇都宮線で碍子が破断し、大混乱しました。JRの安全は崩壊しています。
 無期転換の問題では、団交で高崎鉄道サービスに「法にのっとって行う」と明言させました。新たな闘いを組んでがんばります。

動労千葉物販土台に地域共闘が拡大
 動労総連合・新潟委員長 星野文男さん

 新潟で予定している国鉄集会の目玉は、JR新潟鉄道サービスを一昨年に解雇された八代和幸組合員の解雇撤回です。JRとJR新潟鉄道サービスの不当労働行為との闘いであり、非正規職撤廃闘争の最前線です。県内でも連合傘下の労組から動労千葉の闘いの勝利の地平を聞かせてほしいと要請が来たり、労働委員会署名が1千筆を超えて集まっています。地域の労組と一体となった改憲阻止闘争を新潟でも成功させたい。そのためにも動労千葉の物資販売は宝庫です。

雇い止め策動粉砕し無期転換へ闘う
 動労神奈川委員長 中村幸夫さん

 われわれは非正規の仲間の無期転換をさせることを目標に闘っています。桑原豪臣副委員長の無期転換が可能かどうかの瀬戸際に立っています。団交で資本は「法律にのっとってやる」と言ったが、われわれは絶対に彼らの言葉は信じない。彼らは雇い止めを手の下に持っていると感じます。明日、小田原で街宣と集会を予定しています。

新幹線台車事故を弾劾し春闘ストへ
 動労西日本委員長 大江照己さん

 4月22日に尼崎現地闘争を行います。広島印刷事業所廃止反対闘争は、職場は廃止されましたが、地域を巻き込む闘いを展開しています。私の職場の五日市駅では時間外労働拒否を闘っています。
 新幹線の台車事故に関して、経営陣は逃げ回っていますが、労働組合として安全問題は絶対、外してはならない闘争です。ストライキを構えています。

このエントリーをはてなブックマークに追加