知る・考える 用語解説 国立大学法人化―教育と学問を商品化・私物化

週刊『前進』02頁(2920号02面04)(2018/03/01)


知る・考える 用語解説
 国立大学法人化―教育と学問を商品化・私物化


 2001年以降の小泉構造改革のもとで、国立大学は04年4月から法人化され国立大学法人に移行した。「目標・計画の設定や定期的な業績評価といった仕組みをつうじて国の意思を法人運営に反映させうる制度」(自民党文教部会報告「これからの国立大学の在り方について」)と制度設計過程から言われていたように、その柱は、①文部科学省の評価に基づく大学予算の競争的配分、②大学運営への外部者(実際には政治家や官僚の天下り、大企業の重役など)の参加、③学長の権限強化(教授会自治や学生自治の形骸化)の三つにある。こうして教育と学問の商品化・私物化が推し進められた。
 私立大では04年8月に「21世紀大学経営協会」がつくられ、産学連携ネットワークが形成された。同年4月には奨学金事業の大半を担っていた日本育英会が日本学生支援機構に改組され、奨学金は学生を借金漬けにする「闇金」事業と化した。こうした国家・企業に奉仕する学問の行き着いた先が、大学での軍事研究の本格的な解禁である。
 国立大学法人化を柱とする大学改革の核心は、学生や教職員の団結破壊にあった。学生自治会やサークル団体の解体、自治寮つぶし、学内規制の強化、学部や研究室の統廃合などを通じて学生に競争を強いた。06年に始まる法大闘争は、こうした大学改革に反対する学生の決起であり、団結を回復し大学と社会を変革する闘いとして、今日の京大闘争に引き継がれている。
このエントリーをはてなブックマークに追加