JR乗務員勤務制度の改悪許すな 強労働、減員、賃下げ阻止を 安倍「働き方改革」・改憲粉砕へ 三里塚請求異議裁判へ

週刊『前進』02頁(2942号01面01)(2018/05/24)


JR乗務員勤務制度の改悪許すな
 強労働、減員、賃下げ阻止を
 安倍「働き方改革」・改憲粉砕へ
 三里塚請求異議裁判へ


 安倍政権は自身を主犯とする数々の疑獄を居直りつつ、今国会で「働き方改革」関連法案を押し通そうとしている。残業代をなくし、過労死ラインを超える月100時間残業を容認するこの法案は、労働時間規制を根本的に撤廃するものだ。その攻撃の先にあるのは改憲だ。安倍政権もろとも「働き方改革」関連法案を葬り去ろう。雇用と労働者の権利を破壊する攻撃は、法の成立を待たず次々と進められている。その先頭に立っているのがJRだ。国鉄決戦を先頭とする労働現場での攻防が、労働者階級の未来を決める。

安全の根本的破壊

 JR東日本は5月17日、各労組に「乗務員勤務制度の見直しについて」と題する提案を行った。これは、鉄道業務の全面的な分社化と労働者への転籍強要と並び、JRがたくらむ第3の分割・民営化攻撃の「本丸」に位置する。
 提案は、かつて運転士を経験した支社企画部門の社員も、朝夕のラッシュ時間帯に短時間行路に乗務することになるという。また、育児や介護のため短時間勤務を希望する社員も、短時間行路だけに乗務できるようにするという。他方で、これまでどおりの交番勤務に就く乗務員については、拘束時間も実乗務時間も延長する。育児や介護を口実に、乗務員勤務のあり方を抜本的に改悪するものだ。
 支社企画部門の社員の場合、ラッシュ時に乗務する時間帯以外は、支社で管理職としてのデスクワークをすることになる。乗務員は日々乗務に携わることによってその技量を維持し、向上させてきた。ラッシュ時だけ支社課員らを乗務させるなどというのは、安全を根本から破壊するものだ。
 JRは、それぞれの職務の専門性を否定し、資本の都合に合わせて労働者をどんな業務にも使い回せるようにしたいのだ。
 これまでは、乗務員の数は列車の運転本数が多いラッシュ時を基準に規定されていた。だが、ラッシュ時だけ短時間行路に乗務する支社課員らは、通常の交番からは外される。JRはこれで乗務員を大幅に削減しようとたくらんでいる。
 JRは乗務員手当については「別途提案する」としているが、手当の廃止が打ち出されることは間違いない。それによる乗務員の減収は月5万円以上になる。
 JRはこの提案の理由を、「人口減少に伴う社会・経済構造の変化等が急速に進んで」いるから「業務改革や生産性の向上が求められている」と言う。労働者を確保できなくなるから、運転士もスポット的に調達するというのだ。

闘う労組が必要だ

 そもそも、国鉄分割・民営化によって始まった新自由主義の攻撃が、青年労働者を結婚もできず、子どもを生み育てられない状態にたたきこんできた。労働力人口の減少はその結果だ。JRは自らがつくり出した現実を逆手にとって、破滅的な手段で資本としての延命を策しているのだ。
 JR東日本が東労組の解体に踏み切った直接の動機も、乗務員勤務制度の改悪を強行することにあった。 昨年の東労組大会で当時の冨田哲郎社長が「乗務員勤務制度の改正」を公言したことから、会社と東労組の対立は激化した。
 実は、それ以前から東労組幹部には会社の方針が説明されていたことは間違いない。だが、東労組執行部を握るカクマルは、それを組合員には隠し続けた。事実が明らかになれば、現場の怒りは沸騰し、会社と東労組との対立は抜き差しならないものになる。それでは御用労組幹部としてのカクマルの位置は保持できない。だから彼らは、この事実を徹底的に組合員には隠しつつ、資本との本質的な対立には至らない「格差ベア問題」などを押し出して、乗務員勤務制度には手をつけないでくれと資本に泣きついたのだ。
 だが、それを逆手に取られて東労組は大崩壊した。そして、4月12日の臨時大会で、東労組は会社に全面屈服し、あらゆる合理化を早急に進めると誓った。
 労資協議もまともにせず、制度改悪を強行するというのがJRの構えだ。乗務員勤務制度を崩せば、JRのあらゆる職種で労働改悪を実行できるとJRは考えている。第3の分割・民営化攻撃との本番の決戦が始まったのだ。
 今こそ闘う労働組合が必要だ。労働者は仲間と団結し、資本と闘うことで誇りを取り戻せる。労働者にとって東労組という「労働組合」がただうとましく、自由を束縛する強圧的なものでしかなかったのは、それが幹部の自己保身のための組織だったからだ。
 本来の労働組合は、一人ひとりの労働者が資本や国家権力への怒りをストレートに表明し、団結の中で人生の輝きを回復していくものだ。JRと関連会社の労働者は今こそ動労総連合に結集しよう。

国鉄解雇の撤回へ

 動労千葉は5月28日、国鉄1047名解雇撤回に向け、千葉県労働委員会に新たな申し立てを行う。1047名を解雇して強行された国鉄分割・民営化こそが、労働者の命と権利がここまでないがしろにされる現状を生み出したのだ。国鉄解雇撤回の新たな闘いは、国鉄分割・民営化の根幹を撃つ闘争だ。第3の分割・民営化攻撃との決戦が改憲阻止決戦と重なって本格的に始まったからこそ、動労千葉は国鉄解雇撤回の新たな闘いを決断した。
 5月28日の労働委員会申し立て行動(午後3時、千葉県庁南庁舎前集合)に集まろう。国鉄闘争全国運動が呼びかける7・1国鉄集会に、これを起点に攻め上ろう。

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