解雇の責任はJRにある JR設立委が不採用基準策定

週刊『前進』02頁(2946号01面02)(2018/06/07)


解雇の責任はJRにある
 JR設立委が不採用基準策定


 これまで動労千葉や国労がJRを相手に解雇撤回を求めた裁判では、国鉄改革法を盾に「国鉄とJRは別法人。国鉄が不当労働行為を行ったとしてもJRに責任はない」という判決が繰り返されてきた。

 だが、国鉄を引き継ぐとされた鉄建公団(現鉄道運輸機構)を相手に動労千葉が起こした裁判では、「不採用基準の策定は不当労働行為」という東京高裁判決が、2015年6月30日の最高裁決定で確定した。
 動労千葉は1985年11月と86年2月、分割・民営化反対のストに立った。それへの報復として出された停職処分が不採用基準に該当するとして、動労千葉組合員はJR採用を拒まれた。その不採用基準を不当労働行為と認めさせたことは、画期的な勝利だった。
 この不採用基準は、JR設立委員長の斎藤英四郎(当時、経団連会長)が策定を命じ、国鉄職員局次長の葛西敬之(現JR東海名誉会長)が具体案を作った。当時、国鉄総裁室長で後にJR西日本の社長・会長になる井手正敬が、その事実を語った文書がある。
 不採用基準が不当労働行為であり、JR設立委員長がその策定を命じた以上、解雇の責任はJRにある。動労千葉が解雇撤回に向けた団体交渉を求めても、JRは「当社は当事者ではない」と拒否しているが、もう言い逃れは通用しない。

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不採用基準は不当労働行為

 国鉄当局としては、当初は、動労千葉所属の組合員をも基本的には採用候補者名簿に記載する方針で同名簿の作成の準備を進めていたにもかかわらず、改革労協側の姿勢に触発されるなどして、国鉄分割・民営化に反対する姿勢を示していた労働組合に属する職員を、このような労働組合に所属していること自体を理由として、差別して不利益に取り扱う目的、動機(不当労働行為意思)の下に、本件名簿不記載基準を策定し、これに従ってJR東日本の採用候補者名簿に記載しなかったものと推認するのが相当である。
2015年6月の最高裁決定で確定した東京高裁判決

設立委員長が策定を命じた

 当時、斎藤英四郎さんが(JR設立委員会の)委員長をしておられたんだけど、この人のところに、葛西君と出かけ話に行って、そこで、委員会として、きちんとした選考基準を出してもらわないと困るんだと言いに行った。選考基準に合致しなかった者は駄目なんだということにしよう。そして選考基準は、斎藤さんが作れと言うので、不当労働行為と言われないギリギリの線で葛西が案を作り、それを斎藤さんに委員会の席上、委員長案として出してもらい、それは了承された。
『懇談議事録 JR西日本井手正敬会長と語る 国鉄改革前後の労務政策の内幕』から

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