JR乗務員制度の解体阻止を 安全破壊・強労働と賃下げ

週刊『前進』02頁(2948号01面02)(2018/06/14)


JR乗務員制度の解体阻止を
 安全破壊・強労働と賃下げ


 安倍政権が強行する「働き方改革」を最先頭で担っているのはJR資本です。JR東日本は5月17日、「乗務員勤務制度の見直しについて」と題する提案を行いました。これは、乗務員のあり方を解体し、鉄道の安全を根本から破壊するものです。動労千葉・動労総連合は、この攻撃に全力で立ち向かっています。

「片手間乗務」では安全は守れない!

 提案の内容は、朝夕のラッシュ時間帯に短時間行路を設定し、育児や介護を抱え短時間勤務を希望する乗務員をその行路に割り当てるというものです。また、かつて運転士を経験した支社企画部門の社員や指導員、当直も、ラッシュ時間帯の短時間行路に乗務させるとしています。
 これがもたらすものは鉄道の安全の破壊です。支社企画部門の社員の場合、早朝に短時間乗務してから支社でデスクワークをすることになります。こんなことが成り立つでしょうか。
 ラッシュ時間帯は、乗降客が多く、運転士や車掌は安全を確保するために大変な緊張を強いられます。またラッシュ時間帯こそ、乗務員は定時運行に気を使います。列車本数の多いラッシュ時に列車を遅らせたら、その影響はとめどなく拡大してしまうからです。数千人の乗客の命を預かり列車を動かす乗務労働は、けっして「片手間」にできるものではありません。
 JRは、鉄道会社として絶対にやってはいけない領域に足を踏み入れようとしているのです。

育児と介護を口実に過酷な労働強制

 JRは、短時間行路を設定する一方、今までどおり乗務割り交番に従って勤務する労働者には、大変な強労働を押し付けようとしています。現在は、首都圏などの「稠密(ちゅうみつ)線区」では、1勤務の拘束時間は日勤行路の場合は11時間、泊り行路の場合は22時間に制限されています。これがそれぞれ1時間延長され、実乗務時間も増やされます。それをJRは、「短時間行路以外を皆で少しずつカバーして乗務することが必要」だから「お互い様の精神」でやれと言うのです。
 現在でも、乗務員の勤務は過酷です。勤務中に倒れる労働者が続出しているのが実情です。乗務員勤務制度の改悪は、労働者の命を奪う攻撃です。
 JRはまた、ワンマン運転の大幅な拡大をたくらんでいます。JR千葉支社は2020年までに内房線の君津駅以南、外房線の上総一ノ宮駅以南、鹿島線をワンマン運転にすると打ち出しました。JR水戸支社では、5両編成の車両をワンマン運転できるようにする改造工事を始めています。
 ワンマン化と乗務員勤務制度の改悪を重ねて、乗務員を大幅に削減することがJRのもくろみです。
 さらにJRは乗務員手当の廃止も狙っています。「列車の自動運転は可能だから乗務員を特別扱いしない」というのがJRの姿勢です。今回の提案につけられた資料でJRは、現在の運転士や車掌は将来は「輸送サービススタッフ」になるとしています。列車は自動運転にし、乗務員を単なる保安要員に変えてしまうということです。

経団連プログラムの先頭に立つJR

 JRはこの提案を、「多様な働き方の実現」「育児や介護と乗務の両立を実現し、ワーク・ライフ・バランスの充実を図るもの」と押し出しています。
 JR東日本は、育児や介護を抱え短時間勤務を希望する労働者の労働時間を6時間に制限したり、深夜勤務を免除する制度を設けています。この制度では、短時間勤務を希望する乗務員のための短時間行路は、昼間の時間帯に設定されています。
 JRは、その短時間行路をラッシュ時にも設定すれば、選択肢は広がり、例えば朝と午前だけ短時間行路に乗務して、午後は丸々、勤務から解放されることも可能になるとしています。
 しかし、そうなれば勤務時間はラッシュ時の早朝や深夜にずれ込むことになるはずです。これでは保育園への子どもの送り迎えは不可能です。なのにJRは「JRが設置した駅前保育所なら24時間保育が可能」と言い、労働者やその子どもの実情を無視して施策を強行しようとしています。
 経団連は5月31日の定時総会で、日立会長の中西宏明を新会長に選出するとともに、経団連「アクションプログラム」を決議しました。そこでは「働き方改革関連法案の確実な成立」と並び「女性の活躍推進」「仕事と子育ての両立支援の観点から、企業主導型保育事業の企業での活用促進」が打ち出されました。
 こうしたスローガンで実際にやられることが労働者に何をもたらすかは、JRの現実が示しています。
 動労総連合はこれに反撃するとともに、この攻撃の出発点になった国鉄分割・民営化による1047名解雇を撤回させる新たな労働委員会闘争を始めました。
 職場に闘う労働組合をよみがえらせて「働き方改革」を粉砕しましょう。7・1国鉄集会に集まりましょう。
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