「骨太方針」は戦争・改憲だ 大軍拡と消費増税・社会保障解体 資本家のため労働者から絞りとる

週刊『前進』04頁(2951号03面01)(2018/06/25)


「骨太方針」は戦争・改憲だ
 大軍拡と消費増税・社会保障解体
 資本家のため労働者から絞りとる


 安倍政権は6月15日、「経済財政運営と改革の基本方針2018」(骨太方針)と「未来投資戦略2018」、「規制改革実施計画」などを閣議決定した。アベノミクスの大破産と国家財政破滅の危機の中で、改憲・戦争、働き方改革と消費増税、社会保障破壊に突進する地獄への道だ。労働者の命を奪って暴利をむさぼり、延命を狙う日帝・安倍に未来はない。怒りを爆発させて闘おう。

防衛産業の強化と海洋安保打ち出す

 骨太方針は「経済財政の基本方針」でありながら、「国家安全保障」を異様に強調し、改憲を先取りする大軍拡と戦争準備を打ち出した。特筆すべき転換だ。
 北朝鮮を名指しにし、対中国を念頭に「わが国の防衛力を大幅に強化」し「これを支える防衛産業」の強じん化をうたった。防衛大綱の見直しや次期中期防衛力整備計画の検討を明記した。在日米軍再編・基地対策の推進と共に、「海洋の安全保障」を掲げた。
 19年「天皇即位の礼」とG20サミット、東京五輪をめぐる「テロ対策」を強調した。治安弾圧の宣言だ。臨時国会での改憲発議と国民投票に、労働者人民の絶対反対の闘いが爆発することに恐怖し、国家暴力で強行突破しようとしている。
 今や米帝トランプを放火者とする貿易戦争が火を噴き、世界戦争・核戦争が現実の危機として迫っている。ゼネストと革命の波が世界に広がっている。日帝・安倍は改憲・戦争への突進以外ないところに追いつめられている。侵略戦争と国内階級戦争が最大のテーマになった。そのための骨太方針なのである。

高齢者や外国人の低賃金雇用を拡大

 骨太方針は、副題に「少子高齢化の克服」を掲げ、「人口減少の加速化」に対して「人づくり革命」と「生産性革命」、「労働基準法制定以来、70年ぶりの」働き方改革を推進していくと宣言した。
 人づくり革命とは、女性労働者と高齢者、障害者、外国人労働者の駆り出しであり、超低賃金で働く非正規職労働者を膨大につくり出して労働者総体の労働条件を下げ、総非正規職化と労組破壊を狙う大攻撃である。生産性革命とは、デジタル化・オンライン化とAI・ロボット化、無人自動運転であり、民営化の推進と、現行法規制を全面停止する「サンドボックス(砂場)制度」や国家戦略特区の活用である。
 骨太方針は「幼児教育の無償化」を掲げ、「25歳~44歳の女性就業率80%」化(現在72・8%)に向けた「子育て安心プラン」(昨年6月公表)の前倒しを明記した。安価な女性労働力の一層の駆り出しと、保育の規制緩和、公立保育所つぶし、企業主導型保育施設の激増を狙うものだ。
 さらに「65歳以上の継続雇用年齢の引き上げに向けた環境整備」として、「成果を重視する評価・報酬体系」を挙げ、公務員定年の65歳引き上げにも言及した。年金額の縮小と支給年齢引き上げ、退職金削減、「同一労働同一賃金」を掲げた全労働者の低賃金化と一体の大攻撃である。
 最高裁は1日、長沢運輸の定年後嘱託労働者の訴訟で、「賃金コストの無制限な増大を回避する必要がある」として、職務給と一時金、住宅手当・家族手当の無支給を認める不当判決を出した。しかし資本にとって、同じ仕事で働く労働者をはるかに安い賃金で継続雇用すること自体が大きな利潤を生み、一層の暴利をむさぼることとなる。
 また「外国人材の受け入れを拡大する新たな在留資格の創設」を打ち出した。「移民政策とは異なるものであり、在留上限を通算5年とし家族の帯同は認めない」と強調し、「在留管理体制を強化し不法・偽装滞在者や難民認定制度の濫用(らんよう)・誤用者対策などを推進する」と明記した。徹底的な管理下に置き、有期雇用の非正規職として大量雇用しようとしているのだ。すでに入国管理局による長期収容・強制送還が激増している。
 新自由主義による生産年齢人口の減少が日帝資本を締め上げている。安倍政権は働き方改革と非正規職労働者の駆り出しで延命しようとしている。しかしそれは資本主義の膨大な「墓掘り人」をつくり出す。労働者の団結と闘う労働組合の再生が始まっている。

社会保障費削減し資本の利潤を補塡

 骨太方針は、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化の目標時期を、20年度から25年度に先送りした。国家財政はいよいよ破滅へ突き進んでいる。
 方針は、19年10月の消費税率10%化と、その「使い道の見直し」として、増税による需要減に対する財政出動を明記した。住宅や自動車が想定されている。消費増税を強行して大衆収奪を強める一方で、資本の利潤の確保・補塡に巨額の予算を充てるのだ。さらに社会保障費の抑制を明記し19年~20年度での大削減を構えようとしている。
 資本家団体やマスコミは「骨太方針は社会保障改革の踏み込みが弱い」と宣伝し、新自由主義がもたらした貧困化による社会保障費の拡大を、財政破綻の元凶であるかのように描いて、攻撃を強めている。しかし安倍や資本家たちのうそはもう通用しない。労働組合を再生し命を守るストライキに立つ時だ。安倍打倒へ怒りを総結集して闘おう。改憲・戦争阻止!大行進運動を猛然と進めよう。

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骨太方針のポイント

▼人づくり革命
・幼児教育、高等教育の無償化
・子育て安心プランの前倒し
・65歳以上の継続雇用年齢の引き上げに向けた環境整備
▼新たな外国人材の受け入れ
▼働き方改革の推進
▼生産性革命
・デジタル・オンライン化、AI・ロボット化、無人自動運転
・行政とインフラ管理の民営化
・規制改革、国家戦略特区
▼2019年10月消費税率10%化と社 会保障費の抑制
▼安全保障
・国家安全保障政策の実施、防衛力を大幅に強化、海洋安保

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