市東さん、萩原さん 怒りの証言 三里塚請求異議裁判 強制執行を許さぬ

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週刊『前進』02頁(2954号02面01)(2018/07/05)


市東さん、萩原さん 怒りの証言
 三里塚請求異議裁判
 強制執行を許さぬ

(写真 「農地死守」の決意も固く千葉地裁へ向けてデモに出発した三里塚反対同盟。左から伊藤信晴さん、市東孝雄さん、萩原富夫さん、北原健一さん【6月28日 千葉市】)

(写真 報告集会で決意を語る市東さん【左】)


 6月28日、千葉地裁民事第5部(高瀬順久裁判長)で請求異議裁判が開かれ、三里塚芝山連合空港反対同盟の萩原富夫さんと原告・市東孝雄さんが証言した。
 開廷を前に正午過ぎ、千葉市中央公園で太郎良陽一さんの司会で決起集会が開かれた。最初に萩原さんが、「成田空港会社(NAA)による農地強奪を許さない」と決意を表した。動労千葉の田中康宏委員長は、三里塚闘争勝利へともに闘う決意と安倍政権の改憲・戦争、働き方改革攻撃に対する闘いを訴えた。
 さらに連帯発言を受け、市内デモに出発。宣伝カーからは宮本麻子さんが、「農地死守」のアピールを響かせた。175人のデモは地裁に迫り、結審を阻止する強い決意を示した。
 60を超える傍聴席を埋めて午後2時に開廷。顧問弁護団の質問に答え、萩原さんの証言が始まった。
 萩原さんは市東さんとともに、「三里塚産直の会」として化学肥料・除草剤を一切使わない有機農業に取り組み、会員400軒に年間60種類もの野菜を届けている。市東さんの農地が取られたら産直も続かなくなる。「NAAという一会社のために農業が犠牲にされてはならない」と萩原さんは語気を強めた。
 萩原さんの住む東峰部落では、頭上40㍍飛行、事故続発、神社林伐採、東峰の森破壊などに住民の怒りが増幅している。
 「まず飛行機を止めろ! 市東さんの農地取り上げを認めるのは、裁判所が泥棒に味方することだ。絶対に許さない」と述べて、裁判長をにらみすえた。
 続いて市東さんが証言台に立った。
 祖父の市太郎さんの代から100年耕作する畑を継ぎ、天神峰の地で農業を続けていることを、誇り高く確認した。父・東市さんが1945年の敗戦で英軍の捕虜となり帰国が遅れたことで、農地解放で市東家の所有になるべき農地が小作地として残った。
 反対同盟の先頭で闘った東市さんが亡くなり、99年に孝雄さんが農家を継いだ。有機農業は土作りが一切を決める。ここにかける手間ひまに、苦労と生きがいがあることを市東さんはていねいに説明した。
 空港公団(現NAA)は、小作者に無断で底地を買収していた。03年に新聞報道でそのことを知らされた。前例のない違法で卑劣なやり口だ。「農地を取られることは命を取られることと同じ。NAAは〝強制手段をとらない〟と公約したのに、それを踏みにじり強制執行するのは権利の濫用(らんよう)だ。許可したら裁判所の自殺行為だ」と裁判長に迫った。
 2人の証言に大きな拍手が湧いた。NAA代理人は反対尋問を一切放棄した。
 続いて弁護団は30分にわたり、専門家証人を採用するよう裁判長に強く翻意を迫った。高瀬裁判長は結論を出せず、進行協議を持つことを確認し閉廷した。次回期日は7月17日。
 近くの会場で、伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。最初に市東さんと萩原さんが、充実感をたたえて傍聴のお礼を述べた。
 続いて葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団全員が、計3時間超の証言の手応えを感じつつあいさつし、専門家証人採用の展望を語った。
 北原健一さんは「50年を超す自分たちの闘いの正しさを確信する。反対同盟として私も闘う」と熱く決意を述べ、さらに連帯発言が続いた。
 最後に伊藤さんが、「かつて市東東市さんが〝代執行来るなら来い〟と表した覚悟を私たちも固めよう」と一同に奮起を促した。

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