毎年解雇は改憲への団結破壊 会計年度職員導入は阻止できる

週刊『前進』04頁(2957号02面05)(2018/07/16)


毎年解雇は改憲への団結破壊
 会計年度職員導入は阻止できる


 全国の自治体で、2020年4月からの会計年度任用職員制度の導入をめぐる大攻防が始まっています。改憲に向けた労働改悪・公務員労組破壊との闘いです。65万人を超える臨時・非常勤職員の大半を新設の会計年度職員に変え、1年で解雇し、雇用更新ごとに1カ月の試用期間を設ける。この許しがたい攻撃に現場の怒りが爆発し、労働組合の団結と再生をかけた闘いが広がっています。

「職場は私たちが回している!」

 「これまで何年も、業務に欠かせない一人として働いてきた。簡単に首を切るなんて許せない」「今や職場は私たち非正規職が多数を占めている。私たちが回しているんだ。非正規職撤廃へ正規・非正規が団結して闘おう!」
 6月24日、横浜市の正規・非正規の自治体労働者が呼びかけた会計年度職員制度反対集会では、福祉の仕事を担う現場の嘱託職員の怒りがほとばしり、労働者の誇りをかけて闘う機運がみなぎりました。
 昨年5月、自治労本部が協力して成立した改悪地方公務員法・地方自治法は、2020年4月までに地方自治体の臨時・非常勤職員の大半を「会計年度」=1年限定の任用職員に転換させることを定めました。これまで公務員は「雇用ではなく任用だ」というこじつけで、団体交渉権・スト権などを制限されてきました。その中で特別職非常勤職員(約22万人)だけは労働組合法が適用され、スト権などを保障されてきました。その権利すら奪おうというのです(図参照)。
 安倍政権と全国の自治体当局は、この改悪法を振りかざして労働組合を屈服させ、攻撃の先兵に仕立て上げようとしています。法律の名で現場の怒りを抑えつけ、非正規職の雇用・労働条件を一気に下げて、団結を破壊する攻撃です。当局は条例を改悪して19年中に新制度での募集を始めることをもくろみ、この夏・秋に労働組合との本格的交渉に入ろうとしています。

毎年「評価」で脅し屈服を強いる攻撃

 しかし、どんな攻撃がかかろうと、現場を回しているのは労働者です。労働組合が総力で闘えば粉砕できます。ストで闘う動労千葉の闘いに学び、正規職・非正規職の団結と絶対反対の闘いを組織する学習会が、全国の職場で広がっています。労働組合の存在意義を問い、再生をかけた闘いはこれからが本番です。
 新制度導入は労働者全体の雇用と団結を破壊する改憲攻撃そのものです。
 毎年、試験・選考で採用されるたびに1カ月の試用期間を設け、評価制度でふるい落とすことは、労働者が団結して闘うことを禁ずるに等しい攻撃です。労働組合を否定する不当労働行為が日常化します。
 新自由主義による社会の崩壊の中で必要とされる自治体業務は増え、正規職が減らされる一方、つぎはぎ的に拡大する非正規職と自治体の外郭団体、民間委託企業の非正規職が業務を支えています。保育所や福祉職場、ハローワークなど過半が非正規職という職場が激増しています。最低賃金並みの「官製ワーキングプア」の現実を強いられる膨大な労働者の手で業務が担われているのです。
 その中で現場の粘り強い闘いによって非正規職の一定の権利が獲得されてきました。さらに体制内幹部の敵対を突破して労働者が団結し、民営化反対、解雇撤回の闘いが奈良や仙台を始め各地で始まっています。
 闘いに追いつめられた安倍政権は、17年4月施行の改悪地公法で評価制度による降給と免職まで条例に盛ることを求めたのに続き、新制度で全国の非正規職を厳格に規制し、自治体労働運動を変質・解体させる大攻撃に出てきたのです。改憲のための労組破壊です。

法が全てではない現場の闘い次第だ

 体制内幹部は「法律で決まった以上しょうがない」と言います。しかし団結した労働者には無限の力があります。総務省ですら改悪地公法をめぐるQ&Aの中で、現行の臨時・非常勤制度を維持することは禁止されていないと認めました。現場の闘い次第です。
 横浜集会では、年配の労働者から「かつて60年代には、闘いの力で非正規職を撤廃させ、全員の正規職化をかちとった」経験が語られました。ストで闘う労働組合をよみがえらせ、会計年度職員制度阻止・非正規職撤廃へ闘いましょう。それは全労働者が決起する改憲・戦争阻止!大行進運動の土台となる闘いです。
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