豊洲移転は止められる 築地仲卸と共に労組の闘いを

週刊『前進』02頁(2960号02面02)(2018/07/26)


豊洲移転は止められる
 築地仲卸と共に労組の闘いを

(写真 築地市場内で開かれた「築地を活かし、豊洲を止める7・12総決起集会」)

五輪のため築地市場をつぶすな

 東京都は築地市場の解体工事に豊洲開業日と同日の10月11日に着手することを明らかにした。毒物汚染、地下水の水位、欠陥構造、さらに建築物の耐震偽装や営業権の問題など豊洲に移転を強制することは、まさに国家犯罪だ。だがそれを小池知事は既成事実に屈服させることで強行しようとしてきた。
 しかし、それを真っ向から打ち破る闘いが築地仲卸を先頭に始まっている。「築地を守る。豊洲には行かない」という仲卸の決起は、分断とあきらめを打ち破り、「止められるなら止めたい」と闘う機運を生み出している。6月29日には豊洲違法建築物の使用禁止と除却を求める行政訴訟も提訴された。9月21日に口頭弁論が行われる。さらに使用禁止の仮の義務付けも申し立てられ、早々に審尋が始まる。「築地市場営業権組合」は現在、100人に達した。小池と推進派は追い詰められている。
 あきらめず闘いぬけば移転は必ず阻止できる。この闘いは都労連をはじめ労働運動を階級的に再生させる転換点となる。
 「築地市場解体」に対して築地仲卸のみならず場外市場業者や住民の怒りも大爆発している。都は7月17日に中央区役所で築地市場解体工事の説明会を開いた。オリンピックを理由に移転・解体の日程を進めるあり方に怒りが噴出して騒然となり、説明会は粉砕されてしまった。
 都は20年2月までに解体工事を終えるとしている。すべては築地跡地をオリンピックの輸送拠点とするためだ。絶対に阻止しよう!

命と安全を犠牲にする豊洲市場

 汚染された地下水対策のために都が実施していた追加の「安全対策工事」が終わった。これも移転を強行するためのごまかしだ。今年3月から5月までの調査で、豊洲の地下水から環境基準の140倍のベンゼンが検出された。シアンやヒ素などの毒物も検出されている。汚染された地下水が地上付近まで上昇し、建物の地下にたまり、蒸気となって地下空間を汚染する。これへの対策として都は地下水の水位を海抜1・8㍍以下に抑えると約束した。
 都は観測井戸のすぐそばにウェルポイントと呼ばれるポンプを設置したが、稼働期間は80日。仮に水位が下がってもポンプの周囲だけで全体的には下がらない。稼働期間を過ぎれば元の水位に戻る。どれだけ吸い上げても水位が3㍍から下がらない個所もある(ダイヤモンドオンライン7月6日付)。
 追加対策は破産した。専門家会議による「安全」の強弁など許されない。
 豊洲市場の建築物が建築基準法令違反だとして築地仲卸が提訴した、違法建築物の使用禁止および除却命令義務付け訴訟が始まる。
 水産仲卸売場棟は5階建てで、1階の柱が土台への埋め込み式ではなく下からボルトで留めただけの「非埋込形柱脚」だ。1階柱脚部の鉄量が柱頭部の鉄量と等量またはそれ以上必要であるところ、実際の鉄量は柱頭部の56%に過ぎない。また、地震などによる水平方向の力に対して耐える力の計算で1階については鉄筋コンクリート造の係数を用いなければならないところ、それよりも耐震性が高い鉄骨鉄筋コンクリート造の係数を用いている。これは設計を請け負った日本最大の建築設計会社である日建設計による「犯罪」だ。(ブックレット『築地を守り豊洲をとめる』参照)
 韓国・ソウルでは6月3日、商業施設の建物が突然崩壊した。隣で進められている建設工事の影響で壁のひび割れ、地盤沈下などが起き、事故の1カ月前には行政当局に苦情が寄せられていた。これを放置した結果、最悪の事態を招いたのだ。労働者の命を犠牲にする豊洲移転強行は絶対阻止だ。9月21日の第1回口頭弁論に大結集しよう。

卸売市場民営化狙う安倍と小池

 豊洲への移転は中央卸売市場の民営化攻撃と一体だ。今年6月に改悪された卸売市場法は、これまで国の「認可」が必要であった中央卸売市場の開設・廃止を「認定制」に規制緩和した。これにより都道府県だけでなく民間資本でも中央卸売市場を開設できるようにした。市場が公共のものではなくなり大資本が私物化できるものになるということだ。「食の安全と命」より資本の利益が優先される。市場から仲卸を排除し、自治体の市場労働者の職場を奪い、労組を破壊する。豊洲市場はその実験場として想定されている。
 10月11日豊洲移転、築地更地化は絶対に阻止できる。闘う築地仲卸の仲間と団結し、都労連労働運動が民営化絶対反対で今こそ立ち上がろう。
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