豪雨大災害 責任は国に 倉敷市真備地区からの報告

週刊『前進』02頁(2966号01面02)(2018/08/23)


豪雨大災害 責任は国に
 倉敷市真備地区からの報告

(写真 8・6集会で報告する百本敏昭さん)

(写真 堤防決壊で浸水した真備地区)


 7月に西日本一帯を襲った豪雨での、岡山県倉敷市真備地区の被害状況を報告します。
 ここでは51人の命が失われ、災害関連死も複数発生しています。浸水した住宅は4600戸に上り、最大浸水は5・3㍍で、自宅の2階で胸まで泥水につかりながら、また屋根の上で救助を待つなど命の危険にさらされ救助された住民は2400人以上です。今も避難所生活を余儀なくされている方は1500人です。住民は住宅や家財に大きな被害があり、生活のめどが立っていません。また目の前の家族や知人を救えなかったことで、心に大きなダメージを抱えています。

20年以上も放置

 岡山県の三大河川の一つである高梁川(たかはしがわ)と合流する小田川は、広島県の山中に源流があります。雨を集める面積が広く、高梁川との合流地点は狭く勾配が緩やかなことで、小田川は洪水になると水が逆流し長時間滞留します。1976年までは多くの洪水が発生しました。
 小田川の河川敷は、かつては農家が所有する美しい水田でしたが、国が買収した後は放置され、まるで森林のような状況で水の流れを阻害していました(現地視察に訪れた安倍の一言で河川敷の樹木撤去作業が急ピッチで行われている)。
 地区内の県が管理する三つの支流も決壊しましたが、国から県に管理を押し付けられたこれらの河川も、財源と人員不足で20年以上放置されていました。
 真備町は2005年に倉敷市に吸収合併されました。町時代には議会に小田川治水対策の特別委員会があり、長年国に小田川の改修を要望してきましたが、合併後は国への要求もおざなりになり、対策は遅れ今年の秋に工事が始まる予定でした。町時代は、防災や河川管理の部署の職員が洪水の可能性があると常時河川の監視を行い、危険が迫ると約180人の職員は職種に関係なく全員が防災対策にあたっていました(女性職員も土嚢〔どのう〕を作っていた)。

民営化が命奪う

 しかし、合併直後の06年には防災を管轄する係は7人(うち非正規職1人)でしたが、現在は5人(非正規職3人)に減少し、河川の状況を監視できず、今もって堤防決壊の時間すら確定できていません。また、今年から支所の人員削減でスペースが空いたので、2階の防災対策の部署を1階に下ろしたばかりです。今回の水害で1階は水没し、支所機能はすべて失われましたが、2階に防災対策の部署が残っていれば違った結果になったはずです。
 市職員は今、通常業務に加えて復旧対策をし、避難所運営では12時間勤務を行い、人によっては月200時間超の時間外労働で、健康被害も懸念されます。
 今回の災害の最大の問題は、「今だけ・金だけ・自分だけ」の新自由主義による社会の破綻の結果です、「選択と集中」、地方切り捨て政策による市町村合併と、自治体の非正規職化・民営化であり、明らかに人災です。自治体労働者は、こんな社会のあり方を根本的に変革する先頭に立つことを訴えます。
(8月16日 自治労倉敷市職員組合副委員長・百本敏昭)

 救援カンパ送り先 郵便振替口座番号01340―0―43883/加入者名「百万人署名運動・岡山」

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