東海第二の運転延長許すな 危険な老朽原発は廃炉しかない

週刊『前進』04頁(2993号03面02)(2018/11/26)


東海第二の運転延長許すな
 危険な老朽原発は廃炉しかない


 原子力規制委員会は、日本原子力発電(原電)の東海第二原発(茨城県東海村)について、9月26日の新規制基準適合決定に続き11月7日に20年の運転延長を認可した。事実上、再稼働のゴーサインだ。

30㌔圏内96万人の避難は不可能

 東海第二原発の再稼働など絶対に許されない。東海第二は廃炉以外にない。その第一の理由は、老朽原発であることだ。今月末で操業開始から40年になる。炉心は長年の放射線、中性子線の影響で劣化が進み、配管減肉、腐食、亀裂、錆(さび)などの経年劣化もある。重大なのは、使用されているケーブルが可燃性であることだ。新規制基準ではケーブルは難燃性を使用すると規定されている。しかし、東海第二は総延長千数百㌔メートルに及ぶケーブルの一部交換のみの処置で認可を受けた。
 第二に、事故の際、避難が全く不可能なことだ。避難計画の策定が義務づけられている30㌔圏内の14自治体には96万人が住んでいるが、これまでに避難計画を明らかにしたのは3自治体のみ。それも全て原発単独事故を想定しての避難計画である。地震や津波による道路の寸断、橋の崩落、停電、火災などに加えて近隣の車が一斉に一定方向に動き出す状況などはシミュレーションさえも不可能だ。
 第三に、今後の安全対策費としての約1800億円を東京電力からの支援に頼っていることだ。日本原電は電力9社が主な株主で、東電は筆頭株主である。周知のように、東電は政府が設立した原子力損害賠償支援機構(当時)が過半の株を取得するなどして事実上国有化された。その東電が資金面で援助をするということは東海第二に国費が投入されることに等しい。

周辺には大量の放射性廃棄物が

 東海村は日本で初めて原発の商業運転が開始された地だ。東海第二に隣接する東海原発は1966年に営業運転を開始した。98年に運転停止になったが、核燃料は抜き取られたものの建屋本体は20年経過した今も残っている。高濃度に汚染された炉心などが解体処分できないからだ。
 低レベルの汚染物質についても最近ようやく方針が決定されたが、なんと原発敷地内に露天掘りで埋設するという。処分実施に先立ち日本原電は県内各地で説明会を開いたが、ただただ「低レベルだから安全」を繰り返し、責任者が「私は埋設したその場所に住宅を建てて住んでも良いと思っている」と言って集まった人たちの怒りをかった。
 東海村近辺には、日本原子力研究開発機構を始め多くの原子力関連施設があり、相当量の放射性廃棄物がこの地に集中している。
 その一つである東海再処理施設の廃止が今年6月に決まった。廃止費用は当初見積もりで約1兆円、予定期間は70年。最大の難題は、高レベル放射性廃液の処理だ。廃液はガラスを溶かして混ぜ、ステンレス容器に入れる。できた固化体は人が近づくと20秒で死ぬほどの放射線を出す。地上で約50年冷やし、地下300㍍以深に埋めて無害になるまで約10万年、管理するという。原子炉は廃炉・解体もままならない状態だ。
 東海第二が事故を起こせばこれらも放置せざるを得ず、大惨事となる。東海第二原発は廃炉以外にない。
(とめよう戦争への道!百万人署名運動茨城県連絡会・A)
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