獄中で闘う全学連から

週刊『前進』02頁(3005号02面04)(2019/01/24)


獄中で闘う全学連から

(写真 大学当局による立て看規制の適用に反対し、多くの京大生が結集して抗議闘争に立ち上がった昨年4月27日の「京大解放祭」)

階級社会廃絶へ闘おう
 京都拘置所在監 阿津良典君

 獄中からみなさんに、連帯のアピールと決意を表明します。
 僕はいま、京大でのビラまきを理由に「建造物侵入」で起訴され、京都拘置所に勾留されています。拘置所での暮らしは、同じことの繰り返しで人をうんざりさせます。2畳程度の独房に閉じ込められ、1日に30分しか立ったり動いたりすることはできません。その他は、就寝か西を向いて座り続けることを強制されています。拘置所の生活環境は劣悪、風の無い屋外と言えます。趣味のトレーニングもできなければ、考えついたアイデアを実行することもできません。食事はしいたけがやたらと多くてドロドロとしています。さらに24時間体制で30分おきに監視があるのです。仮にも「無罪推定」の原則を掲げておきながら、こんな生活を強制していることに怒りでいっぱいです!
 もっとも、このような監獄生活の中でも、僕は自分なりの生活を送ろうとしています。僕が退屈な監獄で楽しみにしているのは、友達が差し入れてくれたり、保管書庫にある小説を読むことです。マルクス主義文献も読み、出獄後はただちに学生運動に復帰できるようにしています。また、哲学には適した環境なので、よく思索にもふけっています。最近は数字の「2」が実はとても美しいことを発見しました!
 監獄生活が始まって目の当たりにしたことがあります。それは、多大な労力と税金を使い、僕から色々なものを奪っている国家のシステムは、人間を更生させる要素を一切持っていないことです。そもそもブルジョア国家機構の掲げる「人間の更生」というもの自体かなり疑わしいものですが、現実には抑圧者の言う「人間の更生」すらまったく実現できていません。それは、リピーターを再生産し続けている拘置施設の状況を見れば一目瞭然です。「犯罪者」を1人ずつ捕まえて監禁し、彼らに「精進生活」を強制したところで、「犯罪者」が生まれる原因は獄外の社会にこそあるのですから、犯罪を繰り返されておしまいです。抑圧者はそのことに気がつかないのでしょうか。
 人類社会の発展度合いにもはや合っていない法体系と、それを無理に守らせようとする警察。警察や司法から受ける弾圧のリスクをビジネスにする連中......こんなものは階級社会の廃絶によって、存在する余地を無くさなければなりません。拘置所で会う人は気さくな人や純粋な人が多いと感じますが、彼らはみな、外の世界が階級支配の生み出す不幸や暴力に満ちていることを知っています。
 共に社会を変えましょう。獄外で頑張る仲間と団結して、獄中でも闘いぬきます!

運動の拡大こそ反撃だ
 京都拘置所在監 吉田耕君

 私たちの釈放に向けて動いてくれているみなさん、そして「こんな逮捕はおかしい」と感じてくれているみなさん。勾留理由開示公判に来てくれたり、差し入れをくれたり、そういう一つひとつに励まされています。どうもありがとうございます。
 大学でビラをまいたことを「建造物侵入」だとして、京都大学当局は私を含めた3人の学生を逮捕させました。これが京大、そして日本の大学で起きている現実です。2004年の国立大学法人化以降、日本の大学は大きく変化してきました。大企業や財閥の役員が構成員の過半数を占める経営協議会が、大学の教授たちから成る教授会よりも大きな力を持ち、大学運営を行うようになりました。国から大学への交付金は毎年減らされ(学費高騰の原因にもなっている)、反対に政府や大企業の意向に添った大学の動きや研究にはお金がまわるようになっています。
 こうした中で、大学は国策遂行と大企業の役員等、一握りの人間による利益追求、金もうけのための機関になっています。スムーズな国策遂行と金もうけを行うにあたり、学内の抵抗の芽......自治を一掃するべく、京大はこの間、様々な弾圧に着手しています。
 学生と大学が交渉し、話し合う場だった情報公開連絡会や団体交渉の打ち切り。自治寮の廃寮策動。立て看板規制やビラ回収などの表現規制。そして、こうした大学の動きに抗議する学生への職員による暴行、大学当局による呼び出しや停学・退学処分の乱発、そして逮捕。しかし、こうした激しい弾圧の裏には、学生の力に対する大学当局の恐怖があります。
 戦後の学生自治は、第2次大戦での大学の国策追従、積極的な軍事協力と、その結果起こった悲劇への反省からつくられ、発展してきました。国策に追従し、大企業の利益・金もうけを優先させ、自治破壊、反戦運動潰しを進める大学の問題は、改憲と戦争、非正規職拡大などの一部の人間の金もうけのために労働者が切り捨てられる、この社会そのものの不条理をも問う問題です。キャンパスでのあらゆる不条理は、突き詰めていけばこの社会を根本から問うことになります。あらゆる人々と結びつき、議論し、よりラジカルに発展していく豊かな運動を、今回の逮捕も糧にしてつくることが、京大当局の弾圧への一番の反撃です。
 反撃って良いものです。右のほほをぶたれたら、みぞおちに強烈なのをくらわせてやりましょう。弾圧で1人逮捕されたら100人と結びつきましょう。どんどん広がり、深まる、わくわくする運動をつくりましょう。

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