大阪 学テ・教員評価に絶対反対 公教育破壊の民営化に反撃を

週刊『前進』04頁(3024号02面04)(2019/04/01)


大阪
 学テ・教員評価に絶対反対
 公教育破壊の民営化に反撃を


 1月29日の大阪市総合教育会議で、大阪市教育委員会は吉村洋文市長の意向を受けて学力テストを校長や教職員の評価や賞与に反映させるなどの新たな制度を発表した。「今回は評価対象を校長に限定」としているが、本質的に教職員の人事評価に学力テストの結果を反映させるための新たな制度構築だ。

「教員別カルテ」作成

 評価に使うのは大阪市独自の「学力経年調査」(小3〜小6)と府の「チャレンジテスト」(中1〜中3)であり、子どもたち一人ひとりの毎年のデータが追跡できるとしている。将来的にはビッグデータを使って「学校別カルテ」「教員別カルテ」を作成し、校長のみならず、すべての教員に対し学力テスト結果の評価反映と給与・昇給を連動させようとしている。教職員一人ひとりの評価を数値化し序列化(相対評価)することを狙っているのだ。
 また、学校間の競争を促すために、テスト成績が向上した学校には予算を重点的に配分する。さらに、「功績が特に顕著な者」を表彰したり、昇給させる制度も提案している。
 吉村市長や市教委の「学力向上キャンペーン」の根底には、「他人と競争して資本家のためにより役立つ人間になれ」という発想が透けて見える。テスト至上主義の学校では、子どもたちが分断され、切り捨てられていく。その上、教職員を吉村市長の手先にさせ、教職員にその成果を競い合わせる。本当に許しがたい制度だ。

国内初の公設民営校

 学力テストと評価制度は、学校を民営化し非正規労働者を大量につくり出す出発点だ。
 大阪市では、すでに隣接学区での学校選択制を導入し、人数の少ない小規模校を統廃合したり、小中一貫校を設置してきた。今後さらに学力テストによる学校間の競争が促進され、小規模校になったとたん、学校の統廃合が狙われる。地域の学校がなくなることによってコミュニティーが解体され、部落解放運動や日教組運動で闘いとってきた解放教育などの教育内容も解体されていく。
 大阪市は国内で初めて公設民営の学校(経営主体はYMCA)を2019年4月に住之江区咲洲(さきしま)で開校しようとしている。アメリカのチャータースクールのように教育を金もうけの手段にし、地域の公立学校をつぶして公設民営学校に入れ替えていくことこそが吉村・安倍の狙いである。
 教育の民営化が何をもたらすかは、すでにアメリカで実証されている。
 1990年代からシカゴ市では、テスト成績が振るわなかった学校は閉校や統廃合に追い込まれ、100校近い学校が消えたと報告されている。チャータースクールでは、授業が学校の存続をかけたテスト対策の場となり、テストに関係のない教科は切り捨てられ、学力が低いとみなされた子どもはテスト当日に欠席を促されたり、退学に追い込まれたりした。採算がとれないチャータースクールはどんどん閉鎖され、全米で約29万人の子どもたちが学校を放り出され、たらい回しにされた。そこで働く教職員も非正規職が大半を占め、解雇自由の「使い捨て労働者」にされている。
 しかし今、こうした教育破壊に対し、アメリカの教育労働者と生徒や親たちが巨大な反乱を巻き起こしている。ロサンゼルスで始まったUTLA(ロサンゼルス統一教組)のストライキは全米に波及し始めている。

米教員ストに続こう

 安倍政権は「自ら戦争のできる国」へ変えるために改憲に突き進んでいる。「教え子を再び戦場に送るな」と戦争協力を拒否してきた日教組をつぶすことこそ吉村・安倍の狙いだ。学力テストと人事評価制度を使って職場に競争と分断を持ち込み、職場から労働組合を一掃することが彼らの真の目的だ。
 1950年代〜60年代の勤務評定や学力テストは、日教組の先輩たちが座り込みやストライキなどの実力闘争によって形骸化させ中止に追い込んできた。今、アメリカをはじめ世界各国で教育労働者もストライキに立ち上がり「教育改革」を逆転させている。教育労働者と地域の労働者が団結して闘えば、攻撃を粉砕することは全く可能だ。大阪市の学力テストをテコにした教育破壊・労組破壊に対して、教育労働者は闘いの先頭に立って反撃を開始している。
(大阪市 教育労働者)
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