高山俊吉弁護士が熱弁 天皇即位でメーデーつぶさせない

週刊『前進』02頁(3033号02面04)(2019/05/09)


高山俊吉弁護士が熱弁
 天皇即位でメーデーつぶさせない


 5月1日、東京・銀座で開催されたメーデー集会(記事1面)で、高山俊吉弁護士が「天皇即位でメーデーを潰させない」と題して行った講演の要旨を紹介します。(編集局)

追い込まれたのは安倍だ

 安倍政権による改憲と戦争に向けた政策が、すさまじい勢いで進められようとしている。この間、改憲の動きが後退したかのようにとらえる議論がありますが、それは間違いです。安倍政権は、今ここで改憲への道筋をつけなければ、もはやどうにもならないところに追い込まれているのです。
 天皇が3年前に「辞めたい」と言った。そもそも天皇は「辞めたい」と言っちゃいけないんです。天皇の代替わりは天皇が死んだ時以外にはない。現行憲法上はそうなっている。病気になろうがやる気がなくなろうがそのままでいる以外にないんです。安倍も最初は天皇の発言を聞いて「まずい」と思った。しかし後に、なんとかこの天皇代替わりを利用して、自分のもくろみを成功させる材料として使えないかと考えた。その結果、今日のメディアの状況があるわけです。
 昨日、タクシーに乗った時、運転手さんが「なんでしょうか、この騒ぎは」と言っていました。客商売というのは、相手が自分の話を受け入れるかどうか考えて話すものですが、この運転手さんが相手も選ばずそんな話を始めたのは、腹の底からの怒りがあるからでしょう。新聞やテレビのキャンペーンに対しても、「これでいいのか」と思っている人たちは非常に多い。
 ところが、日本共産党は「新天皇の即位に祝意を表する」と表明しました。多くの共産党の支持者は絶望したでしょう。小林多喜二は天皇制警察によって虐殺されたんですよ。それなのにどうしてそんなことが言えるのか。こういう政党に世の中を変えるだの、苦しい人たちの立場に立つだの、労働者の味方だのと語る資格があるのか。そしてこういう政党に安倍もまた期待をかけているのです。
 世界の労働運動史をひもとくと、必ず「左翼面」をした部分が戦争政策に協力し、崩れていくという歴史がある。しかし、これまでのそうした歴史と現在との違いは何か。このメーデー集会のような結集体があるということです。もくろみを許さない力がここにあるということです。

国境越え労働者が闘う日

 1886年、アメリカのシカゴでメーデーが始まりました。「8時間は仕事のために、8時間は休息のために、残りの8時間は好きなことをするために」というスローガンを掲げてシカゴの労働者が立ち上がり、全世界の労働者がそれに呼応しました。「労働者に国境はない。現実にあるのは搾取する者と搾取される者との闘いである。搾取される者が闘いに立ち上がれば世の中は変えることができる」----そういう思想が、国際的な労働運動として登場しました。
 日本でも1920年にメーデーが始まりました。労働者が決起するというは、当時の政府・官憲にとっては大変な事態だった。ロシア革命のような闘いが日本でも現実化すると感じ、ただちに弾圧した。だからメーデーの歴史は、弾圧との闘いの歴史です。そして「8時間労働制の実現」という要求だけでなく、戦争に反対する声もその中から出てきた。日本は当時、ロシア革命に干渉するためシベリアに出兵しましたが、これに対して「ただちに戦争をやめろ」という声が労働者から巻き起こった。このこともメーデーの歴史を見るときの大きな柱です。
 1936年の2・26事件で戒厳令が出され、45年までメーデーの歴史は途絶えます。そして戦後、46年の「復活メーデー」では皇居前広場には50万人が集まり、全国で250万人が立ち上がりました。長野県北部の小さな田舎町でもメーデーのデモが行われ、私も参加しました。「戦後革命」という言葉は後に知りましたが、本当に世の中が変わるということを子どもながらに感じたものです。
 その歴史を受け継いで今日のメーデーもある。労働者の闘いの日、そして労働者に国境はないことを身をもって示す闘いの日です。

資本主義の命脈は尽きた

 「メーデー歌」は鉄工所の労働者のストライキの中でつくられ、1922年に発表されました。こうした先達の命を賭けた闘いを引き継いで今日の闘いもある。私たちの闘いは必ず勝利する。資本による搾取が存在する以上、必ず搾取される者が闘いに立ち上がるからです。資本主義が永遠に続くかのように見せるためには、権力の側も余裕をもたなければいけません。「過激派のみなさんも自由にやってください」とでも言っていなければならない。しかし、もうそうは言っていられない。それは資本主義が本当に命脈尽き果てるところにきているからです。
 このことに確信をもって、私たちは今日のメーデーを闘い、そして厳しい条件の中から立ち上がろうとしている多くの仲間と深い連帯をもって、闘って闘って世の中を変えていこうではありませんか。

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