世界各地でメーデー闘争

週刊『前進』04頁(3036号02面02)(2019/05/20)


世界各地でメーデー闘争

 5月1日、世界各地で闘われたメーデー闘争は、労働者階級人民の新たな闘いが始まっていることを告げ知らせた。フランス、韓国のメーデーを紹介します。

フランス マクロンの弾圧と対決
 労働改悪・民営化と闘う

(写真 フランス・ボルドーでのデモ。8時間労働を求めるボードを掲げる )


(写真 凶暴な警官隊の暴力と対決しデモが闘われた【5月1日 パリ】)

 EU(欧州連合)は、経済の長期停滞、争闘戦の戦争的激化の中で分裂的危機に直面している。フランスのメーデーでは、マクロン政権の反労働者的な政策への怒りが爆発した。

「黄色いベスト」

 昨年の21万人を超える31万人がメーデーに参加し、全国250の都市で闘われた。動員の主力となったのは「黄色いベスト」運動だ。昨年11月以来、マクロン政権への広範な労働者階級人民の批判を毎週の土曜行動として全フランスで26回(5月11日現在)にわたり貫いてきたことが、昨年からの飛躍をもたらした。
 マクロン政権は、黄色いベスト運動に対する凶暴な弾圧を上回る体制でメーデーに臨んできた。パリへの7千人の警官隊の配置、1万7千人以上の予防拘禁、パリをはじめリヨン、ボルドー、トゥールーズなどの地方都市で集会・デモの禁止区域を設ける攻撃である。これらは、この間制定された「破壊活動防止法」によるものだ。
 パリのメーデー集会への結集は4万人。黄色いベスト運動の隊列がいたるところで主役となり、戦闘的デモが展開された。機動隊が解散地点で待ち受けてデモ隊に催涙ガス弾を水平撃ちするという弾圧がエスカレートし、各所で激闘が行われた。逮捕者は300人、けが人は24人と発表されている。
 今回のメーデーに向けて、従来、黄色いベスト運動を「左右の暴力主義者の運動だ」と非難していた体制内労働運動のCGT(労働総同盟)などの指導部が、SUD (連帯労組)や下部組織からの黄色いベスト運動との連帯を主張する要求におされて、「抵抗と大動員のメーデーを」という労働5団体連名(連帯労組を含む)のアピールを発した。
 アピールは「毎年の労災死亡者は900人、最低賃金の水準以下の労働者が900万人、失業者は600万人、そして大量の青年非正規職、貧しい年金生活者」という現実を挙げ、マクロンによる労働協約の破壊、民営化、社会保障制度・教育制度の改悪などに反対し、排外主義・性差別・反ユダヤ主義と闘うことを主張し、この闘いで黄色いベスト運動とも連帯することを宣言している。
 黄色いベスト運動は独自のメーデー・アピールで「メーデーは、人民大衆が自分たちの支配者・死刑執行者に対して集団的力を発揮する日だ」「黄色いベスト運動は、労働組合とともにメーデーで重要な位置を占めている。この間4カ月にわたって社会的運動を継続し多くの犠牲を払ってきたのは、それまで無名だった黄色いベスト運動であった」「闘おうとするすべての市民に、ともにデモの隊列の先頭に立つことを訴える」と提起した。

産別交渉の破壊

 5月のEU議会選挙へ向けてマクロンは、「移民に対するヨーロッパの国境管理の強化」「ヨーロッパ警察の形成」を訴え、国内の激動に排外主義を対置し、反動化にのめりこんでいる。
 マクロン政権が2017年5月の発足と同時にしかけてきた労働法制改悪攻撃(組合との産業別労働協約を職場での企業の就業規則に置き換える攻撃)に対して、労働者階級は鉄道労働者を先頭に、体制内労働運動指導部の及び腰に抵抗しつつ、半年にわたる「週2日のスト」で闘ってきた。その階級的闘いによって、これまで闘争に参加できなかった広範な人民階層が、パリだけでなく、むしろ地方諸都市で、闘いに決起してきた。フランスでも、体制内労働運動を覆す階級的労働運動の復権がますます重要となっている。
 他のEU諸国、ドイツ・イタリア・スペインなどのメーデーでも、「民営化反対」「労働法制改悪反対」「非正規労働反対」「排外主義反対、ファシズム反対」「資本ではなく、人民が主人公だ」などのスローガンを掲げ、それぞれ新しい形で労働者階級人民の怒りが爆発している。

(写真 スペイン・マドリードでは「闘いは続く」「平等と団結」「人間が第一」の横断幕)

(写真 イタリア・トリノでは素手で警官隊と激突)

韓国 ムン政権に激しい怒り
 「労働者の生活取り戻す」

(写真 ヘルメットに「団結・闘争」の鉢巻きを巻いた建設労組の労働者たち)

(写真 前列左端のウダヤ・ライ委員長を先頭に、ハングルと英語のボードを掲げる移住労組の隊列【5月1日 ソウル】)

 韓国・民主労総は5月1日、労働基本権の獲得を最大のテーマとして、非正規職撤廃、財閥改革、朝鮮半島自主統一などを掲げて全国13地域でメーデー集会を開催。「労働者の生活を取り戻す民主労総100万労働者の闘争」を宣言した。首都圏大会には3万人、全国各地では計6万人を超える労働者が参加した。
 「ムンジェイン政府が労働尊重社会を作るという当初の約束とは違い、労働改悪を推進し、労働者が呻吟(しんぎん)している」(保健医療労組・ナスンジャ委員長)??これが韓国の現状だ。ムンジェイン政権はこの間、本格的に労働法制の改悪攻撃に踏み込んできた。その柱が、一定の期間内で労働者を好き勝手に働かせるための弾力勤労制(変形労働時間制)の単位期間拡大と最低賃金制度の改悪だ。
 さらに、財界が要求する労働基本権の全面解体を受け入れ、パククネ政権下でもできなかったような悪らつな労働者の権利?奪・労組破壊攻撃に乗り出している。安倍政権が進める「労働組合のない社会」を狙う攻撃とまったく同じだ。これに対して、職場には「社会を変えるのは自分たち労働者階級だ」という怒りとエネルギーが満ちている。
 首都圏大会でソウル地域本部のチェウンチョル本部長は、「ろうそくで切り開いた民主主義は、工場の前で止められた」と強調し、「ろうそく政府」を自任するムンジェイン政権が自ら労働者の権利を否定し奪っていることを弾劾。さらに、「労働者全体の絶対的な多数を占める30人未満の事業場の労働者は労組活動の権利を保障されておらず、かろうじて労組を設立しても解雇撤回闘争から始めなければならないという現実」があると暴露し、「労働組合と労働者の権利を守るため後退することなく闘おう」と訴えた。
 民主労総は今回のメーデー大会で、完全な労働基本権の保障、最低賃金1万?、非正規職労働者の正規職化、人間らしい生活のための公共医療と社会セーフティーネットの拡大、財閥ではなく労働者中心の産業政策、朝鮮半島の自主平和統一などを要求した。
 大会後には、大統領府と政府庁舎、雇用労働部に向かってのデモに出発。デモ隊の先頭には「労働法改悪阻止!労働基本権獲得!」の横断幕が掲げられ、各団体が色とりどりの労組旗や横断幕をなびかせて都心を進んだ。「職業転換の自由を認めろ!」「弾圧をやめろ!」などのボードを掲げて参加した移住労組の隊列も目を引いた。韓国をはじめ、全世界でメーデー闘争の先頭に外国人労働者が立っている。日本でもこれに続く闘いを実現しよう。

このエントリーをはてなブックマークに追加