大合理化と労働組合破壊狙う 「AI革命」に職場から対決を 革共同電通労働者委員会

週刊『前進』04頁(3044号03面02)(2019/06/17)


大合理化と労働組合破壊狙う
 「AI革命」に職場から対決を
 革共同電通労働者委員会


 2018年6月、NTT持ち株会社は澤田純副社長を新社長に昇格させ、同年11月に「NTTグループ中期経営戦略2025」を発表した。
 澤田社長は日経新聞のインタビューで、この中期経営戦略の核心を「国内通信への依存から脱却してグローバル事業を強化する」と説明した。具体的には、①クラウドサービスなど企業向けITを軸に成長する海外市場を攻める、②人工知能(AI)や生命科学といった先端分野を研究して将来のビジネスにつなげる、③そのための研究に特化したプロ人材に高額の報酬を与えられるよう19年度に賃金制度を改革、④NTT東西を中心にネットワーク設備の運用関連の人員を7年で半減させ、23年度には17年度に比べて8千億円のコストを削減するという。
 「将来のビジネス」とは、例えば、センサーや人工知能を使って都市の課題を解決する事業を来春から米ラスベガスで始めるという。街なかに設置したカメラなどからデータを収集・分析し、交通事故や犯罪の予防につなげるというのだ。また、新会社を設立して健康事業に参入し、個人の遺伝情報と健康診断のデータを人工知能で解析して契約先の医療費削減につなげるとしている。いずれも電話会社とは程遠い事業だ。1985年の電電公社民営化から30余年、その破綻と世界情勢の激変はいまNTTを「脱電話会社化」に向かわせている。

能力主義徹底し賃金制度を改悪

 NTTだけではない。トヨタ自動車や日立製作所もそれぞれ「車を開発・製造し販売するという従来のビジネスモデルのままでは収益は上がらない」「『ものづくり』から『デジタル』へ」として「脱製造業」を掲げ、「AI革命」を合言葉に産業構造の転換を図ろうと必死になっている。
 しかしこの分野は、すでに米中が軍事力を背景に激しい国家間の対立を展開しており、日本が対抗できる余地はない。日本は人材も不足しており、世界のAIトップ級人材とされる2万2400人のうち約半数はアメリカに集中、日本が占める比率は4%の800人強にすぎない(日経新聞6月3日付)。経産省の試算でも2030年時点でAI人材は12万4千人不足するというのだから、実際にはまったく展望はないのだ。
 むしろ「AI革命」として全産業で一斉に始まったことは、「働き方改革」と称した大合理化であり労働組合への攻撃である。19春闘でトヨタ社長は「生きるか死ぬかの状況がわかっていない」とトヨタ労組を恫喝し、賃上げの一律要求をやめさせた。NTT労組も経団連の意向に沿う形で月例賃金ベースでの一律改善要求をやめ、年収2%増の要求を打ち出し、例年行ってきた「ストライキ批准1票投票」も行わなかった。
 「研究に特化したプロ人材に高額の報酬を」として賃金制度改革を打ち出したNTTに続き、ソニーや東芝などでもAIなど先端領域で高い能力を持つ人材には初任給や年間給与に差をつける動きが始まっており、「入社時から能力主義を徹底し」「横並び(給与体系を)崩す契機に」と報じられている(日経新聞6月3日付)。始まったのはこれまでの雇用や賃金のあり方を根底から破壊し、労働組合を破壊する攻撃だ。

NTT職場から怒りの声が噴出

 「AIやロボットに多くの人間の仕事が取って代わられる」と言われていることについて、動労千葉の田中康宏委員長は、「JRも『AIによって自動運転が出来る時代だから運転士など必要ない』と言い出している。しかしそれが例え実現できたとしても山手線など一部にすぎない。一皮むけば何一つ根拠のない攻撃だ。『AI技術の進展』等の主張は、労働者を突き落とし、低賃金を強制し、労働組合を破壊するためのイデオロギー攻撃にほかならない」と訴えている。
 NTT東日本は先の「中期経営戦略」を受けて、今後7年間でグループ従業員の2割に当たる7千人を減らす方針を明らかにした。そして減らした従業員分の仕事は「業務のデジタル化によって補う」としている。すなわち、仕事がなくなるわけではない。これから職場で始まるのは、今以上の人員削減であり、長時間労働であり、非正規職化であり、低賃金化だ。そして、社会を成り立たせるために必要な仕事が軽んじられればますます社会は崩壊する。絶対に許すわけにはいかない。
 会社の言う「産業構造の転換」なるものは、避けることのできない時代の流れでもなければ、目に見えないものとの闘いでもない。合理化と闘う労働者の団結をつくり出せば必ず立ち向かうことは出来る。すでにNTTの職場からは春闘の妥結内容とスト権批准投票すらしなかった労組本部に対して批判が噴出しており、執行部が異例の対応に追われている。非正規職労働者がNTT労組に加入しないのも怒りの表明だ。
 今こそ職場に闘う労働組合をつくり出そう。
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