無人運転は完全に破綻 それでも開発を強行するJR

週刊『前進』04頁(3050号02面02)(2019/07/08)


無人運転は完全に破綻
 それでも開発を強行するJR

初めから安全無視

 6月1日に起きた横浜シーサイドラインの逆走事故は、自動運転が必ず事故を引き起こすことをはっきりと示した。しかし、事故の直後にJR東日本社長の深沢祐二は、「今進めているドライバーレス化に向けた開発は、引き続き進めていく」と言い放った。
 シーサイドラインの事故は、折り返し運転の切り換え信号を伝えるケーブルが断線し、信号が伝わらなかったことによって起きた。断線したケーブルは、1本だけ外れて、車体の部材に溶着していたという。
 重要な機器が断線すれば、モーターは作動しないようになっていなければならない。だが、シーサイドラインは、信号が伝わらない場合は、以前の状態を維持するように設計されていた。そのため、本来なら終着駅の新杉田駅で進行方向が変わるはずなのに、車両は以前と同じ方向に動き出し、車止めに激突した。
 車止めに激突するまで、モーターは作動し、車輪には動力がかかり続けていた。車両は時速約25㌔のスピードで車止めにぶつかり、その衝撃で14人もの重軽傷者を出したのだ。
 運転士が乗っていれば、車両が逆走を始めた瞬間に非常ブレーキをかけ、事故を未然に防いだはずだ。
 事故の原因になったケーブルの断線も、通常の車両検査では見つけられないようなものだった。安全を確保しようとすれば、車両や設備の検査・修繕に膨大な経費をかけなければならない。だが、資本が運転士の人件費削減分を超えてそうした費用を支出するわけがない。無人運転は、はじめから安全を切り捨てて成り立っているシステムだ。
 にもかかわらずJR東日本は、「今は自動列車運転装置の実験を始めた段階だが、将来は無人運転もあり得る」と言い続けている。
 シーサイドラインは全線が高架で、運行距離も10・9㌔ほどだ。JRが自動運転を導入しようとしている山手線は、それよりはるかに複雑で、乗降客も多い。JRがやろうとしていることは、あまりに無謀で危険きわまる。

ワンマン化し廃線

 JR東日本は無人運転化とともに、ローカル線のワンマン運転化を徹底的に進めようとしている。
 これまではワンマン運転は2両編成が限度だった。だが、JR水戸支社は5両編成の車両をワンマン運転できるようにする改造工事を行い、その車両は東北本線の黒磯―新白河間で試験運転に使われた。試験運転はマイプロジェクト(小集団)活動として行われたと言われるが、JR本社の方針によるものであることは明らかだ。実際、JRは3~6両の中編成、7両以上の長編成もワンマン化の対象だと明言している。
 これは安全を破壊するだけではない。3両編成以上をワンマン化した場合、運転士が乗客の切符を確認し、運賃を受け取ることは不可能だ。JRは、スイカが使えず無人駅が多いローカル線では、運賃徴収を事実上、放棄しようとしている。それが、やがては廃線につながることも明白だ。
 運転士・車掌廃止の「新たなジョブローテーション」は、まずはワンマン化による車掌の大幅削減として強行されようとしている。JR東日本は5月、グリーン車内の販売・案内に携わるグリーンアテンダントの業務を、従来の日本レストランから切り離し、新たに設立された子会社の「JR東日本サービスクリエーション」に集約した。これは、いずれは車掌を非正規職のアテンダントに置き換えることが目的だ。
 そこからJRは鉄道業務の全面的な分社化に進もうとしているのだ。
 だが、この施策は必ず破綻する。動労千葉と動労水戸が立ち上げた乗務員勤務制度改悪阻止闘争本部が指摘するように、それは安全、技術継承を崩壊させ、労働者の怒りに迎え撃たれる。労働力も確保できなくなり、地方の反乱も不可避だ。AI万能神話は通用しないことが、現実によって突き出されるのだ。
 「ジョブローテーション」粉砕へ今こそ立とう。
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