米が先制核攻撃を計画 統合参謀本部が「核作戦」報告書 自国兵士をも放射能汚染にさらす

週刊『前進』04頁(3052号03面02)(2019/07/15)


米が先制核攻撃を計画
 統合参謀本部が「核作戦」報告書
 自国兵士をも放射能汚染にさらす


 6月11日、アメリカ統合参謀本部が「核作戦」という報告書を出した。
 米帝は、17年末の「国家安全保障戦略」、18年1月の「国家防衛戦略」、同年2月の「核態勢見直し」で、公々然と先制的に核攻撃すると打ち出した。しかも中国・ロシアを名指しで核戦略の主要対象国にした。それを受け、統合参謀本部がさらに重大なエスカレーションを加えている。

「限定核戦争」は全くのまやかし

 「核作戦」の第3章は、米ソ対決時代の核戦略推進者で「悪魔の科学者」といわれたハーマン・カーンの、「核使用は広範・無制約となるより小規模・限定的となる可能性がはるかに高い」という言葉で始まる。ためらわず核を使え、ということだ。
 だが、いったん核が使用されれば、直接攻撃されなかった国も含めて存亡の危機となり、核の応酬に突進する。「限定核戦争」などとんでもないまやかしだ。
 また、「米国は様々なシナリオにおいて核戦力を使用できる」「戦略的安定性の回復、損害の限定、ないし紛争を最大限有利な条件で終了させるために、米国は行動をする用意がある」という。核戦争は放射能汚染、「核の冬」など地球規模の破壊をもたらす。だがこの「核作戦」は、アメリカだけは核戦争の影響を受けず、勝者になれるという。
 第5章では、「核兵器は、いっそう有利な条件での講和を求めるために紛争をエスカレートする目的で戦役に持ち込まれうる」という。従来、核兵器は「抑止力」だという建前だった。〈アメリカや同盟国への攻撃の防止のために核による報復力が必要〉と言われてきた。だが今回は、単に条件の有利性を高めるために核を使うと露骨に言っている。

爆心地一帯での地上作戦を遂行

 第5章第3節は「核環境の中での作戦」という表題だ。「陸軍・海兵隊と特殊作戦部隊は、核爆発後の放射線環境の中で全作戦を遂行する能力を持たねばならない」という。米軍はすでに1940年代から、核実験場で兵士を爆心地に向かって行軍させる人体実験を行ってきた。だが今回の「核作戦」は、自国の兵士を放射能汚染にさらすことを公然と宣言した。それによって〈汚染地域でも人間が活動できる〉と示し、だから核兵器は積極的に使うべきだといいたいのだ。
 03年のイラク反戦デモには、労働組合が大量に参加し、世界史上最大のデモとなった。ILWU(国際港湾倉庫労組)は08年、戦争停止を要求して米西海岸の全港湾を封鎖した。11年にはエジプト革命を始めとした「アラブの春」が起き、アメリカの中東石油支配を崩壊寸前に追い詰めた。昨年のウェストバージニアなどの全州学校ストの波、そして今年のUTLA(ロサンゼルス統一教組)の大ストは、地域を丸ごと組織化し、アメリカ革命の現実性を見せつけた。
 支配階級はこれに死の恐怖を感じ、巨大な破壊力で労働者を無力感に陥れ、労働者の団結を破壊するために核使用に突進している。

労働者の団結で核戦争阻止を!

 米トランプ政権を先頭に世界の大国がこぞって「自国第一」を掲げた世界市場の再分割戦に突き進む中で、アメリカ帝国主義の世界的な軍事同盟のネットワークはほころび、巨大な地殻変動がおこっている。その中で米帝・米軍は、最後に残された圧倒的戦力=核兵器の使用に一切をかけようとしているのだ。
 安倍政権は、米が昨年「核態勢見直し」を発表した後、直ちに支持を表明した。日帝自身の核武装を狙っているからだ。米日帝国主義の断末魔のあがき、イランへの侵略戦争―世界戦争・核戦争を許すな!
 核による脅迫と労働者の団結破壊には、労働者自身による団結の組織化、拠点建設と国際連帯が最強の武器だ。8・6広島—8・9長崎から全世界的な反核闘争を組織しよう。
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