拡声器規制めぐり公開討論会 8・6ヒロシマの原点が明確に

週刊『前進』04頁(3056号02面03)(2019/07/29)


拡声器規制めぐり公開討論会
 8・6ヒロシマの原点が明確に

(写真 多くの参加者が会場を埋め、「8・6ヒロシマはどうあるべきか」と真剣な討論を行った。発言しているのは平野綾子さん【7月20日 広島市】)

 7月20日、8・6ヒロシマ大行動実行委員会が主催して、「平和記念式典のあり方と拡声器規制について考える」と題する公開討論会を行いました。
 パネリストは、被爆2世の中島健さん、音楽評論家の東琢磨さん、「改憲・戦争阻止!広島教職員100人声明」呼びかけ人の平野綾子さん、広島市職員の福井利明さんの4人です。
 他にも松井・広島市長や拡声器規制の中心を担わされている市民活動推進課などに出席を要請しましたが、「中立性に疑問」「市民への周知が不十分」などの理由で欠席でした。
 しかし、原水禁運動関係者・大学教員・弁護士・マスコミ関係者に加えて保守系の広島市議が参加して、「8・6を私たちはどういう日として迎えるべきか」「〈慰霊の心〉と〈反戦反核の訴え〉は、対立するかしないか」等をめぐって様々な意見が飛び交う真剣な討論会となり、本当に画期的なものになったと思います。
 今回の公開討論会の収穫は、特に次の2点です。
 一つは、「8・6とは何か」「何のためにこの日にこだわって運動を行ってきたのか」について掘り下げたことです。複数の被爆2世の方から家族の被爆体験が語られました。そして「アメリカ政府も日本政府も原爆投下の責任をとらないまま今日まできた」「今も身元不明の7万柱が納められた原爆供養塔こそ平和公園の原点」「広島の声を抑えつけることと、福島で健康被害をなきものとしようとする動きは同じ」「生きながら焼かれた被爆者のことを思うと静かになどしておれない」など、被爆者の怒りの原点を今一度明確にしました。
 そして、「それら一切にフタをして改憲・核武装に向かう安倍が出席する平和記念式典とは何なのか」を改めて確認できました。
 二つに、拡声器規制問題の核心は、公務員をはじめ全ての労働者を国家や権力者の命令に従わせていくことだと突き出しました。  平野さんからは、「みなさんの思想・信条は守る。だけど式典の時間だけは静かにしてほしい」という市民活動推進課の言い分は、学校現場での「日の丸・君が代」強制と全く同じやり方だと指摘されました。
 福井さんからは、「市の職員はみんな嫌々ながらも、上からの命令という形で規制を担わされようとしている」との問題提起がなされました。そして、だからこそ自治体労働運動が重要であることが多くの発言で確認されました。
 規制条例制定の目的が、改憲・戦争に向けてヒロシマを沈黙させることにあるのは明らかです。しかし、これまでの取り組みを通して逆に、広島市民全体に対して「8・6ヒロシマはどうあるべきか」という議論の輪を広げるものになってきています。同時に、まさに当事者である自治体労働者・教育労働者の運動が軸に据わっていることが重要だと思います。
 討論会終了後には4回目の実行委員会を開催し、8・6ヒロシマ大行動が注目の的となったこと、残り2週間の組織化に力を尽くし、8・6ヒロシマ大行動の成功に全力を挙げることを確認しました。
 全国・全世界から、8・5―6ヒロシマ闘争への参加をよろしくお願いします。
(被爆74周年8・6ヒロシマ大行動実行委員会事務局長・宮原亮)
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