表現の不自由展中止 首謀者は安倍 右翼の暴力で戦争犯罪抹殺 日韓連帯でこの暴挙粉砕を

週刊『前進』02頁(3061号02面01)(2019/08/22)


表現の不自由展中止 首謀者は安倍
 右翼の暴力で戦争犯罪抹殺
 日韓連帯でこの暴挙粉砕を

(写真 8月12日に東京・京成曳舟駅前で、来日した韓国・民主労総ソウル地域本部のヨンスノク首席副本部長が「平和の少女像」のパフォーマンス。多くの仲間が集まり行動を支えた)

 8月1日から愛知県で開催されている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の中の企画展「表現の不自由展・その後」が、開幕から3日間で中止に追い込まれた。
 展示の中に、日本軍軍隊慰安婦にされた女性を象徴する少女像や、昭和天皇の肖像が燃やされる映像などがあったことに対して、「抗議」の電話などが殺到したのだ。2日の朝には「ガソリン携行缶をもってお邪魔する」とテロを予告するようなファックスが届いた。15日までに電話、ファックス、メールによる「抗議」が5700件届いたという。
 これらは、日本帝国主義の朝鮮・中国・アジア侵略と戦争犯罪を「なかったこと」にしたい右翼反動勢力による卑劣な手段による脅迫である。絶対に許してはならない。
 これと連動して、河村たかし名古屋市長は展示を見て、「(少女像は)日本人の心を踏みにじるもの」などと毒づいた。菅義偉官房長官は、右翼どもの犯罪行為は野放しにしながら、文化庁が予定していた芸術祭への助成金について「事実を確認し精査し適切に対応したい」と述べ、検閲し、「金を出さない」形で禁圧する可能性をちらつかせた。

メディアも支配し

 表現・芸術活動が脅迫・恫喝によって押しつぶされたことに危機感を募らせ、内外から怒りと抗議の声が続々と上がっている。
 だが、今回の問題はすでに「表現の自由」をめぐる一般的な問題ではなくなっている。
 日帝が侵略戦争を遂行する中で、朝鮮半島出身者をはじめ多くの女性たちを日本軍軍隊慰安婦として強制動員したことは歴史の動かぬ事実だ。この事実を力ずくで抹消しようとする安倍政権と極右反動勢力に対して、全面対決することが求められている。安倍こそが、今回の展示を中止に追い込んだ首謀者だ。
 日帝の戦争犯罪を告発する闘いに対して、安倍は日本の大手メディアを支配・統制することで、日本での報道を封じ込めている。
 韓国大法院(最高裁)が元徴用工への賠償を日本企業に命じたことに対しても、安倍は「日韓基本条約で補償問題は解決済み」と強弁し、謝罪も賠償も拒否して報復的な経済制裁を発動した。大手マスコミはこれをまったく批判せず、また、8月8日に「平和に逆行した日本政府の対韓政策に強く抗議する!」と参議院議員会館で行われた「希望連帯」呼びかけの共同記者会見には、日本の大手マスコミが一社も取材に来ないという徹底ぶりだ。
 また、安倍はメディア戦略の一環として、自民党ネットサポーターズクラブ(J―NSC、会員数1万9千人)を直接組織している。この連中は日々自分たちの攻撃対象を探しながら、インターネット内をうろついている。そして自民党にけしかけられるままに、野党議員、文化人、芸能人、マスコミ、運動団体などを「反日」と決めつけ、下劣な罵倒や中傷を繰り返し書き込んだり、電話「抗議」で罵声を浴びせることを日課としている。今回の展示への攻撃も、安倍の手先となって動く「ネット右翼」の連中の仕業だ。

安倍打倒へ闘おう

 今回問題にされた少女像は、ソウルの日本大使館前に設置されたものと同じ作者によるほぼ同じ造形だが、彩色がされ、より実際の少女に近い。悲しみをたたえた目は、このような日本の「不自由」な状況を見渡し、抗議の意を表しているように見える。
 労働組合の存在すら認めない安倍政権の暴圧と闘い、労働者階級の鉄拳で排外主義勢力を粉砕しなければならない。国際連帯の強化が求められている。
 韓国・民主労総ソウル地域本部のヨンスノク首席副本部長が8・12集会で述べたように、「日本軍慰安婦と強制徴用問題は過去のことではなく、必ず解決しなければならない今日の課題」であり、「日本、韓国の労働者民衆が平和のために安倍退陣を前面に掲げて闘う」ことに展望がある。全世界の労働者は一つだ。
(田宮龍一)
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