9・1朝鮮人虐殺から96年 小池知事がまたも追悼文拒否 排外主義扇動に立ち向かおう

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週刊『前進』02頁(3061号01面03)(2019/08/22)


9・1朝鮮人虐殺から96年
 小池知事がまたも追悼文拒否
 排外主義扇動に立ち向かおう

(写真 関東大震災後、軍・警察の主導で関東地方に自警団が組織され、朝鮮人への集団暴行・虐殺が行われた)


 小池百合子都知事は、毎週金曜日に都庁で行われる定例会見で、8月9日、毎年開かれている9・1関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典への追悼文を今年も送付しないことを表明した。追悼文送付を昨年に引き続いて今年も行わないと決定した小池を徹底弾劾する。以下が共同通信の記者の質問に対する回答である。
 「それは毎年申し上げているとおりでございまして、毎年9月と3月に横網町の公園内の慰霊堂で開かれる大法要で、関東大震災、そしてまた、先の大戦の犠牲となられた全ての方々への哀悼の意を表しております。大きな災害で犠牲になられた方々、そして、それに続いて、様々な事情で犠牲になられた方、これらの全ての方々に対しての慰霊という、その気持ちには変わりがないということでございます」

6千人余の朝鮮人虐殺の歴史を否定

 式典への追悼文送付は1973年以来、石原慎太郎都知事も含めて、歴代の都知事が知事名で行ってきたものだ。小池も都知事になった2016年は同様の対応をしていた。
 小池が追悼文を送付しないことにした契機は、2017年3月2日の都議会で自民党の古賀俊昭都議が、公園にある追悼碑の「あやまった策動と流言飛語のため6千余名にのぼる朝鮮人が尊い生命を奪われました」との文言について「事実に反する」との質問を行い、日朝協会主催の式典に、知事が追悼文を送付することは「歴史をゆがめる行為に加担する」と主張し、送付の再考を求めてからだ。
 この質問に対して小池は「これまで毎年、慣例的に送付してきたものであり、昨年も事務方において、例に従って送付したとの報告を受けております。今後につきましては、私自身がよく目を通した上で、適切に判断をいたします」と答えて、2017年から送付をやめた。
 「9・1関東大震災朝鮮人犠牲者追悼実行委員会」が主催する、関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典は、日朝協会東京都連合会や日中友好協会などによって組織され、都立横網町公園(東京都墨田区)において、1973年以降毎年開催している。1923年の関東大震災では、「朝鮮人が井戸に毒薬を投入した」 などという流言飛語を内務省が意図的に流し、警察がそれを拡散した。そのことで軍隊や警察、自警団などによって数千人ともいわれる朝鮮人、中国人が虐殺された。式典では、そうした人々への追悼が行われている。

地震による犠牲者と同列にできない

 9・1の朝鮮人・中国人大量虐殺は、地震という自然災害による犠牲者と同列にできるものではない。特に古賀は質問の中で「慰安婦強制連行が完全な虚構であった」と述べていた。古賀や小池、安倍は、日帝の侵略と植民地支配、他民族虐殺、抑圧・差別という負の歴史をなかったことにし、今日再びその歴史を繰り返そうとしている。
 安倍は徴用工訴訟での日本企業の敗訴と損害賠償要求に対する報復として韓国への半導体材料3品目の輸出規制に踏み込み、貿易上の優遇措置を適用する安保上の友好国「ホワイト国」リストから韓国を除外する韓国敵視政策を行い、すさまじい排外主義・国家主義をあおり立てている。
 小池の9・1追悼式典への追悼文拒否は、これらの日帝・安倍政権の排外主義扇動と改憲・戦争への突進に拍車をかけるものであり、断じて許しがたい。秋の臨時国会で改憲発議を狙う安倍政権への闘いの第一弾として、改憲・戦争の安倍政権打倒を呼びかける闘いに立とう。東京労組交流センターが呼びかけるJR両国駅での街頭宣伝に参加し、9・1朝鮮人・中国人虐殺糾弾、犠牲者追悼の闘いに立とう。

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