団結ひろば 投稿コーナー

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週刊『前進』04頁(3062号04面04)(2019/08/26)


団結ひろば 投稿コーナー

もの言えなくなった時
 戦争 改憲・戦争阻止!大行進 東京東部 米山良江

 8月20日、江東区で、東部の大行進運動の第10回憲法講座を開いた。東京下町は1945年3月10日に東京大空襲で約10万人が犠牲になった土地だ。
 この時期に戦争の実相を改めて知ることが大事だと考え、東京大空襲の経験者でもある野本三吉さんに講演をお願いした。野本さんの講演のテーマは「生きること、それがぼくの仕事です―ものが言えなくなったときが戦争です―」。時に涙しながらの約1時間の講演に、参加者は引き込まれるように聞き入った。野本さんは当時4歳、ぎゅう詰めの防空壕(ごう)の中、妹さんが窒息死した場面の話は胸をついた。
 大空襲の記憶と「新しい憲法のはなし」、全ての基本が「話(放)し合い」だった戦後の学校の様子、横浜寿町で市の労働組合に所属しながら、日雇い労働者でつくった労働組合とともに行政闘争をして生きる権利を闘いとったこと、14年間沖縄に住み、沖縄戦と子どもの貧困問題に向き合ってきたことなど、野本さんの人生が淡々と語られた。私たちに「生きる」とはどういうことなのかを問いかけるお話だった。
 最後に、相手からていねいに聴くこと、暮らしの中でつながること、共通の思いを声にして一緒にやることが大事だと強調された。質疑討論の中では、関生弾圧を許してはならない、ヒロシマの教職員の闘いを守り抜こうと訴えられた。司会者は、11・3労働者集会への参加を呼びかけた。
 ここで学んだことを力にして、「改憲・戦争阻止!大行進東京東部実行委員会」は改めて団結を固めて、大きく飛躍したい。

破産あらわのリニア新幹線
 東京 長沢典久

 2027年にリニア中央新幹線を品川―名古屋間で開業させるというJR東海の計画は頓挫しつつある。静岡県内でのトンネル工事で大井川の水量が減ることは認められないとする静岡県とJR東海とが対立し、静岡での工事はいまだ着手できないからだ。
 この事態に焦ったJR東海の金子慎社長は、「工程の遅れを取り戻すのがだんだん難しくなっている。開業に影響がでかねない」と記者会見で発言した。これに対し、川勝平太静岡県知事は、「問題解決より開業時期を優先するとは無礼千万」と猛反発した。
 この事態を前に、ついに国土交通省が両者の調整に乗り出した。リニア建設は日本帝国主義の国策そのものだからだ。
 静岡県知事は保守派であり、リニアの建設自体に反対ではない。だが、毎年深刻な水不足に見舞われる大井川の水量がこれ以上減少することを、自治体首長として認めることはできないのだ。流域の各市長も同じ姿勢をとっている。それほどにリニアは地域を破壊する。自治体首長の動きの背後には、住民の激しい怒りがあると見て間違いない。
 もちろん、行政がリニアを止めると期待することはできない。だが、リニア建設が破産することは労働者人民にとって大歓迎だ。JR東海名誉会長の葛西敬之は、改憲論者で安倍の盟友だ。葛西は国鉄分割・民営化で労働者の首を切った張本人だ。その葛西が強行するリニア建設を、労働者人民の闘いで中止させよう。

「国益」宣伝にだまされるな
 東京大学 佐々木彰

 8月12日に東京で開かれた「改憲発議を阻もう/労働者市民のつどい」は、バラエティーに富んだ内容で、さまざまな人が今の改憲・軍拡をめぐる情勢を語った。東京新聞論説委員の半田滋さんの講演では、現政権が矛盾に満ちたやり方で軍備拡張を一線を越えて進めている実態が暴露された。民主労総ソウル地域本部の方々は労働者の国際連帯を強く訴えた。
 重要だと思ったのは森川文人弁護士のアピールである。体制は国益なるものを主張し、人民をそのために動員しようとする。排外主義はまさにそうである。しかし国家の利益なるもの は、しょせん資本家の利益でしかない。先の戦争でも財閥は重労働を強いたり強制徴用を行い、大もうけした。徴用工問題は資本だけが不当に得をした問題である。「資本の利益のための排外・戦争に加担してはならない」ということは、とりわけ現在強く訴えるべきことだと思う。
 いまの多くの学生は政治的問題にあまり言及せず、大学をめぐる諸政策や経済的課題に対しては不満を持つ人が多いと思う。しかし、経済的課題の背景にあるのは、世界情勢を踏まえながら決まるまさしく政治であり、経済的課題でも政治的課題でも、社会のあり方は体制の側の政治的意思の貫徹の結果である以上、どんな政治がなぜ進んでいるかを見据えなければならない。
 とりわけ政府が軍拡と改憲、排外主義扇動を強めている現在において、それらが何のためか、国家が何ものであるかを捉えて社会変革のために行動しなければ、戦争と加害に加担させられていくだろうし、生活も社会も悪くなる一方だ。
 既に相当進められている軍備強化という戦争政策と、市場原理導入という新自由主義を拒否する以外に人間らしく生きていく道はない。
 国益宣伝、排外主義扇動にだまされてはならない。

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