国の手先への転落、組織崩壊か、労働組合の闘う団結の再生か 自治労運動が重大な分岐点に

週刊『前進』04頁(3066号02面01)(2019/09/09)


国の手先への転落、組織崩壊か、労働組合の闘う団結の再生か
 自治労運動が重大な分岐点に

(写真 8月27日、自治労福岡大会会場前で「会計年度職員攻撃に絶対反対で闘おう」とアピール)


 自治体労働運動が重大な分岐点を迎えた。組合員の減少が止まらない。安倍政権の攻撃と闘うことなく国の手先に転落して組織を崩壊させ労働組合としての死を選ぶのか、それとも闘う団結を再生させるのか。巨大な危機の進行と同時に新たな決起が始まっている。8月自治労大会の全過程はそのことを示した。

組合員が毎年1万人減少

 自治労は8月27〜29日、福岡で定期大会を開催した。大会で突き出されたのは自治労の「組織存亡の危機」(大会議案)だ。2000年に100万人いた組合員は78万人に。毎年1万人減っている。正規職の組織率は7割弱、非正規職を含めれば組織率は5割を切った。組合消滅・解散を決めた単組も出ている。
 これまで国鉄分割・民営化を手本に、国と当局による民営化・民間委託、人員削減と非正規職化、評価制度の導入、賃金制度改悪・大幅賃下げの攻撃が続けられてきた。今や会計年度任用職員制度など全ての攻撃が安倍の改憲・戦争国家化と一体の団結破壊・労働組合つぶしだ。
 しかし政府・当局との労使協調路線をとる自治労本部は闘うことなく攻撃を受け入れ協力してきた。多くの現場労働者、青年労働者が不信を募らせて、「組合費を払う意味がない」と組合から離れている。労組幹部が労働者の闘いを否定し組合の存在意義を自ら否定してきた責任は重大だ。

会計年度職員攻撃粉砕を

 しかし安倍政権が来年4月から全国一律の基準での導入を狙った会計年度職員制度との攻防が全国で火を噴いている。民営化、解雇、賃金をめぐる闘いと共に、会計年度職員攻撃粉砕は労働組合を再生する決定的な闘いだ。そのことが大会で一層鮮明になった。
 会計年度職員制度の対象となる非正規職員は4割に迫り9割を超える職場もある。新制度はその膨大な職員を、①毎年全員解雇、②試験・評価で採用・不採用を決め、③毎年1カ月の試用期間を設けて解雇できる制度に変える攻撃だ。当局にたてつく労働者は排除される。労働者としての権利や組合を敵視する不当労働行為、パワハラがまかり通る。恐怖支配が広がる。これまでの雇用・労働条件は破壊され、基本給は大幅に下げられる。特別職非常勤はスト権を奪われる。その次に来るのは全面民営化であり総非正規職化だ。
 だがもはや全国一律の制度ではなくなっている。政府の指示通りの屈服妥結・条例化が進む一方、真っ向から闘う単組で非正規職と正規職の団結が拡大。「年限のない継続雇用」「試用期間なし」を当局に認めさせたり、当局との団交決裂を辞さず闘うことで組合員の新規加入を勝ち取っている単組が多数ある。現行の雇用・労働条件を破壊する攻撃のひどさゆえに学童保育、学校事務、図書館などで現場の怒りが爆発し、9―12月議会での条例化を許さない闘いが繰り広げられている。4月導入のための新規公募が時間切れに追い込まれる自治体も出ようとしている。4月以降も闘いの継続は不可避だ。
 自治労大会では、会計年度職員攻撃が自治体ごとに分断されてかけられていることに対し、全国闘争を求める意見が続いた。正規職の削減、民間委託拡大の危機感が表明され、ストライキを配置して闘う報告もされた。さらに「幼児教育・保育無償化」による公立保育所つぶし、病院、水道などの民営化攻撃と闘う全国統一方針が訴えられた。
 現場は心から闘いを求めている。自治労本部は「組合の原点に返る」などと言うが労働組合の原点は労働者の闘う団結だ。安倍の改憲・戦争、組合破壊に絶対反対で闘う中にこそ自治労再生の道がある。

ナンバーカード強制阻め

 マイナンバーカードの普及は9月1日時点で13・9%。立ち消えの危機の中で安倍は公務員の取得を突破口にすることを狙う。
 カードは監視国家化の大陰謀だ。顔写真とICチップで監視カメラとAI(人工知能)を使った顔認証、買い物や交通、公共施設の利用など全動向の監視に使う。画像解析が五輪警備で導入される。東京・足立区では街頭と施設の全カメラが連結される。
 政府はカードを22年度中に全住民に広げようとしている。そのために公務員の取得状況の調査と称して圧力をかけ、それを水路に事実上の義務化を狙う。
 カードは自治体職員の半減・総非正規職化、全面民営化の土台とされる。カード交付のための業務は爆発的に増える。だから現場は全員が反対だ。強制はできない。怒りを結集し組合が闘えば破綻に追い込める。すでに当局にカード取得の圧力や強制をしないと確約させた単組が出ている。
 一方「カードの発行業務をしている職員もいるから反対は良くない」などという意見との対決が始まっている。こんな暴論が許されるなら、かつて役場の職員が住民に赤紙(召集令状)を配ったことさえ正当化されてしまう。国の手先となった産業報国会の道だ。

闘う単組の合流と決起が始まる

 26日の労組交流センター自治体部会の集会に、九州の自治体で絶対反対で闘う三つの単組・分会が新たに合流した。自治労の再生をかけた闘いが全国で進んでいる。労働組合のない社会にさせない! 11・3労働者集会に大結集しよう。

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