関西生コン支部を守りぬこう 労組活動が刑事罰の対象に

週刊『前進』04頁(3066号02面03)(2019/09/09)


関西生コン支部を守りぬこう
 労組活動が刑事罰の対象に


 生コンクリートの製造・運搬を行う労働者を組織する全日建運輸連帯労働組合関西地区生コン支部に対する弾圧は、戦後史上かつてない労働組合つぶしの弾圧だ。この弾圧の持つ意味は何か。そして今安倍政権や資本家階級、警察権力、裁判所、極右排外主義勢力などが一体となってこうした弾圧をしかけているのはなぜか。このことをとらえ、関西生コン支部を守り抜く闘いに総力を挙げよう。全国で資金カンパと連帯行動を組織し、反撃に立とう。

憲法28条、労組法を否定

 関西生コン支部に対する弾圧は昨年7月18日から開始された。弾圧は滋賀、大阪、京都、和歌山にまで拡大している。8月20日には滋賀県警組織犯罪対策課が、勾留中の組合役員1人を「威力業務妨害」容疑で再逮捕した。
 逮捕者数は延べ85人、起訴者は64人、捜索箇所は百数十カ所にも上る。武建一委員長など組合執行部は、保釈が近づくと再逮捕が繰り返され、すでに1年を超える長期勾留が強いられている。警察権力は組合つぶしのみを意図して、経営者すら「事件」と認識していないことまででっち上げている。国家権力がやりたい放題に権力を行使して、組合解体攻撃を行っているのである。

組合の団体交渉が「恐喝未遂」に

 さらに現場では組合員を解雇したり、不当労働行為をエスカレートさせる経営者もいる。こうした現場での権利侵害、組合破壊に対しても、関西生コン支部は労働組合としての原則的な反撃に立ち上がっている。
 この間の弾圧の最大の特徴は、当たり前の労働組合としての活動の全てが「恐喝未遂」「強要未遂」「威力業務妨害」とされ、犯罪と見なされていることである。具体的には、労働組合の団体交渉やビラ配布、コンプライアンス(法令)違反を点検する活動、そしてストライキのピケット、スト破りへの説得などである。これら正当な組合活動は、刑法上の罰を適用しないこと(刑事免責)が労働組合法1条2項(別掲)に定められているが、それがことごとく犯罪とされているのである。
 組合活動は「組織犯罪」とされ、警察の組織犯罪対策課が乗り出して暴力団と同列に組合の壊滅を狙って攻撃している。
 組合員を狙った解雇、脱退強要、仕事外しなどの資本による不当労働行為が、刑事弾圧に先立ち、またはそれに便乗して行われている。全てに共通するのは、〈団結権・団体交渉権・争議権〉の労働3権を定めた憲法28条の全否定であり、労働組合法を真っ向から踏みにじっていることである。

安倍政権との全面対決へ

 労働組合の争議行為に対する刑法上・民法上の免責は、労働組合承認の最大の核心問題だ。それは、労働組合活動の承認をめぐる19世紀後半の労働者階級と資本家階級の激しい攻防を通して、1900年代初頭のイギリスで最初に確立された。
 日本では戦後の労働組合法に「正当な組合活動は刑事罰の対象にしない」として盛り込まれている。
 安倍政権や資本家階級は、今、それに手をかけてきている。関西生コン支部を弾圧することをとおして、戦前の日本、あるいは19世紀のイギリスのように労働組合の活動自体を非合法とし、労働者が団結することを罪とみなす社会をつくろうとしているのである。この攻防に、労働者の未来がかかっている。全労働者階級の力を結集して打ち勝とう。
 「働き方改革」を掲げて「労働組合のない社会」を狙う安倍政権こそが、弾圧の最大の首謀者である。安倍政権の「働き方改革」の正体は、さらなる長時間労働と労働強化、総非正規職化、労働者のフリーランス(個人請負)化で戦後労働法制を解体し、労働者としてのあらゆる権利も団結も奪う攻撃だ。その攻撃に現場から立ちはだかる最大の壁として、関西生コン支部の労働組合運動がある。
 同時に、「2020年新憲法制定」に突進し、戦争を実際に行う国家体制づくりのために、労働組合の絶滅と「産業報国会」化が待ったなしになっている。
 関生弾圧粉砕を全労働組合の課題として取り組み、闘う労働運動の広範な戦線をつくり出すことが喫緊の課題だ。11・3労働者総決起集会への大結集を実現しよう。

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憲法28条

勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
労働組合法1条2項
労働組合の団体交渉その他の行為であって、労働者の地位向上や労働条件向上などの目的を達するためにした正当なものについては刑法第35条(正当な業務による行為は罰しない)を適用する。(要旨)

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