高線量地帯に列車を走らせるな 常磐線全線開通とめよう 9・22水戸集会に大結集を

週刊『前進』02頁(3067号01面01)(2019/09/12)


高線量地帯に列車を走らせるな
 常磐線全線開通とめよう
 9・22水戸集会に大結集を


 常磐線全線開通阻止、東海第二原発再稼働阻止へ、9・22水戸集会に向けて動労水戸支援共闘から寄せられたアピールを掲載します。9・22集会に集まり、常磐線の全線開通を止めましょう。(編集局)

線路周辺は帰還困難区域

 JR東日本は来年3月までに常磐線を全線開通させることを目指しています。水戸支社は7月、全線開通に向けての提案を労働組合に提示してきました。これに対して動労水戸は事実解明要求を提出し、9月6日にJR東日本水戸支社と団体交渉を行いました。
 JR東日本は、「線路と鉄道用地は除染して、年間20㍉シーベルトを下回っているから問題ない」(5月のJR本社との団交)としています。
 今回提示された会社側の資料によると、除染したにもかかわらず、毎時2㍃シーベルトを超える区間が2㌔メートル以上に及び、最大2・3㍃シーベルトとなっています。しかし、大熊町の測定結果によると、常磐線にかかる跨線(こせん)橋(大熊町中央台)の脇に設置してあるモニタリングポストは毎時16㍃シーベルト(年間では約70㍉シーベルト)と、とんでもない値となっています。
 そもそも、JR東日本が開通の根拠としている「特定復興再生拠点区域」とは、「2022年春までの避難指示解除を目指して整備」される区域であり、常磐線開通に合わせて先行的に解除される駅周辺部も、立ち入りはできても居住することはできません。いったい、誰のための開通でしょうか。

列車汚染を認めるも放射能測定拒む

 さらに、JR本社が5月の団交で「列車に放射性物質が付着するとは考えていない」と回答したことについて追及しました。原発事故から半年以上にわたって広野駅に放置されていたK544車両の被曝や、大子運輸科で車両を洗浄した際の汚泥が高線量であったことなどを指摘すると、「列車に放射性物質が付着する可能性もある」と認めざるをえませんでした。
 にもかかわらずJRは、あくまでも「測定はしない」と強硬な姿勢を貫いています。測定は都合が悪いことなのでしょうか。「列車は汚染しない」という、根拠のない主張を続けるためと言わざるをえません。

まだ何も決まっていない

 運転再開準備の提案をしてきたJRですが、運転再開に向けての教育訓練や避難計画については「まだ示せない」としています。その理由は、「設備の連動などについて国の認可が下りていないから」ということでした。つまり、運転再開準備についての提案などできる段階ではなく、何も決まっていないのです。にもかかわらず、「20年3月までの全線開通」ありきで押し通そうとするのは、現場の労働者にあきらめを強制し、労働組合に声を上げさせないためです。
 JR水戸支社は、開通予定とされる富岡―浪江間の列車運行について、いわき運輸区ではなく原ノ町運輸区にすべての業務をやらせようとしています。
 いわき運輸区では、広野、竜田、富岡と延伸するたびに職場から不満が噴出し、若い女性の車掌は「被曝するような乗務はしたくない」と管理職に泣きながら訴えました。富岡―浪江間を乗務すれば、これまでとは比較にならないレベルの被曝を強いられます。そうなれば、運輸区全体から反乱が始まるかもしれないという恐怖があるのです。だから、あらゆる労働組合を解体し、すべての矛盾を原ノ町運輸区に押し付けようというのです。
 業務量が増える原ノ町運輸区では要員が不足するため、水戸や勝田から運転士や車掌を配転させようとしていますが、原ノ町運輸区の社宅に空きはなく、アパートを借り上げようにも、ほぼ満室となっています。常磐線開通のためであれば労働者の生活など犠牲にしてもかまわないという会社への怒りが、運輸区全体に広がりつつあります。

職場から被曝労働拒否を

 高線量地帯を走行する列車の検査・修繕・清掃を行うのは、勝田車両センター(ひたちなか市)です。勝田車両センターは住宅地に囲まれ、車体洗浄機は公園や住宅に隣接しています。放射性物質が付着した列車を高圧洗浄すれば、放射性物質が飛散し、近隣住民に被曝を強いることになります。もちろん、洗浄作業を行う水戸鉄道サービス(MTS)の労働者、台車まわりの検修をする労働者の内部被曝も避けられません。
 動労水戸は9・22集会に向けて、東労組や国労、鉄産労といったJR内の他労組にも一緒に声を上げようと呼びかけています。全線開通に賛成している現場の労働者はいません。
 茨城県内の労組にも集会賛同・参加を呼びかけています。常磐線の問題を知らない人も多く、丁寧に説明すると「これは大変な問題。執行委員会で議論します」という組合も少なくありません。福島原発事故の被害をなかったことにし、東海第二原発再稼働に道を開く常磐線全線開通を止めましょう。
(動労水戸支援共闘事務局長・斎藤貴広)

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