「旭日旗」を振る五輪許すな 侵略戦争の旗で改憲狙う安倍・小池

週刊『前進』02頁(3071号02面05)(2019/09/26)


「旭日旗」を振る五輪許すな
 侵略戦争の旗で改憲狙う安倍・小池

(写真 1938年、中国・武漢の占領地に旭日旗を掲げる日本軍)

持ち込みを許容

 戦前から軍旗として使用され日本帝国主義の侵略と戦争犯罪を象徴する「旭日(きょくじつ)旗」の2020年東京オリンピック会場への持ち込みについて、大会組織委員会が9月3日、「日本国内で広く利用されており旗の掲示が政治的宣伝とはならない」として許容する姿勢を示した。
 5日には菅義偉官房長官、12日には橋本聖子五輪相が組織委員会と同様の見解を述べた。さらに、13日には小池百合子都知事が記者の質問に「旭日旗は自衛隊法で定められた旗」「国際オリンピック委員会(IOC)がケース・バイ・ケースで対応すべきという話、また、組織委員会もすでに認めておられる」と述べ、持ち込みを許容した。徹底的に弾劾する。

ナチス旗と同じ

 こうした動きに対し韓国文化体育観光省は、「歴史的な傷や苦痛を想起させる政治的な象徴物だ」として、旭日旗の会場への持ち込みを禁止するようIOCに求めた。にもかかわらず、大会組織委員会、安倍政権、都知事・小池はこの訴えを聞くどころか、尊大な態度で屈従せよと迫っているのだ。
 日本政府や小池は旭日旗が「国内で広く使われている」と言うが、どこで、どのように使われているか。在日朝鮮人などへの襲撃をあおるヘイトデモで、差別的・排外主義的な政治主張の旗印として使用されているのだ。この一点でも、絶対に許してはならない。
 さらに、「政治的宣伝ではない」というのは大うそである。この旗を今、掲げることが何を意味するのか。それは、ナチス・ドイツのシンボルだった「鉤(かぎ)十字」と同様の政治的意味を持つ。侵略された国の人々を再度傷つけ、攻撃し、日帝の戦争犯罪を全面的に肯定するばかりか、国家主義・排外主義をあおり、改憲と一体で新たな侵略戦争を準備するものだ。
 実際、FIFA(国際サッカー連盟)は「攻撃的、挑発的な内容の横断幕や旗」を掲げることを禁止しており、2017年にアジアサッカー連盟(AFC)はスタジアムへの旭日旗の持ち込みを「他国を差別・挑発する行為」であるとして禁止した。それをあえて容認したことに、東京五輪の正体が示されている。

韓国敵視あおる

 旭日旗は、旧帝国陸軍が1870年に採用して以来、日帝の侵略と戦争、植民地支配の象徴だった。被害を受けたアジア民衆にとって絶対に忘れることのできない苦しみ、痛みを生々しく想起させるものなのだ。
 しかも、それは過去の問題ではない。日本は戦後も自衛隊旗として旭日旗を使い、昨年10月の韓国主催の国際観艦式には、海上自衛隊護衛艦が旭日旗を掲げて参加しようと画策。韓国では民主労総・全教組を始め労働者民衆から激しい怒りの声が上がり、韓国政府も掲揚自粛を求めた。
 しかし、安倍はこれを拒否し、これ見よがしに護衛艦派遣を中止した。安倍政権は、ここまで旭日旗に固執して、改憲・戦争に突進しようとしているのだ。
 安倍政権は、日本軍軍隊慰安婦とされた女性たちへの謝罪・賠償を拒否し、それに抗議する少女像建立の運動に対して排外主義宣伝を繰り広げている。徴用工問題での日本企業に対する韓国裁判所の賠償命令判決に対しては7月以来、報復的な対韓輸出規制に乗り出している。
 安倍・小池らは、日韓労働者が団結して立ち上がることを恐怖している。だからこそ五輪をてこに差別と排外主義をあおり、分断を狙っているが、労働者階級は、国境を越えて団結できる存在だ。排外主義を打ち破り、日韓を軸とする労働者民衆の連帯闘争を力強く発展させよう。
このエントリーをはてなブックマークに追加