東京高裁 請求異議控訴審始まる 市東さん「農業続ける」

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週刊『前進』04頁(3072号03面02)(2019/09/30)


東京高裁
 請求異議控訴審始まる
 市東さん「農業続ける」

(写真 全国から寄せられた「強制執行反対」要望書1336通を持ち、東京高裁第4民事部への提出に向かう反対同盟【9月24日】)


 9月24日、東京高等裁判所第4民事部(菅野雅之裁判長)で、市東孝雄さんの請求異議裁判控訴審の第1回が開かれた。
 「農地死守」の気概に燃えて全国から160人の労働者・農民・学生・市民が駆けつけ、反対同盟、顧問弁護団と共に闘った。
 開廷に先立つ午前11時30分、日比谷公園霞門に集合し、太郎良陽一さんの司会で決起集会が始まった。
 最初に伊藤信晴さんが、空港機能強化策に加担してきた芝山町当局の、台風被害・大停電に対する無為無策を糾弾した。動労千葉の中村仁執行委員らの連帯発言に続き、全国農民会議事務局長の秋山和雄さんが、農業切り捨てを進める安倍政権を弾劾した。
 シュプレヒコールを上げて、デモに出発。反対同盟旗を先頭に、デモ隊が霞が関一帯を席巻した。
 午前中の産直野菜の出荷作業を終えた市東さんと萩原富夫さんが合流し、午後1時、裁判所前に反対同盟が集合。拍手に送られて、高裁第4民事部へ「強制執行認めるな」と全国から寄せられた1336通の要望書の提出に向かった。
 午後2時30分、80席近い102号法廷を満席にして開廷した。
 市東さんが意見陳述に立った。冒頭に、「一審判決は、私の生計と生きる希望を断ち切り、『農業をやめろ』と言うものです。私に対する死刑判決そのものです」と怒りをたたきつけた。そして、自分の農地が有機農業のためにかけがえのないものであること、NAAが違法な手段を重ねながら強制執行で農地を強奪するなど絶対に認められないことを訴えた。さらに、「金を受け取って出て行け」と促す一審判決を批判し、天神峰で農業を続けていく不動の意志を表し、大きな拍手に包まれた。
 続いて顧問弁護団が、心血を注いで書き上げた223ページに及ぶ控訴理由書を読み上げた。
 最も重要な焦点は、国と空港公団(NAAの前身)が1994年に、「平行滑走路用地取得のためにあらゆる意味における強制的手段を用いない」と確約したことだ。「確定判決」を盾に強制執行で農地を取り上げることは、「強制的手段」そのものだ。ところが一審判決は勝手な解釈で、「話し合いの努力をした上で合意に至らなければ、強制執行もかまわない」とお墨付きを与えた。こんなデタラメがあるか。
 さらにNAAは「離作補償」を支払う意思がまったくない。憲法に違反する。
 執行が行われれば、71年強制代執行で取香の小泉よねさんに対し機動隊が凄惨(せいさん)な暴行を行い、家屋を破壊した事態の再現となる。権利濫用(らんよう)の過酷執行だ。
 市東さんの身体の延長とも言うべき農地を奪うことは許されない。高裁は原判決を取り消し、強制執行を不許可とせよ!
 2時間を超える弁護団の圧巻の陳述をたたえて、大きな拍手が湧いた。被控訴人NAA代理人は、一審判決をなぞっただけのお粗末な答弁書を提出した。
 次回期日を来年1月16日として閉廷した。
 衆議院第二議員会館において、報告集会が伊藤さんの司会で開かれた。市東さんがあいさつに立った。「台風の被害に対し、多くの心尽くしをいただきました。裁判長は物分かりがよさそうな態度を演じていたが、これが曲者。気を引き締めて闘いましょう」
 続いて葉山岳夫弁護士を始め弁護団が発言し、理由書の要点を解説。沖縄からの連帯発言を受け、最後に東峰の萩原富夫さんが、目前の10・13全国集会、次回1月16日の第2回裁判への大結集を呼びかけた。

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