外国人を収容するな 牛久はじめ全国でハンスト続く

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週刊『前進』04頁(3076号04面02)(2019/10/14)


外国人を収容するな
 牛久はじめ全国でハンスト続く



(写真 茨城県牛久市にある東日本入国管理センター)

「飢餓死」だった!

 出入国在留管理庁(入管庁)の外国人収容施設で、期限のない長期収容に抗議する必死のハンガーストライキが続いている。
 入管庁は10月1日、6月24日に大村入国管理センター(長崎県大村市)で収容中のナイジェリア人男性サニーさんが死亡した事件について、食事や治療を拒否したことによる「飢餓死」だったという調査結果を発表した。「命に危険が及ぶと再三警告したが、本人が強く治療を拒否した」「強制的な治療は体制上困難だった」「対応に問題はなかった」というのだ。こんな責任逃れを絶対に認めることはできない。
 身長171㌢のサニーさんの死亡時の体重は約47㌔、ハンストを始めた5月末から約13㌔も減っていた。命の危険が迫っていたにもかかわらず、外の病院に緊急搬送することもせずに放置し、死に至らしめた責任は、サニーさんを強制収容していた入管にある。
 入管庁の統計でさえ、2007年以降、収容手続き中を含む収容施設での死亡者数は15人(うち5人は自殺)に上る。
 14年3月30日に東日本入国管理センター(牛久入管)で収容中に亡くなったカメルーン人男性(43)の場合、監視カメラが設置された部屋で床を転げ回って苦しみ、「アイム ダイイング(死にそうだ)」とうめき声を上げ続けたが、放置された。現在、遺族が国家賠償請求訴訟を起こして日本と入管当局の責任を追及している。
 9月17日現在、全国の入管収容施設には1246人が収容されている。東京オリンピックを見据えた昨年2月、和田雅樹入管局長(当時)が全国の収容施設長らに仮放免(保証人と保証金、制限住所により収容施設を出ることができる)の厳格化を指示する文書を送付した。これにより仮放免が極度に減少し、長期収容が常態化した。
 上のグラフは、今年6月現在の牛久入管における被収容者数と収容期間を昨年と比較したものだ。最長は5年8カ月に及ぶなど、異常な長期収容が常態化している。
 期限のない長期収容の中、先の見えない不安とストレスが例外なく被収容者の心身をむしばむ。家族に対しても入管は、脅迫まがいに帰国や離婚を迫っている。日本の入管法・入管体制がハンガーストライキという究極の手段で抵抗せざるを得ない過酷な現実を強いているのだ。

退去強制を許すな

 牛久入管では、5月以降ハンストが拡大、体調を崩した被収容者に対し、7月下旬になって仮放免が認められるようになった。しかし2週間後、仮放免の更新に東京入管に出頭した仮放免者が、その場で拘束され牛久に送り返されるという暴挙が続発した! なんという残酷! さらなる怒りが巻き起こっている。
 10月1日、法務大臣・河井克行は記者会見で入管行政にとって「最後の砦(とりで)は退去強制業務」だとし、「これが機能不全となれば、日本の出入国在留管理制度の根幹を脅かし、ひいては日本の社会秩序、治安にも影響を与える」と危機感を語った。
 入管庁の発表によると、「6月末現在、退去強制令書の発付を受け収容中の者は1147人、収容後の仮放免者は2303人。収容中の1147人のうち、送還を忌避する者は858人。さらに、全国の入管収容施設で何らかの拒食に及んだ者は、9月25日現在、198人を数え、今なお36人が拒食継続中、19人が仮放免後逃亡して所在不明、17人が仮放免中」という。
 河井は送還を拒否する被収容者858人の約4割が刑法犯だと強調し差別をあおっている。だが実態は、刑期が終了しても社会復帰させず、即、入管に収容しているのだ。これは許しがたい二重の刑罰だ。
 強制送還に従わせるために無期限に収容するとは、虐待・拷問そのものだ。命がけのハンストを続ける被収容者たちを守りぬかなければならない。
 今、その彼らが入管体制の根幹を食い破り、改憲・戦争を狙う安倍政権を脅かしている。労働者階級の切迫した課題として入管闘争を闘おう。国際連帯の力で11月集会を勝ち取ろう!

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