〈投稿〉 福島から11・3結集を訴える 命よりも戦争、原発、天皇が優先全被災地の怒り集め安倍倒そう NAZENふくしま代表 椎名千恵子

週刊『前進』02頁(3081号02面01)(2019/10/31)


〈投稿〉
 福島から11・3結集を訴える
 命よりも戦争、原発、天皇が優先全被災地の怒り集め安倍倒そう
 NAZENふくしま代表 椎名千恵子



(写真 台風19号の大雨で阿武隈川支流の広瀬川が氾濫し、町の半分近くが水につかった【10月13日 福島県伊達市梁川町】)

台風で山・川から放射能汚染土流出

 「福島は大丈夫ですか?」。台風19号に際して、全国の仲間から多くの安否伺いがありました。感謝申し上げます。現段階で死者数が30人と被害の大きかった福島ですが、仲間たちはクルマの浸水や農作物の被害、避難の労苦はあったものの、かろうじて深刻な被害は無く幸いでした。
 かたや広範囲に水没と土砂災害にみまわれた宮城県丸森町では、保養参加者のご自宅が全壊したことをうけ、保養先であった九州の仲間が支援体制を組んでくださり、10月25日に宮城の仲間と一緒に支援物資などを届けることができました。希望につながる連帯、団結の力を感じています。
 福島の地元紙は連日、大幅にページ数を割いて台風の傷痕を報じ、3・11の東日本大震災―福島第一原発事故直後を思い出します。しかし、当時とまったく違うのは、原子炉への影響の記事は、1回小さく載っただけだということです。ネット上では「田村市の仮置き場保管フレコンバッグが浸水で川に流出」「放射線量測定器モニタリングポスト、いわき、本宮市などの83機が測定不能の事態」などと報じられているにも関わらず。これが情報統制でなくてなんでしょう。
 12日にテレビ、ラジオから繰り返し流れた大音声「命を守るための行動を......」が、「あとに起こることは全て自己責任です」と聞こえてならなかったのは私だけではなく、福島、そして全国の人々の共通の思いだったはずです。
 秋晴れの16日、伊達市梁川(やながわ)の被災地で見たのは、後始末をする住民の横をゴミ収集の大型ダンプが通る度に舞い上がる土ぼこりのすごさでした。「胆のうがんや白血病が何人も発症しているのに、まだCエリアは除染されていない」というこの9月の伊達市議会での議員の発言がよみがえり不安が募ります。この日、私が訪れた被災地区もこのエリアです。
 ほとんどの山が除染はされず、大量の土砂が流れ出しています。また、阿武隈(あぶくま)川をはじめ河川の底には大量のセシウムが沈着していましたが、今回巻き上げられ移動し、洪水と一緒に住宅地に流れ込みました。被曝の問題は、台風被害とも切り離すことはできない問題として厳然としてあるのです。地方切り捨てによる無策も問われています。福島は、1986年にも水害で甚大な被害を受け、治水対策が進められてはきました。しかし今回、阿武隈川の堤防が決壊した本宮市では、堤防かさ上げ工事の完成を来年にひかえていた矢先だったことに象徴されるように、国家予算の度重なる削減で30年以上も工事が遅々として進まなかった現実が招いた惨禍なのです。

治水予算の削減で被害拡大・長期化

 とりわけ丸森町では、「阿武隈川の修復、拡幅工事が隣の福島県伊達市梁川区域で止まってしまい、丸森区域までの工事が遅延したことが浸水の要因だ。国土交通省は何やってたんだ」と被災者の怒りがおさまりません。安倍首相が決めた「プッシュ型7億円支援」に対しても、「オレたちに届くのは5万、10万。浸水した布団の家族分を買ったら消える額だ」などの苦情の声が多く上がっています。国家の治水予算の減額だけでなく、災害対応の消防予算の削減、自治体職員のリストラ・非正規職化などの現実が被害を拡大し長期化させているのです。
 命削って納める税金が、人と人が殺しあう戦争のための「防衛費」に消え、電気料金が福島原発事故の反省もなく原発を再び動かして金の延べ棒や金貨、スーツ仕立券に化けてしまう不条理。新天皇即位のパレード延期は「被災地に寄り添う」ポーズだけ。行方不明者の捜索が続く被災地などから2万6千人もの警察官を動員し、166億円もかけて天皇即位の「神事」が行われる腐りきった国。
 11月3日の全国労働者集会には、この安倍政権を倒すために全国の被災地をはじめ全ての怒りを集めましょう。つながりましょう。福島からも「怒り旗」を掲げのぞみます。

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