教育労働者3万人がスト 米シカゴ地域丸ごとの闘いに

週刊『前進』02頁(3081号02面03)(2019/10/31)


教育労働者3万人がスト
 米シカゴ地域丸ごとの闘いに

(写真 ストライキ3日目の21日、3万人を超える参加者がたくさんのプラカードを掲げて街をデモ【米イリノイ州シカゴ】)

(写真 18日の市庁舎前集会で「シカゴの先生とスタッフを応援しています」のボードを掲げる児童)

生徒と地域全体のために立ち上がる

 アメリカ・シカゴで、教育労働者が大ストライキに立ち上がっている。
 全米自動車労働組合(UAW)の5万人規模の大ストライキが1カ月を超えて続行される中、シカゴ市公立学校(CPS)当局との労働協約交渉が決裂したシカゴ教員組合(CTU)の組合員2万5千人にサービス従業員国際労働組合(SEIU)の補助教員、バス運転手、清掃労働者など7500人の組合員が合流して、10月17日にストライキに突入した。CTUのスト権投票では、94%が賛成票を投じている。
 今年1月にロサンゼルス統一教組(UTLA)が1週間に及ぶ巨大なストライキで大勝利した。そしてCTUの要求もUTLAと同様に、賃上げや労働環境の改善に加えてクラス人数の削減と図書館司書、カウンセラー、ソーシャルワーカーなどの常駐体制を中心軸に置いている。また、CPS学区では17万人の生徒たちがホームレス状態であるため、こうした生徒や低収入のシカゴ住民への経済的な援助を求めている。
 スト参加者は語る。「このストライキは、給与の問題だけではなく、むしろ生徒と教育労働者の生活の質を向上させる闘いです」

ストライキの波を生み出したCTU

 2018年初頭にウェストバージニアから始まった教育労働者のストライキの波は、今年に入ってUTLAなど西海岸へと押し寄せ、他の産業の労働組合にも幅広く伝わっていった。昨年は20を超える主要産業の組合がストライキに立ち、49万人の労働者が参加した。アメリカは今、「闘う労働組合の復活」と言われる状況にある。
 こうした労働者の闘いに火をつけたのが、12年に行われたシカゴの教育労働者のストライキだった。
 CTUは組合員数が全米第3位の教員組合だが、闘わない労組として知られていた。それを戦闘的な労組に変えたのが、COREと呼ばれるランク&ファイル(現場)の教育労働者のグループである。10年にCTUの執行部をとったCOREは、2年をかけて周到な準備をし、12年に大ストライキに打って出た。
 この闘いに刺激を受けて、日本の11月労働者集会にも参加したことがあるUTLAのアーリーン・イノウエさんやセシリー・マイアトクルスさんたちがCOREと綿密に連絡を取り合い、闘う潮流である「ユニオンパワー」を組織したのだ。ウェストバージニアのランク&ファイルの組織者エミリー・コマーさんやジェイ・オニールさんも、ストライキを組織するにあたって、COREに大きな影響を受けている。

街頭でピケやデモ粘り強く団交続く

 10月25日には学校運営日でストライキ7日目を迎えたが、組合員は戦闘的に闘っている。毎日早朝から500の公立学校の前でピケットを張り、その後シカゴの街をデモ行進し、市庁舎の前やストライキに参加している組合員が働くチャータースクール(公設民営校)の門前で集会を行った。週末にも団交は続行され、教育労働者のデモや集会は続いている。
 CTUのジェシー・シャーキー委員長は25日夜の記者会見で、「団交は現在、『最も重要な課題』に関して交渉が詰めに入っているが、これは『最も困難』を極めるものです」と語った。CPS当局とCTUの双方は、団交はかなりのところまで進展したと語っているが、クラス人数の削減と看護師、図書館司書などのスタッフ増員に関する事項が未解決だ。
 教育労働者を先頭に全米で始まった労働者の大反乱に、日本から続こう。
(高村涼子)

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