日米安保の大転換狙う安倍 住民の命と生活脅かす米軍・自衛隊訓練が激化

週刊『前進』02頁(3087号01面03)(2019/11/21)


日米安保の大転換狙う安倍
 住民の命と生活脅かす米軍・自衛隊訓練が激化

 相次ぐ閣僚辞任、萩生田光一文科相の「身の丈」発言での大炎上、さらには首相主催の「桜を見る会」をめぐる「違法接待」疑惑の発覚で窮地に立たされた安倍政権は、今まで以上に焦りを募らせ、解散・総選挙の可能性をもちらつかせながら今国会での改憲論議を推し進めようと必死になっている。そしてこれと並行して、日米安保体制の大転換と自衛隊の本格的な侵略軍隊化が一気に進められようとしている。

日本全土核基地化計画するトランプ

 米トランプ政権が米ロ間で結ばれていた中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄を一方的に通告し、今年8月に同条約が失効したことで、全世界を巻き込む核軍拡競争と新たな核戦争の危機が急切迫している。すでにトランプ政権は、核による先制攻撃も辞さないことを国家安全保障戦略(NSS)や核戦略見直し(NPR)で公然と宣言し、アジア太平洋地域への中距離核ミサイルの大量配備も「同盟国と協議して数年以内に実現したい」(エスパー国防長官)と公言してはばからない。
 10月3日付琉球新報が報じた「2年以内に沖縄など日本全土に新型中距離ミサイルを配備」という米軍の計画(本紙3077号で既報)も、INF条約失効前からトランプ政権が進めてきた核戦略を具体化したものにほかならない。沖縄をはじめ日本全土を世界最大の核ミサイル貯蔵庫に、そして核戦争の最前線基地にしようとしているのだ。
 こうした中で、今月15日には、トランプ政権が2021年度以降の在日米軍駐留経費の日本側負担分(いわゆる「思いやり予算」)を現状の4・5倍に上る年間約80億㌦へ増額するよう要求していることがわかった。河野太郎防衛相は「そんな事実はない」と火消しに必死だが、すでに安倍政権はFMS(有償軍事援助)を通じて、米政府の言い値で高額兵器を大量に購入してきたのであり、トランプの核戦略も主要国の中で最も積極的に支持してきた。今や安倍政権は改憲と一体で、日米安保体制を本格的な「核戦争同盟」へと大転換させようとしているのだ。

対中国戦争念頭に新部隊を南西配備

 米軍と自衛隊の強化・再編が進む中で、命と生活を脅かされる住民が各地で怒りの声をあげている。辺野古新基地をめぐる現地での攻防に続き、防衛省が10月7日に不意討ち的に着工した宮古島での陸上自衛隊弾薬庫建設に対しても、地元の住民団体が「事故があれば住民は弾薬庫と心中しろというのか!」と抗議闘争に立ち上がっている。
 安倍政権は宮古島への陸自地対空・地対艦ミサイル部隊の配備を来年春までに予定しており、弾薬庫にはミサイルや誘導弾などが保管される。300世帯以上が暮らす集落から弾薬庫まではわずか200㍍しか離れておらず、地下水への汚染も強く懸念されている。地対空・地対艦ミサイル部隊はすでに今年3月、鹿児島県奄美大島に配備されており、沖縄県石垣島でも同部隊の配備を念頭に駐屯地の建設が強行され、住民の間で抗議が拡大している。こうした自衛隊の新たな動きは、九州・沖縄を中国との戦争の最前線基地にするものにほかならない。
 他方で、住民を危険にさらして訓練を激化させる米軍基地にも怒りの声が広がっている。青森県六ケ所村では今月6日、三沢基地所属の米軍戦闘機が民有地に模擬弾を投下。沖縄の嘉手納基地では先月29日、米空軍が日米政府の合意すら破ってパラシュート降下訓練を強行し、米軍への提供区域外の民有地に米兵を落下させた。17年12月に米軍ヘリの部品が落下した緑ケ丘保育園(宜野湾市)の保護者らでつくる「チーム緑ケ丘1207」の母親たちの訴え----「人を殺す道具が毎日頭上を飛び交っている」という弾劾の言葉は、今や日本中の基地周辺住民の声となりつつある。
 改憲・戦争阻止の闘いを全国で拡大し、住民の命と生活を踏みにじる安倍政権を今こそ打倒しよう。

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