終電延長「冗談じゃない」 東京五輪 要員不足が深刻 東交の組合員が激しい怒り

週刊『前進』04頁(3088号03面01)(2019/11/25)


終電延長「冗談じゃない」
 東京五輪 要員不足が深刻
 東交の組合員が激しい怒り

(写真 11月13日、都労連秋闘総決起集会後の都庁包囲デモに立った東交の1千人をはるかに超える大隊列。都労連全体を戦闘的にリードした)

 「終電延長なんて冗談じゃない!」。東交(東京交通労組)組合員から東京五輪への激しい怒りが噴き出している。今でも都営交通は要員不足で危機的な状況だ。このままでの五輪期間中の終電延長や増便はありえない。しかし当局は組合を無視し、いまだに具体的な計画を示さない。東交は全力の闘いを開始した。

今も欠員状態が続く現場

 都営地下鉄の駅係員、乗務員は定員割れ=欠員状態が発生し、通常の運行も困難だ。欠員の解消、増員が絶対に必要だ。しかし駅係員から車掌、運転士への要員養成はそれぞれ一定期間の経験を積んでいくこと抜きには不可能だ。東京五輪があるからといって、すぐに増やすことなどできない。17日間の五輪期間中、出退勤のシフトを変えて休みなく勤務につかせることは、重大な健康被害と安全崩壊をもたらす。
 都営バスでは、今も運転手の4分の1が拘束13時間を超え、4時間連続乗務を強いられている。人員不足と過重労働、病欠者の続出で現場から悲鳴が上がっている。人員増とダイヤ改正が緊急を要する。
 地下鉄の車両、線路、信号通信、電気などの保守点検、工事、緊急対応をはじめ技術部の各職場では、これまでの際限のない効率化によって厳しい状況が続いている。技術継承も進まず慢性的な要員不足の解消が急務となっている。
 しかし、そうした現状に追い撃ちをかけるのが東京五輪による業務量の破壊的なまでの増大だ。

殺人的な労働強化許すな

 東京五輪は来年7月24日から8月9日まで。マラソンと競歩は札幌に移ったとはいえ、すさまじい人数の乗降客が殺到する。通常ですらラッシュ時はいっぱいになるのに、これに輪をかけた混雑が続く。開会式・閉会式会場をはじめ競技会場周辺では、大量の外国人客を含めて一度に数万人単位の人が移動する。花火大会の後のような混乱が連日繰り返されるのだ。これに重大事故や台風などの災害が重なったら運行業務は完全に破綻(はたん)する。
 さらに東京都と大会組織委員会は、五輪時の終電を繰り下げることで鉄道各社と合意。JR山手線、都営地下鉄、東京メトロは午前2時過ぎまで、その他は午前1~2時ごろまでの運行を検討しているという。始発繰り上げ、開会式・閉会式当日の終夜運転案も出ている。都営バスはカヌー、ボート、馬術の会場の海の森水上競技場(江東区)へのシャトルバスの運行に加え、競技場、宿泊施設の集中する地域の路線バスの大幅な増便も必要となる。バス以外の公共交通がない海の森水上競技場には最大で1万6千人、路線バス約300台分の観客が来ることが予想される。
 大会期間とその前後に、殺人的な労働強化が強いられる。しかし当局はいまだに輸送体制の詳細を示さず、終電延長などのダイヤは来年3月の年度末に公表するというのだ。来年度予算案の各局要求にも要員の大幅増は明示されていない。このままでは労働災害、安全崩壊は必至だ。組合を完全に無視し「時間切れ」を口実に逃げ切ることなど絶対に許されない。

組合の団結で五輪粉砕を

 現場の怒りと危機感が激しく燃え上がっている。東京五輪に対する労働組合の闘いが始まった。
 東交は10月24日、中央委員会で「懸案事項・課題解決の取り組み、東京2020大会に向けた取り組み」を決定。電車部、自動車部、技術部、事務部の全部門で闘いに入った。電車部は欠員の解消なしには通常輸送の遂行もままならず東京五輪の輸送計画など到底できないとして、「増員なくして増発はあり得ない」立場を鮮明にさせた。安全の確保と安定した要員養成を求め、組合の否定を許さず、早期の東京五輪輸送計画の公表を迫って、労働強化・安全破壊と対決する全力の闘いに突入した。
 安倍政権は労働者に対する搾取・収奪の極限的な強化、利権まみれの腐りきった姿をむき出しにして絶体絶命の危機に立っている。だからこそ安倍は国と資本の存亡をかけて改憲・戦争への突進と労働組合破壊に延命の道を見いだそうとしている。しかし労働者の怒りがいたるところから噴き出している。関西地区生コン支部弾圧は全労働者・労働組合への攻撃であり、これに対する大反撃が始まった。労働組合の闘いが情勢を決する時代に入った。
 東京五輪は侵略戦争の旗「日の丸」「旭日旗」に象徴される国家主義・愛国主義の扇動と福島の怒りの圧殺、「働き方改革」と称する労働者への全面攻撃と資本の巨大利権のために開催されようとしている。東交は戦前のストライキ決起、戦後革命期以来、戦争に絶対反対して闘ってきた。今やその本領を発揮する時が来た。都営交通を日々動かしているのは現場労働者だ。労働組合の団結を固めて安倍政権・小池都政と対決し、東京五輪粉砕へ職場から闘いぬこう。
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